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□ お題掲示板 □

現在メインはロマサガMSとTOS、サモナイ3です。
他ジャンルが突発的に入ることもあり。
お題は10個ひとまとまりですが、挑戦中は順不同になります。
(読みにくくてすみません…)

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幻想・02 絵画のひと (TOS・ゼロス&ロイド)
長山ゆう | MAIL | URL
 ──暗転する視界。
 対峙していたロイドの悲痛な叫びが耳を貫いた。
 切羽詰まった響きに、自身の命の灯火が消える間際なのだと思い知らされる。
 必な呼びかけの向こうから、小さな声が聞こえた気がした。
 遠く微かに響く、幼い少女のそれ。
 屈託のない、自分を兄と慕っていた、声──。

 不意に意識が覚醒した。
 満天の星空が視界一面に広がり、一瞬、何が起こったのかが解らなくなる。
「……ここ、は……」
 口を付いて出た呟きが、覚醒を促した。
 深い夜の静寂の中、耳に届いたのは、小さく火のはぜる音。
 そして、いくつかの微かな寝息。
 それらを仲間のものだと認識したことで、ようやくゼロスの意識が現実へと引き戻される。
「もう起きたのか?」
 暢気なロイドの声が飛んできた。
 視線を巡らせてそちらを見やると、焚き火の前で座っていた少年と目が合う。
 先程の呟きに似た声を拾っていたのだろう、ゼロスの目覚めを確認したロイドは、すぐに手元へ視線を落とした。
 程なく、木を削る音が耳に届く。
 夜の静寂の中では小さな物音すら拾ってしまうものだ。
 どうやらロイドは何かを作っているらしい。遠目にも右手に握った彫刻刀を動かしている様子が見て取れた。
 ゼロスはゆっくりと身を起こす。
 夢の余韻は消えていた。……筈だが、鈍い頭痛が残っている。
 軽い溜息をついたものの、動く気になれなかった。
「どうしたんだよ、ゼロス」
 目を覚ましてから一言も喋らない彼の態度を不審に思ったのだろう、ロイドは手を止めると改めて問いかけてきた。
「あー、いや……何か変な夢見てた……らしいわ」
 曖昧に濁したものの、記憶は明瞭だった。
 救いの塔での出来事を思い返す。
 コレットを捕らえてクルシス側に寝返り、ロイドたちの前から姿を消した、あの時。
 もしも、その場に残ってロイドと対峙していたならば、与えられた力を解放して全力で戦っていただろう。
 結果は火を見るよりも明らかだ。
 夢に見た光景はおそらく、ゼロスが選択し得たもうひとつの未来。
 ……自身の存在しないであろう、時間軸。
 最後に幼いセレスの声を思い出していた事に、思わず苦笑が洩れた。
 純粋に自分を慕っていた少女のあどけない声は、今も耳の奥に残っているのだ。
 真実を知って以来、セレスがゼロスに向けるのは硬い声ばかりだった。
 そう、心の壁を露わにした声しか聞かなくなって久しいというのに。

