百三十回グランパ句会 二〇一〇年十一月八日 旧神無月三日 特選 選 作者 賢 1 放哉の正体見たり墓のうら もとお
2 風呂場から口笛を聞く秋の暮れ ゴン
3 護りたもう男らの命月微笑む 千桃子
ひ昌 星筆 4 櫨紅葉うしろ足から夕暮れる 聰子
5 栗食べる「大工生活いつかしら? 夏日
ゴ 6 窓越しの秋の陽だまり温かく ポポ
ピ 7 かねてからお慕い申しあげ羽蝶 結
奥聰星 結藍桃 8 雲ひとつない空に病院 ひしゃく ゴ筆喜 9 秋の夜なが唇から出るため息 藍
藍 ゴ順 10 山茶花の一輪だけ咲き夕に散る 賢二
藍昌 11 どうしたらいいの叫びが右左 星
夏 ポピ 12 つつき過ぎくちばしの傷なお痛む すず
ゴ夏す昌13 口ずさむ歌木枯らしに葬られ 更紗
凜 14 女枯葉砂塵舞うや場末の熱きかふぇ 野捨次郎
賢 ピ 15 デパートを出づれば暗し秋時雨 乱葉
あ 16 口癖を注意されけり秋笑う ゴン
凜 17 「こうしよう」やめて口唇とだす秋 夏日
賢結 18 薄い味噌汁大松揺れており もとお
ポ 19 葭簀越し輝く絵柄にケーキ皿 ひしゃく
乱ひあ喜桃20 口下手は父親譲りの青蜜柑 聰子
星ポ 21 しぐれつつ山里の道かえり花 賢二
桃 22 秋晴れに洗濯干して悦に入る ポポ
あ 乱凜夏23 冬ざれに何も言わぬと口閉じる 藍
喜 更 24 まちかねてほろ酔っている十三夜 結
聰す次桃25 空瓶の山叩き割る秋の闇 星
乱す桂26 寡黙なる薪ストーブと語る夢 更紗
乱 藍 27 痩身の女の匂い秋の苑 野捨次郎
筆英 28 甘き菓子食べるだけならいらぬ口 すゞ
ひ聰順桃29 コスモスや否応無しに青き空 乱葉
次 30 朝風呂や予定調和の名句かな もとお
ひ聰桂更あ31 空洞の胸に雨音初紅葉 ゴン
32 辞書開く更衣して書の筆 夏日
英 星 33 なんとなく心の解放コツを得る ポポ
結 ひ桂 34 永遠に年下であり藪椿 聰子
35 光沢は卵のカラで月見草 ひしゃく
ゴ 桂喜英36 時はすぎ人も去り行き後の月 結
凜 更ポ 37 落ち葉のように散った口約束 藍
喜 38 鳩の巣は捨てられたまま今朝の冬 賢二
筆 結昌 39 音は耳熱は口より侵かし入る すゞ
順更あ40 風呂吹きをはふはふと喰ふ茶髪の子 ひとみ
次 結英 41 聞きあきた愛の言葉に勝る蛇 星
乱賢聰次更42 風吹いて鶏頭百本燃え立たせ ひとみ
桂 藍次夏43 絹雲や果て無き青に溶け込みぬ 乱葉
星英 44 遠吠えに答える子犬草の花 ひとみ
す 45 疾駆するバスは満員トッカータとフーガ 野捨次郎
すポ ピ英 46 冬近し嘆く時過ぎ今生きる 凜
賢筆夏47 秋の声すまないと喘ぐ息 凜
昌順 48 天高し心が叫び過去になれ 凜