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おはよう御座います。 第9管区海上保安部・海洋情報部がH20.6.16/17に新潟県・網代浜海水浴場で行ったマーカー投入による離岸流調査の結果とムービーが見られます。↓ http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/marinleisure/kaihinryu/hama/ajiro.htm
ムービーでは、堤防沿いと浜の深みに沿って離岸流が発生している様子が良く分かります。 特に浜の深みに沿って流れる離岸流と両側の複雑な形をした沿岸砂州(海底地形)の関係が、波頭が白く砕ける砕波の発生状況、砕波前後の白波の進行状況とそれに伴うセットアップ・セットダウンと良く一致していることが分かります。
ムービー(wmv形式 3.6MB 再生時間14分)を保存されて、離岸流もさることながら、波の砕波状況から海底地形を読み取るトレーニングに使用されては如何でしょうか。
ここに張った写真は一瞬を捉えたものですが、実際にはムービーで見ることができるように、少なくとも10分くらいの時間を掛けて波や砕波の状況(砕波位置や砕波頻度頻度)を統計的に見て左右と比較することで、より正確な海底地形の淺・深分布が分かり、離岸流の通路を予測することができることを逆に示していると思います。 波を見るのは、一瞬のみではなく、統計的に見る時間的感覚と左右・岸沖との比較が必要であることも分かると思います。
そろそろキスの便りもちらほら聞かれる頃になりましたが、外海に面した自然の砂浜でのキス釣りに役立つ、波読み・地形読みの良い練習材料になると思い投稿しました。
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投稿者:ふじさん 投稿日:2009年04月10日 (金) 07時45分
No.400 |
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1.上の写真に書き込んだ調査時の染色マーカーの投入位置は、説明では浜沿いに連続的に散布したとありますが、実際には、おそらくは、しばらく入射波の砕波状況を見て、セットアップ地点を想定して重点散布地点を決めたものと想像します。
或いは、上空のヘリからの砕波域と海の色による淺・深分布(海底地形)情報も使用して決めたのかも知れませんね。
実に旨いところに投入したものです。また、離岸流の発生を確認後はセットダウン域(「マーカー投入点」の「マ」の字の近傍)にマーカーが追加投入されたようです。
2.上の写真の白色の両矢印(←→)でマークした両側より深い溝部分では、砕波が発生していません。従って、この部分はセットダウンしており、両側のセットアップ域から海水が流れ離岸流を養成している様子が見て取れます。
3.この写真やムービーから、この海岸はこの時点でD〜Eタイブの海底地形になっているようです。上空から見ると海底地形も分かり易いですが、釣り人は浜から海を見ることになるので、浜からは波の振る舞いがどう見えるかを示した写真(残念ながら写角の関係で離岸流マーカの左側の砕波状況が写っていませんが・・)も大変参考になると思います。 本当は、瞬間の画像だけではなく、離岸流路の左右を含む海面の波の様子を、浜から人の目の高さで撮影したムービーも欲しいですね。
近年、離岸流による遊泳者の事故の増加に伴い、各管区海保では離岸流に関する知識の普及に努めておられるようですが、遊泳者は、上空からではなく、常に砂浜や海浜から海を見ているので、砂浜からの波の振る舞いと離岸流の発生位置を撮影したムービーも、知識の普及・啓蒙に効果があるので是非撮影・公開して頂きたい旨、海の相談室に意見具申しました。
★ (釣り人にとっては、波の振る舞いと海底地形の関係を知るのにも、具体的な波の見方を知るのにも、海底地形を知って予め離岸流の位置を予測するのにも、キスボイントを予測するのにも大いに役立つと思います。)
★ 砂浜の海底地形の分類法(A型〜F型)については当掲示板のスレッドNo.180,189(2008.10.24〜27投稿済み)をご覧下さい。 この頁の一番下にある「次の頁」ボタンをクリックして頁を遡り、同じ操作を何度か繰り返し当該スレッドを探してください。
★ 離岸流発生のメカニズムについてはスレッドNo.164(2008.10.17投稿済み)をご覧下さい。