 ──お兄様、どうぞお気をつけて……。

 不安げなその声は、微かに震えていた。
 背を向けた兄に送られ続けていたであろう、彼女の本音。
 長い間目を逸らしていた。
 受け止めるだけの覚悟を決めた、あの時まで。
 ゼロスは軽く頭を振って立ち上がり、ロイドの傍らへと移動する。
「ったく、目ェ冴えちまったな。見張り替わるから寝とけよ、ロイド」
 今日の見張り担当はロイドとゼロスの二人だった。
 交代にはまだ早いが、とても眠れる状況ではない。
「ああ、サンキュ。けどもう少し進めたいからさ、キリのいいところまで出来たら頼むよ」
「何作ってんだ?」
 言いつつロイドの手元を覗き込む。と。
 掌に収まる大きさの丸い木板に、三人の人影らしい姿が彫り込まれていた。──正確には二人と幼い子供である。
 とはいえ細部に手を入れるのはまだ先らしく、木板の絵姿はまだ朧気だ。
 人物像がはっきりと理解できたのは、手本がすぐ傍らに在ったせいだ。
 おそらく、家族の肖像として描かれたものを納めたロケット。
 女性の姿に見覚えはないが、小さい子供はどこか今の彼を彷彿とさせるものがあり、残る男性の姿は──。
「……クラトスに貰ったんだ」
 ゼロスの視線に応じるように、手を休めることなくロイドが答えた。
 ロケットの中で穏やかな表情を浮かべる人物──クラトスを一瞥し、ゼロスは軽く返す。
「器用だねぇ、ロイドくん」
「まあな、こういうの得意だからさ」
 クラトスから譲られたロケットの替わりに、手製の彫り物を渡すつもりらしい。
 彫刻を続けるロイドの横顔を眺めていたゼロスは、少しずつ輪郭が整ってゆく三人の姿にちらと視線を投げかける。
「なあ、ロイド」
 黙々と手を動かしていた少年へ、いつしかゼロスは声をかけていた。
「ん?」
 ロイドは手を休める事無く応じる。
 ゼロスの瞳が細められた。
「……なんで信じられたんだ?」
 ロイドの手が止まった。
「え?」
 驚いた様子で顔を上げたロイドの瞳に、ゼロスの姿が映る。
 一瞬の沈黙。
 ……唐突な質問ではあったが、意図は理解している筈だった。
 救いの塔での出来事から、さほど時間が経過しているわけではない。
 だが、ゼロスは敢えて口に出してみた。
「あの時……救いの塔でだよ」
 不思議そうな光をたたえたロイドの双眸を、ゼロスは真正面から見つめる。
 その瞳には、真剣味を帯びた自身の表情が映っていた。
 こういった眼差しで相手を詰問するのは久しぶりだ。
 どこか醒めた思考のままゼロスは続ける。
「裏切った俺のことをよく信じられたと思ってよ」
 俺さまだったら信じねーよなあ、と嘯きつつ──本心だが──ゼロスは自嘲混じりの笑みを零した。
 最初から胡散臭い態度を見せていたのだ。裏切られた直後に思い当たる節は多々あった筈である。
 むしろ、信じる根拠が見当たらないだろう。
 だが。
「当たり前だろ。仲間なんだし」
 さも当然と言わんばかりに答えられ、一瞬ゼロスは言葉に詰まる。
 ロイドの瞳には微塵の疑いすら映っていない。
「……いやいや、俺さまイロイロ怪しかったでしょー? 気づかなかった?」
 殊更に軽い調子で訊き返すと、ロイドは何かに思い至ったらしい。
「ま、そうだな。確かに、何かありそうだとは思ったよ」
 ここでロイドは一呼吸置く。
「けどさ、お前、信じてくれって言ってたし」
 刹那、ゼロスは我が耳を疑った。
 煙に巻く言葉は数多く使った。だが、そんなことを言った覚えはない。
 ……いや、ないはずだ。そう願っていたが、口には出さなかった。
 言えるはずがない。
 時間にして数瞬。少しだけ間を置き、ゼロスが言葉にならない口調で訊き返す。 
「……はい?」
 目を丸くしたまま固まったゼロスを見つめ、ロイドは首を傾げた。
「あれ、言ってなかったか? けど、そんな事を聞いたっていうか、感じたっていうか……そんな気がしたんだよな」
「いやいやいや、ロイド君。そいつはおっかしいでしょ」
 返しつつも、声が妙に上擦っていた。
 自信に満ちたロイドの様子にゼロスは動揺を隠せない。
 しかし、否定しようとするものの、具体的な反論が出てこなかったのも事実である。
 何にせよ、有り得ない事だと伝えようとしたのだが。
「違ってたのか?」
 一分の疑問も抱くことなく、ロイドは不思議そうに尋ねてくる。
 自身の発言に対しての確信は全く揺らいでいないらしい。
 ……我知らず、苦笑が滲んだ。
 だが、ゼロスはその場を誤魔化すべく口に上りかけた言葉を飲み込む。
 信じてほしかったのは、事実だった。
 しかし、信頼よりも重要だったのは、協力関係の維持である。
 ロイドたちがコレットを救うべくテセアラを訪れた時、シルヴァラントとテセアラは表裏一体の関係だった。
 一方が繁栄すれば、もう一方が衰退する。
 暗殺者として送り込まれていたしいなの進言とゼロスの提案によって、テセアラ国王はコレットの救済を黙認したのである。
 監視役を仰せつかったゼロスはロイド達と行動を共にしながら、その実力を測っていた。
 クルシスとレネゲート、そしてロイド達。どの勢力が他を征する力を得られるのかを。
 手を組むべき相手を模索していたのだ。
 尤も、ゼロス自身が彼らに必要とされる相応の力を持たなければ、意味はない。
 だからこそ自身の存在意義を示すための協力は惜しまなかったし、能力は発揮していたつもりだ。
 事実、ゼロスは有効な戦力足り得たはずである。
 だが、真の意味で仲間とは到底言えなかっただろう。
 それを自覚していたからこそ、ゼロスはロイドたちから仲間として信頼されているとは思わなかった。
 しかし、一向に構わなかったのだ。いずれ裏切るであろう相手なのだから。
 信じていればこそ、裏切られれば激昂する。その経緯を持つならば、再び他人を信じようとは思わないだろう。
 ましてや、最初から疑わしい相手ならば、尚の事。
 仲間だなどと口にしながら、値踏みを繰り返していた。
 ロイドのクラトスへの信頼を嘲りながら──羨んでいたのだ。
 ──クラトスからアイオニトス奪取の計画を持ちかけられた時、成功率の低い賭だと判断したのも当然だろう。
 ただ、それでも。
 たとえ裏切り者であったとしても、命を賭しての頼みならば、セレスの事を託せるのではないかと……そう、思えたのだ。
 元々お人好しばかりの集団だ。
 世界に一人となってしまう妹を、ロイド達ならば見捨てる事はないだろう。
 これまで騙していた贖罪もかねて、計画に乗ってみようと思い至ったのは事実だ。
 セレスを救えるならば。
 だが、本心は。
 ──信じてほしかったのだと、今ならば断言出来る。
 そんなゼロスの心の声をロイドは聞き取っていたいうことだろうか。
 零れてしまいかねない声を、拾い上げることが出来たのだと。
「いや、まあ……」
 言葉を濁そうとしたものの、ロイドは目を逸らさない。
 ただ、ゼロスの答えを待っている。
「……ま、そうだったのかも……な」
 今は夜。眠ってしまえば忘れる話だ。
 消極的ながらもゼロスが肯定すると、ロイドは嬉しそうに破顔した。
 反面、妙な照れ臭さのためにゼロスは視線を泳がせる羽目となってしまったけれども。
 やがて、ロイドは手作りの肖像画を彫り始めた。
 木彫りに集中するその様子に、自然とゼロスの眼は彼の手元へと向けられた。
 手本にしているロケットに描かれた男は、穏やかな笑みを浮かべている。
 その表情には、ゼロスにも見覚えがあった。
 ──ロイドについて話す時に浮かべる表情だ。
 次第に輪郭が明瞭になる彫り物を眺めつつ、彼の読みが正しかった事を──息子への揺るぎない信頼を、ゼロスは改めて実感する。
 しかし、不思議と不快ではなかった。


