大企業で使えても零細では使えない
「これが21世紀の鋳造設備です」 新しい設備を導入すると、協力会社を集めてお披露目をします。そこで社長の挨拶は、必ずコストダウンの話が出て、21世紀は人手を架けず、無言で働くロボットを導入して、生産効率を上げてコストダウンを計り、云々と挨拶は続く。 また納入したシステムメーカーの営業も、この機を逃すマジと、参列者への営業活動に熱心だ。しかし招待客の殆どは火入れ式でスイッチが押された後、鋳造が開始されロボットが動き出すと、左手の時計を見ながら、皆一様にほぼ同様な感想を示す。 こんなサイクルじゃー内じゃー2個は作っているじゃーにー 親会社だから出来るこっだにー のんびりしてるだなやー 声にこそ出さないが、顔がそう語っているのがよく解る。 親会社の鋳造サイクルは3次下請けの1.5倍から2倍程遅いから、下請けの零細から見れば正直な感想だと言える。 親企業と同じ生産システムを導入し、親企業と50歩100歩の生産サイクルで、やって行ける筈がない、 その事は100も承知で、営業マンの説明も上の空である。 営業マンは親会社の大企業で採用されて、お墨付きを頂いたも当然、その下請けは買ってくれるものだと思い,営業に余念がなく、周囲の冷めた空気など気が付かず、そんなこんなで空しく振舞酒にかき消される。 親会社との、お付き合いで買わされた、ロボットシステムのロボテックスプレー仕様への組み替え依頼が、最近特に多くなて来た。 嬉しい悲鳴である。
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