よく勘違いされる方が多いのですが、離岸流は海底地形上の深みに沿って沖へ流れることの多い流れですが、一般に、海底に沿って流れるのではなく、主に深みの表層を流れる流れであることです。(干潮時に全体が浅くなるときには表層から底まで流れが分布することもあります。→2008.10.22 投稿済み、スレNo.177 参照) 離岸流が海底地形上の深みに沿って流れるのは、深みの上の海面は平均海面高の低いセットダウン域であり、両側の浅場の平均海面高の高いセットアップ域からここを通ってやはりセットダウンしている沖へ流れるのが離岸流だからです。 深みに沿って流れるといっても底を流れるのではありません。深みに沿って深みの上の表層を流れるのです。
離岸流の下が良いキスポイントである可能性が高いのは、離岸流の下が海底地形上の深みであり、その両側が浅場であり、従ってその間には地形上の深みと浅場をつなぐ斜面(カケアガリや段差)があり、キスが群れ、またキスの岸←→沖方向の移動路になっていることが多いからだと考えられます。 つまり、波を読んで海底地形を知る事と離岸流を探す事に共通の意味合いがあると云えるのではないでしょうか。
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投稿者:ふじさん 投稿日:2009年04月10日 (金) 10時24分
No.402 |
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上の写真と同じ場所の写真です。(撮影年月日不明)
汀線形状や、海底地形はすこし異なります(砂浜と海底地形は波との相互作用で絶えず変化しているから)が、こちらの方が砕波状況と海底地形の関係が分かり易いですね。
赤丸の中央部に上の写真で離岸流の発生していた深みが明瞭に見えます。この深みは砂浜のカスプ(汀線の凹凸)の凹部から続いています。一瞬の写真ですが、左右の浅いところと比較して、この深みでは砕波もありません。(ここだけ波がないのではありません。波があっても左右より深いので波高が低く、砕波していないのです。)
浜から波の振る舞いを見るとどの様に見えるでしょう? 浜が目に入ったときから波の振る舞いを統計的に観察し浜沿い方向、岸沖方向各所を比較すれば、砕波がない(或いは少ない、波高や砕波高が低い、つまり深い)部分が沖に伸びていることに気が付くはずです。
ほかに、砂浜への波の這い上がり距離(色が黒くなっている部分の幅)を見れば、砂浜の高低も分かるし、汀線から海側への底の傾斜もわかる・・・なだらかか、ステップ状に急に深くなっている(写真の右上部分)か・・・等も想像できます。汀線を歩けば、砂粒の大きさの違いとの関係にも気付くことができます。 一般に、砂粒が大きいほど重く、早く沈むので、汀線沿いに離岸流を養成する流れがあって砂が移動させられるとき、流れの上手ほど堆積する砂粒は大きく、下手ほど砂粒は小さいので汀線沿いの砂粒の大きさを比較すれば、極く近い過去の流れの方向を知ることもできるからです。
さて、ここでキスを狙うとすると「海底地形」の観点から見た遠・近ボイントは何所に?
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投稿者:ふじさん 投稿日:2009年04月11日 (土) 13時52分
No.403 |
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上の写真の赤丸付近を約5倍に拡大したものです。
これを見ると、A点やB点では海底の沿岸砂州が接岸しているのが分かります。 また、白い線状に見える砕波の波頭(波峰線)が湾曲し波打っているのは波の屈折によるもので、波が進んでくる方向へ膨らんでいる部分は凹んでいる部分より浅くなっていることが分かります。
このまま波の平穏状態が続けば、波の強さにもよりますが2〜3日でC点とD点も接合して(Dの砂州が岸寄りに移動して)砂州が一体化し、全体に岸へ寄ってくると共に砂浜にも砂が堆積し汀線が海側へ前進することが予測できます。 また、反対に海が荒れたら1日の内にA,B,D点を含む砂州は岸から沖へ離れてゆく(海底の砂が沖へ運ばれる)と共に砂浜の砂も削られ汀線が陸側へ後退することも予測できます。
注.液晶モニターでこの写真をご覧の方は、目の位置を上下に変えてご覧下さい。海の中の砂州の色の違いから、淺・深分布をより細かく、はっきり見ることができるでしょう。 中央部に見える深場の中でもより深い所とやや浅い所、また両側に広がる浅場(砂州)の中でも更に浅い所とやや深い所(つまり凹凸)があり砕波前後の白い波がその状況を忠実に表していることも読み取れるでしょう。