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 ロケットを受け取るのはクラトスルートのみなのですが、以前書いたロケットの代わりに木彫りの肖像画を送るというというネタが気に入ったので、ここでも使っております。
 ロイドは直感型の人間ではないかな、と思います。
 だからこそ、ゼロスを信じられたのではないかと。
 説明はいらない、後からついてくるタイプ(笑)。
 また、以前クラトスとのやりとりがあった事も一因のような気がしますね。
 今更ですが、クラトスとゼロス、両方仲間にしたかったなー。 

2013年03月10日 (日) 22時14分 (77)

幻想・05 ふたりのシグナル (TOS・ロイコレ&クラトス、シルヴァラント神子一行)
長山ゆう | MAIL | URL

 三つ目の封印解放の後、正体不明の襲撃者を退けると、ロイドたちは遺跡から外に出た。
 我知らず圧迫感を覚えていたのだろう、建物を出たと同時に頬に風を感じたロイドは開放感にひとつ伸びをする。
 背後を振り返ったその時、視界の隅で金色が揺れた。
 反射的に倒れかけた少女を支え、ロイドは先程視界を掠めたのがコレットの髪だったと改めて気づく。
「コレット!」
「天使疾患ね。早く横にしてあげましょう」
 リフィルがコレットの容態を確認すると、休息を促した。
「大丈夫か?」
 ロイドは腕の中で血の気を失った少女に問いかける。
 コレットは目を伏せた。
「また……迷惑かけちゃうね」
「いや、そんなの平気だけど……」
 呟く言葉がひどく申し訳なさそうで、ロイドはかすかに頭を過ぎった疑問を差し挟むより先に、否定を口にした。
 そちらに気を取られたせいだろうか。
 コレットを抱き起こそうとした途端、バランスを崩したロイドの足元がふらついた。
 咄嗟に踏ん張る事が出来ず、ロイドは少女を抱えたまま転んでしまう。
「いってえ……」
「もー、何やってんだよ! コレット、大丈夫?」
 ジーニアスが呆れ顔でロイドを見やり、コレットに声を掛ける。
 中途半端な体勢のまま、したたかに身体を打ったロイドは痛みに顔をしかめたが、慌ててコレットへ視線を向けた。
 内心、少女を支えきれなかった失態に軽い自己嫌悪を覚えていたのだが、今はそれよりも彼女自身である。
 地面に倒れていたコレットは、ひどく不思議そうな表情で身体を見下ろしていた。
「…………」
「ど、どうしたのコレット!痛かった? どこか怪我したとか」
「う、ううん。何でもない。えへへ。ぼーっとしちゃった」
 コレットは慌てるジーニアスを見上げると、照れ笑いを返した。
 その笑顔に、ロイドは一瞬痛みを失念する。
 コレットは改めて地面に手をつくと、投げ出されていた足を身体に引き寄せた。
 緩慢な動作で立ち上がろうとする少女へ、強い声が飛ぶ。
「コレット。手を見せてみろ」
「え? どうしたの?」
 不思議そうに小首を傾げたコレットだが、その手が反射的に握りしめられた事をロイドは見逃さなかった。
「いいから!」
 ロイドの声が一段と強まり、コレットの手をつかんで引き寄せる。
 拳を作っていた手を開いて掌を上に向け、ロイドは目を見開いた。
「……怪我してるじゃないか。さっき転んだ時だろ。こんなに血が出てる……」
「でも痛くないから」
 コレットが即座に否定する。
 一瞬、ロイドはその言葉の意味を取り損ねかけた。
「え?」
 溢れる血の中、手のひらに走った一筋の線は、それが深い傷である事が一目で見て取れる。
 しかし、さらりと紡がれた少女の言葉には、不自然なほど傷に対する意識が感じられなかったのだ。
「あ、ちがうの。あんまり気にならない程度だからってこと」
 訝しげなロイドの表情に、コレットは取り繕うような笑顔を浮かべた。
「コレット」
 ロイドが詰問しようと少女の名を呼ぶ。
 刹那。
 二人の手に、あたたかな光が宿った。
 いつしか彼らに歩み寄っていた人物が翳していた大きな手から、癒しの波動がそそがれたのだ。
 コレットの傷口が見る間に塞がってゆく。
「……クラトスさん」
 傷が完全に塞がった事を確認すると、クラトスは無言で驚いた表情を浮かべたコレットを抱え上げた。
 そのまま歩き出す彼に無視された形となったロイドが声を上げる。
「おい、クラトス!」
「まずは神子を休ませることだ」
 ロイドの抗議を遮り、クラトスはリフィルへと視線を向ける。
「野営に適した場所へ移動するぞ」
「え、ええ」
「ロイド、警戒を怠るな」
「……ああ」
 不承不承ではあったが、コレットを抱えている今のクラトスでは、敵に対する反応が鈍る。
 ロイドはこの場での反論をひとまず飲み込むと、クラトスとリフィルが定めた野営地へと移動すべく、先に立って歩きだした。

