[583] 起動戦士ガンダムSEED〜分かたれる血〜 |
- ブラック - 2007年02月11日 (日) 02時58分
/プロローグ C.E.(コズミック・イラ)71。 この時代、地球連合軍とプラントとの戦争が勃発した。 それは人の命を散らし大地を傷つけ、ナチュラルとコーディネーターの憎しみを深めたまま、停戦という形でその幕を閉じた。 しかし、人々の心の奥にある憎悪がそれで収まることなど無く、彼らをテロ活動へ…人殺しの道へと誘っていく。
−−−哀しみを忘れ怒りに身を任せる彼らは、今日も人を討ち同じ過ちを繰り返そうとしている−−−
「配置は良いな?よし、攻撃開始だ!忌々しいナチュラル共を殲滅しろ!」
/0−1 リーダー、コーバックの掛け声の後、攻撃が始まった。 今回の作戦は本当につまらねぇ。たかだか支部程度への強襲なんて、感じられるスリルはたかが知れてる。 おまけにハンガーの破壊から宿舎のやつらを拘束。そして司令部占拠なんていう、テロのくせにまるで軍隊みたいな規則正しい 作戦展開のおかげで、オレが求める戦いは出来そうにない。優秀な作戦には違いないんだが。 見れば起動したMSも何機かいたが、あっというまにやられてる。たかが数分で動いている機体はゼロ。予想どうりクズばかりだな。 「トラフィム、このまま行けばもうすぐ終われるはずだ。お前の隊は警戒解除してリラックスしてていいぞ」 結局そうなるわけか。 「了解。お前ら、リーダーからのお言葉だ。警戒解除、自由にしていいぞ。あ、虐殺行為はすんなよ。ムカつくから」 オレが虐殺なんてものを嫌いになったのはちょっと前だが、どうせ話す機会なんて無いんだろうな。聞きたくもないだろ? そんなことを思いながらシートベルトをはずし、コーバックの言うとおりにリラックスすることにした。 体をシートに投げ出し、エアコンを効かせているとコックピットの中とは思えないほど気持ち良い。 が、それはまさに束の間の休息だった。 突如鳴り響く警報。同時に破壊したはずのハンガーやその他もろもろの場所の地面が割れ、エレベーターが昇ってきた。 そこには十数機のロングダガー、105ダガーなどのMSが立っていて一斉に反攻を始めた。 いきなりの敵の出現に対応できず仲間の部隊が一つ、二つとやられていく。仲間だったモノの悲鳴が聞こえてくる。 オレはシートベルトを締め、レバーを握り、モニターに目を向け、気を引き締める。 「クソッ、増援だ!緊急起動して対応してくれ!」 コーバックからの予想通りの言葉を聞いた時、オレは即座に仲間に命令を出した。 そして焦りながら戦闘準備をする仲間を尻目に一人で敵機に突っ込んで行った。
/
1時間後、オレは築き上げたダガーの屍の上でたそがれていた。 戦闘の結果、敵機は全滅。数的不利の状況での戦闘だったが一機一機の実力はたいしたこと無く予想以上に早く決着が付いた。 コーバックはそれを見届けた後、司令部を占拠。現在は連合軍のデータを探っている。 しかしMS保有数制限があるというのに、たかが支部にこの戦力とはやはり連合は条約を守る気は無いのか。 まぁいいや。今は疲れた。寝よう。 コックピット内で眠りに付こうとしたとき、まるでジャマをするかのように通信が入った。コーバックからだ。 「トラフィム、目当ての新型の情報だ。やはり『NJC』搭載機らしい」 「そうか。データを転送しといてくれ。後で見ておく」 「あぁ。ついでに別の試作機とそのテスト部隊の情報も送っておく。試験行動中らしいが場所が近い。援軍に来るかもしれない」 「分かった、じゃあな」 早く寝たかったから少し強引に通信を切り、送られてきたデータを流し見する。 するとデータの一部のある名前に目を奪われた。一気に眠気が消し飛ぶ。 「こいつは…ハッハッハ!!これは良い!やつがいるんだ、やつが!!」 それからはまるで狂ったように笑い続けた。ついにオレの望みを、復讐を果たせると確信して。 少しして落ち着いたオレは、その来たるべき時に備え眠りに付くことにした。少しでも早くやつに会うために。
とまぁ、この話はこんな感じで終わり。 まぁいいや。それじゃあ、もう会う事もないだろう。 おやすみ…
/0−1<終>
|
|