(しばらく投稿を控えていましたが、昨日この投稿をしてから、このところ1日当たり20カウント程度で推移していたアクセス数が1日で120カウントを越えました。やはり、興味を持って見ていただいている方が沢山居られるようで、有り難う御座います。m(_ _)m)
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投稿者:ふじさん 投稿日:2009年04月15日 (水) 06時39分
No.404 |
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上のスレッドNo.400の下方に書きましたとおり、9管海保「海の相談室」に宛てた意見具申に対して、下記のように丁寧な返信を頂きましたので報告させていただきます。
海浜部の高台から見たビデオも撮影済みのようですので、そのうちに離岸流調査の当該頁に、浜の高台から見たビデオ映像がアップされるかも知れません。 時間的・統計的な波の見方やそれから分かる海底地形と離岸流発生位置の関係や、予測法を知るための実例を示す貴重な映像になるものと期待しています。
------------------------------------ From: "sodan9" <sodan9@jodc.go.jp> To: <********@***.**.**> Subject: (回答)砂浜から見た離岸流のムービー Date: Tue, 14 Apr 2009 10:45:29 +0900
○○ ○○ 様
平素より海上保安業務にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。 また、このたびは第九管区海上保安本部海洋情報部ホームページを御利用いただきありがとうございました。
遊泳者の事故防止を目的とした離岸流等の調査では、現在漂流ブイを使用した調査及び 染色剤を使用した目視調査を実施しております。 目視調査ではヘリコプターや高台等の高所からのビデオ撮影を中心に実施しております。 これらの手法については、分りやすくかつ事故防止に繋がるような資料とするため、ご指摘 の海岸部からのビデオ撮影も含め、今後も創意工夫を重ね、更らなる事故防止のための啓蒙 や知識の普及を実施していきたいと考えております。
今後とも、お気づきの点がございましたら、ご指導、ご御鞭撻方よろしくお願いいたします。
**************** 第九管区海上保安本部「海の相談室」 〒950-8543 新潟市万代2丁目2番1号 国土交通省新潟総合庁舎5階 電話:025−244−4140(直通) FAX:025−243−1694 メールアドレス:sodan9@jodc.go.jp **************** ------------------------------------------- (質問メール) 第9管区海上保安本部海洋情報部、海の相談室 宛(同HP、海の相談室の質問様式による) メール送信日時:H21.4.11 07:50
ありがとうございます。下記の通り○○ ○○ さん のメッセージをお受けしました。 以下、○○ ○○ さん のメッセージ
題名 =砂浜から見た離岸流のムービー 質問内容=
貴HPの離岸流コーナーにある、新潟東港に隣接する網代浜の離岸流調査(H20.6.16/17)を拝見しました。 大変分かり易く離岸流の発生状況が説明されており、特にヘリから撮影したムービーは波の振る舞いの時間経過の様子が把握でき、砕波状況と海底地形(淺・深分布)と離岸流の流路との関係が良く理解できました。
遊泳者の事故防止や離岸流に関する知識の普及の観点からは、砂浜から見たムービーも非常に有効ではないかと思います。砂浜から見るとどう見えるか、固定写真では提供されていますが、「一瞬を捉えた画像」と共に「時間的な過程を捉えた砂浜から見たムービー」も、通常、波の振る舞いを目視・観察する以外にマーカ等の視認・検証や予測の手段を持たない遊泳者や遊漁者にとって大変有効であろうと思われます(マーカーがなければ視認できない離岸流を何をどう見て予測し、見つけるか)。
今後の離岸流調査の際には砂浜から見た波の振る舞い(海底地形との関係)と離岸流の発生過程を撮影し公開していただけるとより効果が期待できるものと思料いたします。
波の振る舞いから、離岸流の発生やその流路と関係が深い海底地形を知るには、波の浅水変形や浅海効果(砕波等)に関する知識も必要かと考えられますが、上空からのムービーと共に浜からのムービーがあればと残念に思います。
はなはだ身勝手では御座いますが、是非ご検討いただけますよう意見具申させていただきます。
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