 野営の場所を確保した一行は、まずコレットが横になる場所を設けた。
 リフィルが彼女に付き添い、ジーニアスが手早く食事を用意する。
 コレットは一見ただ発熱しているような症状だが、その身に受ける苦しみは熱によるものだけではないはずだった。
「コレット……」
「……明日になれば平気だから。だいじょぶだよ」
 傍らで少女を見守るロイドへ、コレットは微かな笑みを返した。
 あまりにロイドが心配そうな表情を浮かべていたのだろう、リフィルも口を添える。
「コレットの言う通りよ。今までの例を考えても、明日になれば落ち着くでしょう」
「…………」
 普段ならば、ロイドもここで折れるはずである。
 だが、今はただ不安げに横になる少女を見守るのみだ。
 リフィルが言葉を重ねるべきか迷った時、ジーニアスが彼の名を呼んだ。
「ロイド」
 声と共に差し出された少年の手には、温かな湯気の上がった皿が用意されている。
 それを受け取り、ロイドはコレットに話しかけた。
「コレット、食べられるか?」
「食欲がないかもしれないけれど、少しでも食べておいた方が身体も温まるわ」
「……そう、ですね」
 躊躇いを見せていたコレットは遠慮がちに頷くと、リフィルの手を借りて身を起こす。
「じゃあ少しだけいただくね」
 微かに笑みを浮かべたコレットは、ロイドからスープの入った皿を受け取った。
 だが、スープ皿を手にしたものの、彼女はしばらく身動きをしなかった。
「コレット?」
「あ、ごめん。だいじょぶ」
 名前を呼ばれた途端、コレットは我に返ったようにロイドへ笑顔を向けた。そうして、湯気の立つ皿からスープをひとすくい口に運ぶ。
 ゆっくりと、コレットはスープを飲み込んだ。
 僅かにその顔が青ざめたと感じたのは、ロイドの気のせいだろうか。
「……ごめんなさい、やっぱりお腹空いてなくて……」
「いいんだよ、無理に食うことないさ」
 スープ皿をロイドに返すコレットの手が微かに震えていた。
「やっぱり気分悪いのか?」
「……うん、ちょっと。ほんとにごめんね、せっかくジーニアスが作ってくれたのに」
 申し訳なさそうなコレットにジーニアスは手を左右に振る。
「いいよ、気にしないで。元気になったらしっかり食べてくれればいいんだからさ」
「うん。ありがと」
 力なく応えるコレットに、低い声が掛けられた。
「神子」
 声と共にカップが差し出される。中には水が満たされていた。
「今は水の方が負担にはなるまい。飲み終えたら横になる事だ」
 意外な人物の発言にロイドは驚いたが、行動は理に適っている。
 正直、それが少し悔しかった。
 何よりも。
「ありがとうございます、クラトスさん」
 言いつつ、コレットがどこか安心した様子で笑みを返した事が、ロイドの心を穏やかならぬものにしていたのである。
 コレットはカップを受け取り、一口だけ中身を飲んだ。
 そうして、小さく息をつく。
 少しだけ、肩から力が抜けたようだった。
「ロイド、ありがと。私はいいから、ご飯を食べて。せっかくジーニアスが作ってくれたのに、冷めちゃうよ」
「けど……」
「明日には治ってるから。先生もどうぞ。もうだいじょぶです」
 顔色はまだ良くなかったが、コレットの声はしっかりしていた。
 今までならば、天使疾患が少し落ち着いたのだと安心できただろう。
 だが。
「食事の間は私が神子をみていよう」
 ロイドが何事かを言うよりも先に、掠れた低い声が差し挟まれた。
 思わずロイドは声の主へ鋭い視線を向ける。
 しかし、そんなものに動じる相手ではない。
「ありがとうございます、クラトスさん。……ね、ロイド」
 助力を得て安心した様子のコレットに促され、ロイドは渋々頷く。
「わかった」
「貴女がそう言うのなら……。後はお願いするわね、クラトス」
「ああ」
 結局、食事を摂るためにリフィルと共にコレットから少し離れたものの、ロイドの視線が少女から離れることはなかった。

 ──何故、もっと早く気づけなかったのだろう。

 翌日の夜、コレットを問い質した時、ロイドは初めて事実を知ったのだ。
 食べる量が減っていた事。眠っている様子が無かった事。予兆はいくつもあったというのに。
 コレットが感覚を失って初めてその異変に気づいたものの、ロイドには何も出来なかった。
 コレットは天使になって、世界を救う。その役目を全うするために旅を始めたのだ。
 止められるはずがない。
 思考が袋小路に嵌り込み、ロイドは盛大な溜息をついた。
 それを傍らのクラトスが見咎める。
「どうした、溜息などとは珍しい」
 クラトスの声に、ロイドは我に返った。
 移動中の短い休憩時間、珍しくロイドは一人ぼんやりと座っていたのだ。
 リフィルはジーニアスやコレットと何やら話し込んでいる。
 ノイシュは相変わらずクラトスの傍にいた。
 いつもならクラトスに何とも言えない不満を抱く所だが、今はそんな気にもならない。
 あれから数日が経過していた。
 皆、コレットの異変には気づいていない。
 ──かつての自分と同じように。
 それがコレットの望みだと理解しているつもりだが、孤独に一人耐えていた少女の心を思うと、やるせなさ、歯がゆさを感じずにはいられなかった。
「……俺、バカだなあと思ってさ」
 コレットの異変にすぐ気づくことができなかった。注意を払えば、もっと早くに気づけたはずなのに。
「今に始まった事ではあるまい」
 止めを刺されてぐうの音も出ず、ロイドは更に深い溜息をついた。
 普段ならば文句の一つも返ってくるはずだが、その様子が全く見受けられず、クラトスはロイドを一瞥する。
 地面の一点へ視線を落としたまま、ロイドは動かない。
 クラトスはおもむろに言葉を継いだ。
「だが、気づいたのならば改めれば良かろう」
 声音に励ましに似た響きを感じ取り、ロイドはクラトスの顔を見返す。
 しかし、青年は既に彼から視線を外していた。
 ロイドは再び視線を落とし、しばし考え込む。
「……そう……だよな」
 今までは気づけなかった。けれど、それを知った今なら、出来ることがある。
 せめて、感覚を失った事を隠したいと願う、その手助けくらいなら。自分にも出来るはずだ。
 不意に、ロイドの脳裏にひとつの声が蘇った。

 ──夜は更に気温が下がる。身体を冷やさぬようにな。

 昨日のことだった。
 野営に選んだ場所がひどく冷え込んでいて、毛布一枚でもつらそうだと思えた時。
 コレットが、毛布を軽く羽織った状態で横になろうとしたのだ。
 クラトスの声に我に返ると、コレットはかき寄せた毛布にしっかりとくるまり、寒さに違和感のない状態で横になる事が出来たのだ。
 ……そういえば。
 これまでにも、クラトスが言葉少なながら幾度かコレットに注意を促していた事を思い出す。
 普段からドジな彼女を見かねて口を出していたのかとも思ったが、改めて考えるとそれら全ては感覚を頼りにする事柄ではなかったか。
 そもそも、コレットが感覚を無くした事にロイドが気づいたあの夜、スープの熱さも感じられず動揺していた彼女に、負担のない水を与えたのはこの男である。
 あの時、コレットは安堵の表情を返していた。
 ……そう、異変に対する気遣いを感謝するかのように。
「クラトス」
 思わず、ロイドはその名を呼んでいた。
「どうした?」
「あんた、まさか……」
 知ってるのか、と尋ねようとしたものの、言葉が出てこなかった。
 少し距離があるとはいえ、傍にジーニアスやリフィルもいる。コレットが伏せたがっていることをこんな場所で暴露しては意味がない。
「いや、何でもない」
 確認するにしても後の話だ。
 わだかまりを振り切ろうとするロイドの傍らをすり抜け様に、クラトスが呟くような声音で口を開いた。
「神子を守るというならば、決して離れるな」
 弾かれたように振り向いたロイドへ、凄腕の傭兵は視線だけを寄越す。
 鳶色の瞳がロイドの心を見透かすようで。
「……わかってるさ」
 半ば睨み返すようなロイドの視線をクラトスは感情の読めない瞳で受け流し、その場を離れていった。
「あんたに言われるまでもねえよ」
 ひとりごちながら、ロイドは和やかに会話をするコレットたちへと視線の先を向けた。
 明るい笑顔を浮かべたコレットの朗らかな声が耳に届く。
 ──絶対に、守ってみせる。
 ロイドはきつく拳を握りしめた。


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 コレットのあの件、短い間とはいえ一人では隠し覆すのは難しかったと思います。
 最初のうちはロイドが注意をしていたでしょうけれど、クラトスもさりげなく助言を与えていたのかもしれないな、と。
 初稿では諭すクラトスの言葉をロイドが素直に受け入れていたのに、蓋を開けたらかなり違う雰囲気に。
 タイトルの「ふたり」をクラトスとコレットにしたせいかな…?(苦笑)


 尚、ゲームでは封印解放の夜にロイドがコレットを問い質していますが、この話では天使疾患の影響が一晩残ったため、翌日の野営の夜にロイドがコレットを問い質したという設定です。

2010年07月13日 (火) 21時54分 (76)

幻想・03 ダリア夫人 (逆転裁判4・成歩堂&響也+冥)
長山ゆう | MAIL | URL
(逆転裁判4の最終話ネタバレを含みます)


 照明の落とされた店内にゆったりとしたピアノの音色が流れている。
 著名な演奏家が弾いているのであろう馴染み深い曲に耳を傾けながら、脳裏で自身の両手が鍵盤に触れ、曲を奏でる様子を思い浮かべた。
 三ヶ所のミスを数えたところで隣の青年が口を開く。
 口を開くまでに相当の時間がかかったことが、内心の驚きを表しているように感じられた。
「まさかラミロアさんが或真敷優海さんとはね」
 グラスの酒を軽く揺らしながら、端正な顔立ちの青年は軽く溜息をつく。
 もっとも、不快なそれではない。してやられたといった態ではあったけれども。
 成歩堂の口元を笑みが掠める。
「流石の牙琉検事も気づかなかったか」
「……おデコくんがみぬきちゃんの兄だなんて思いもしませんでしたよ」
 人の悪い笑みを浮かべる彼へ、牙琉響也は苦笑を返した。
「まあ、そうだな。縁もゆかりもない二人が兄妹だなんて、思うはずがない」
 その実、知ってしまえば納得出来る部分は多々あった。
 嘘を見抜く才能はもちろんだが、むしろ二人の雰囲気にこそ共通点がある事に気づくのだ。
 だが、真実を知らされた響也には寝耳に水だっただろう。
 含みのある声音が耳朶を打つ。
「貴方は最初からご存じだったわけだ」
「…………」
「先日みぬきちゃんとのことを意外にあっさり認めて下さいましたからね、あまりにあっけなくて何かあるとは思いましたよ」
「娘の願いを叶えたいと思うのは当然じゃないかな?」
「残念ながら、それなりに貴方の為人を知っているものですから。素直に受け止められなかったんです」
 些か皮肉の込められた声を聞き流し、成歩堂はグラスに口を付ける。
 当初、響也とみぬきの交際に難色を示したのは、みぬきの養父である成歩堂だった。
 年齢もさることながら、二人の関係……彼女の実の父を殺めたのは響也の兄・霧人である。それが影を落とさないはずがない。
 響也という青年を知るにつれ、それが杞憂になるであろう事は薄々予測していたものの、素直に頷けない所があるのは、やはり世間で言うところの『父親』というもののせいだろう。
 ラミロアこと優海は反対しないだろう。響也の性格を知っていれば、反対する謂われもない。
 娘の態度を見れば彼を好いていることもわかるはずなのだから。
 ともあれ、難関を突破した筈の所に予想外の伏兵が待っていたのだ。
「オドロキ君も今までは反対してなかったんだしね」
「確かにそうですが、むしろ彼はこれからの方が気がかりですよ」
 現在成歩堂の経営する事務所の法律面を支える人材となった王泥喜法助だが、彼の法廷ではみぬきが助手を勤めている。今では互いに足りない部分を補える、なかなかに良いコンビとなっていた。
 そんな彼も、みぬきと響也の交際については本人達の自由だと納得していたのだが、それはあくまでみぬきが『助手』であったがゆえだ。
 実の妹となれば話も違ってくるだろう。
 無論、最終難関が養父であることは自明の理である。そこには一分の揺らぎもない。
 響也は軽く溜息をつくと、グラスの酒を飲み干した。
「まあ、気長にやりますよ。それでは僕はこれで」
「まだ一杯目だよ」
 グラスを傾ける成歩堂に対して、響也は軽い笑みを返す。
「野暮はしたくありませんから」
 言いおいて上着に袖を通した響也が財布に手を伸ばす前に、成歩堂は声をかける。
「誘ったのは僕だからね。今日は奢るよ。一杯だけだしさ」
「……では、遠慮なく。彼女によろしくお伝え下さい」
「ああ、ありがとう」
 サングラスをかけた途端、カウンターの端から密やかな声が耳に届いた。
 相変わらずの人気だねえと囁くと、さりげない微笑が返される。
 牙琉響也は巷で人気の高いロック歌手なのだ。
 実を言えば、みぬきとの交際に難色を示す一因として、以前からこの点だけは成歩堂と王泥喜法助の見解が一致していた。
 法廷はともかく、外での彼の注目度を鑑みると、交際相手としては諸手を挙げて賛同しかねる所だが。
 響也が店を出てからほどなくして、背筋の伸びた美しい女性が店の扉をくぐった。
 躊躇うことなく成歩堂の隣に座る。
「久しぶり」
「お久しぶりね」
 カクテルをオーダーする女性に成歩堂は笑みを浮かべる。
 相手は涼やかな目線を向け、口を開いた。
「今、そこで牙琉響也とすれ違ったわ」
「ああ、よろしく伝えてほしいってさ」
「何をよろしくかしらね」
 肩に掛かった髪を払い、彼女は扉に視線を投げかける。
 同業者としていい迷惑だと言わんばかりの口調に、先程の件もあり成歩堂は軽く頷いた。
「検事局までの道中、騒ぎにならなければ良いけれど。全く、よくこれだけ正反対の職業で二足の草鞋をはけるわね」
「同感だね」
 途端に、彼女は少しばかり意外そうに成歩堂を見返す。
「何かな?」
「……いいえ、別に」
 微かな笑みが口元を彩っていた。
 内心を見抜かれたと思ったのは、あながち間違いでもないのだろう。
 柔らかな笑みが示す意味を思いめぐらせ、成歩堂は内心で溜息をついていた。
 そこへ、カクテルグラスが差し出される。
「どうぞ」
 二人のやりとりを余所に、バーテンダーが出来上がったカクテルをカウンターに載せていた。
「ありがとう」
 カクテルを手にした彼女へ、成歩堂はグラスを掲げてみせた。
 彼女──狩魔冥はカクテルグラスを運ぶ手を止め、微かに笑みを返してくる。
 こうした穏やかな時間を共にするようになって、どれほど経っただろうか。心安らぐ時を酒と共に味わいつつ、成歩堂は思う。
 ……そう。
 実の所、みぬきと響也の事を心配してはいないのだ。牙琉響也という人物を知るにつれ、そう思えるようになった。
 二人の関係もまた然り、である。
 隣に座る女性と自分の関係を考えれば尚のこと。
「今日はゆっくりできるのかな」
 普段ののんびりした口調で成歩堂が問いかける。
 冥は挑発的に小首を傾げた。
「貴方こそ。みぬきちゃんはいいの?」
「ああ。今日は母親と一緒なんだ」
「そう……」
 事細やかには話していない。だが、みぬきの実の母が生きていることは伝えていたためか、冥がこの点を言及することはなかった。
 成歩堂の感じるそこはかとない寂しさを、察してくれたのかもしれない。
 冥の呟きは幾分静かだった。
「私は構わないわ」
 淡々とした声音は、成歩堂の中で柔らかな安堵に繋がってゆく。
「じゃあ、今日はじっくり付き合ってもらおうかな」
 少しばかり悪戯っぽく笑い掛けると、冥は艶然とした笑みを返してきた。
「あら、それは楽しみね。覚悟なさい」
「望むところだよ」
 勝ち気な冥の口調に成歩堂は笑みを誘われる。
 互いのグラスが触れ、軽い音を立てた。


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お題のダリア夫人はラミロアということで。(ちょっと弱いのですが…)
遅ればせながら逆転裁判4、響みぬ&ナルメイです。
本編の後、いずれラミロアの正体を知る機会があると思うので、それを踏まえてのif話。

響みぬは二人が好きなのは勿論ですが、それを踏まえての響也と成歩堂のやりとりが見てみたかったりします。
オドロキ君は触らぬ神に祟りなしを決め込んでいそう…(笑)。

逆裁4でナルメイを想像すると意外にすんなりと収まったので、自分でも少し驚きました。
3までの頃はこういう二人はまず書けないので、そういう意味でもアリかなと。

2009年11月15日 (日) 22時26分 (75)

幻想・06 強奪愛 (TOS・ゼロス&クラトス+セレス)
長山ゆう | MAIL | URL
(終盤・フラノール後、救いの塔ネタバレを含みます)


「……っと!」
 間近に迫った白刃を剣で受け止めたゼロスの口から詠唱が洩れる。
 その意図を察知した敵が背後へ飛んだ。
「サンダーブレード!」
 間髪を入れずゼロスの放った魔術が敵へ襲いかかる。
 守備力を高める鎧に身を包んでいた事が仇となり、雷に打たれた敵は地に倒れ伏した。
 見ると、味方は既に戦いを終えている。常から先制する形で戦闘を優位に運ぶゼロスが最後まで手間取っていたらしい。
 ゼロスは肩を竦めた。
「俺様としたことが、調子わりいなあ……。ロイド、ちょいと後方に下がらせてもらうわ」
「え? って、おい、ゼロス!」
「ああ、前衛にはガキんちょ入れとけよ。力押しは分が悪いぜ」
 ジーニアスがその呼び名にむっとした顔を見せる。
 ゼロスは不服げな少年へ軽い視線を送った。
「俺様の魔法はあくまで補助だからな、お前の方が適任だろ」
「まあ、確かにここは魔法のサポートが欲しいよな。ジーニアス、頼む」
 ジーニアスが文句を言うより先に、ロイドが一言添える。
「しょうがないなあ。ったく、ナンパな神子様は勝手ばかりだね」
 ジーニアスは口を尖らせると大仰に肩を竦めて見せた。
 そんな少年へからかいを含んだ声が掛けられる。
「悪い悪い、何処に行ってもハニーたちが離してくれねえから、ゆっくり休んでる暇がないんだわ」
「馬っ鹿じゃないの」
「素直じゃないねえ」
「だあああ、もう、いいから交代だって!ゼロスは後方な。ジーニアス、頼むぜ」
「了解」
 険悪な雰囲気になりかけた二人を引き離し、ロイドが指示を出す。
 ゼロスは両手をポケットに入れると、軽い足取りで後方に下がった。
 それと入れ替わるように、武器でもあり術具でもある剣玉を手にしたジーニアスが前へ出る。
 後方へ下がれば、戦闘の機会は減る。
 戦いに集中しきれない今、ゼロスにはその時間が有難かった。

 ――ここに来て、未だに迷っている。

 最初は簡単な話だったのだ。シルヴァラントよりやって来た者たちを監視し、その動向を逐一報告する。
 本命はクルシスだが、レネゲートとのつながりを持ったのは、万一の可能性を考えたためだ。
 ……その万一にすら含めなかった選択肢を、選ぶことが出来るのか?
 犠牲にするつもりだった者たちに、全てを賭けるなどあまりにも馬鹿らしい。
 なのに。
「助力を頼みたい」
 そう告げられた時、一瞬声を上げて笑い出しそうになった。
「……何の冗談だよ?」
 応える声音にその余韻が残ったのは仕方ないだろう。
 しかし、相手は表情を変える事なく淡々と言葉を継ぐ。
「以前ならばともかく、今は勝算のある賭けになりうるのではないか?」
 ゼロスの瞳が眇められる。
「何が目的だ? この期に及んで息子に肩入れしろってか? 俺が今こうしてあんたと会ってる意味がわかっていて言ってるのかよ?」
「無論承知の上だ。だがお前にも益はあるだろう」
「おいおい、強引過ぎるんでないの? 言っちゃあ何だがロイドは一番分が悪いんだぜ。いくらあんたが肩入れしてたとしてもな」
「それはどうかな?」
 クラトスが微かな笑みをはく。
 それが癪に触り、ゼロスは嘲りを含んだ視線で相手を見返した。
「寝言は寝てからにするんだな。俺様これでも忙しいんだわ。時間食っちまったし、そろそろ戻らねえと怪しまれるでしょ」
「……確かに今日は時間がない。続きは次の機会にするとしよう」
 言い置いて背を向けるクラトスへ、ゼロスは揶揄混じりの声音を投げかける。
「おいおい、俺様は無駄話に興味ねえのよ」
「耳を貸す価値があるならば無駄ではなかろう。ましてや最愛の者を守る手段ともなればな」
「――何だと?」
 一瞬空気が変わった。……否、気配が変わったと言うべきか。
 剣呑な気配を醸し出すゼロスに一瞥を向け、クラトスは言葉を残す。
「自己満足で守ることが出来るのか……よく考えてみることだ」


 まんじりともしない一夜を明かし、ロイドたちと共に町を出たものの、ゼロスの脳裏からクラトスの言葉が消えることはなく。
 結局こうして戦いにまで影響を及ぼしたというわけだ。
「……ったく、らしくないねえ」
 自分がいなくなればセレスが神子となり、修道院を出ることが出来る。
 幽閉生活を送る必要はなくなるのだ。
 今後の生活は神子としての地位が保証してくれる。クルシスは神子の血筋を重要視しているのだ。王族といえども手は出せぬ存在である。
 トクナガは昔からセレスに仕える忠義者だ。セバスチャンにも言い含めてある。二人がセレスを支えてくれるに違いない。
 神子の権力は大きい。
 ――だが、それ故に利用される存在でもあるのだ。
 婚姻はクルシスの命ずるまま、神子に自由はない。
 ……その不文律は、誰よりもよく知っている。
 それでも、神子になれるならば。
 『私は、神子にはなれません。現に神子様がいらっしゃいますもの。どれほど母が望もうと、父が願ったとしても』
 そう、セレスには神子としての生活を受け入れる心積もりがあるはずなのだから。

「全てをあの娘に背負わせて、楽な道へと逃げるのか?」

 思考を読み取られたと錯覚した程に的確なクラトスの発言に、一瞬、動揺が隠せなかった。
 次の機会と言われていた夜、町外れの木立で落ち合い、定時連絡を終えてその場を去ろうとしていたゼロスの足を止めた言葉である。
 刹那の時で感情を覆い隠し、ゼロスは殊更に冷たい視線を返した。
「……何だと?」
 しかし、そんなものに動じる相手ではない。
「兄の死をも背負わせて、お前は楽になるつもりなのだろう」
 即座に反論できなかった。
 ただ視線が鋭さを増し、冷ややかな空気が漂う。
「お前は神子という立場によってあの娘を守っていたことになる。世間知らずの娘がただ独りで放り出されれば、どうなるかなど火を見るよりも明らかだ」
 神子の制度の有無に拘わらず、神殿の影響力は大きい。修道院育ちの箱入り娘など操り人形にされるのが関の山だ。
 ……寄る辺ない少女をただ一人残して逝くことができるのか、と。
 全ては事実である。だが、クラトスが口にすれば意味合いが変わる。
 単に事実を述べているのではない。この男の目的はただ一つなのだから。
「……クルシスの天使様が言えた義理かよ? 息子の為なら何でもやるってか?」
 殺気すら感じられるゼロスの気配に、しかしクラトスは淡々と応じるのみだ。
「手段を選んではいられないのでな」

 ――お兄様!

 脳裏に蘇る懐かしい笑顔。
 修道院を訪れるようになった当初、少女には常に笑顔があった。
 嬉しさを、喜びを満面に浮かべながら、出迎えてくれたのだ。

 確信を抱くまでは、そうと察するだけならば、いくらでも誤魔化すことが出来た。
 それ故に、垣間見えたはずのセレスの感情を遮断したのだ。
 都合の良いものしか見なかった。
 だからこそ、そのままでいられた。
 ……だが。
 憎まれていると錯覚していられたが故に、選択肢たりえた『死』という未来。
 兄の死によってしか自由を得られないはずの少女。
 ――その笑顔を最後に見たのは、いつの事だったろうか。
 戻ることなど叶うまい。
 けれども、己の選択が、少女に更なる絶望を与えてしまうというならば。
「……アンタに言われるのは癪なんだがな」
 軽く息をつき、ゼロスは表情を変えない男へ視線を向ける。
「で? 無条件ってワケじゃねえよな」
「話が早くて助かる」
 そうしてクラトスが口にした話に流石のゼロスも絶句した。
「……おいおい、正気かよ?」
「無論だ。これはお前にしか出来ぬ事だろう」
 クルシスにしか存在しないアイオニトスの奪取。
 造られた天上の世界に足を踏み入れられるのは、選ばれた者のみである。
「ま、確かに、俺にしか出来ねえわな」
 クルシスに内通しているゼロスだけが、その資格を有しているのだから。
 アイオニトスは人間がエターナルソードを扱う為に必要な、エターナルリングの材料になるという。
 クラトスは、一人息子に全てを託す為。
 そしてゼロスは、最愛の妹を守る為に。
「……乗ってやるよ」
「契約成立だな」
 返事を確信していたかのような即答に、ゼロスは肩を竦めてみせる。
「どうだかねえ、そもそもロイドが俺を信用しなけりゃ成立しねえわな。……そうなったらアンタの負けだぜ?」
 抑えた声音が揶揄を含んだのは、賭けに乗った己自身への嘲りだったのかもしれない。
 しかし、ゼロスの言葉に男は笑みを洩らした。
 自信に満ちた、優しさすら感じさせる表情で。
「無用の心配だ」
「……えらい自信じゃねえの」
 呆れ顔を返したものの、相手から見透かされた視線を受ける気にはなれず、ゼロスは空を見上げるついでにクラトスへ背を向けた。
 生い茂る木々から連なる梢の向こうに、満天の星空が広がっている。
 修道院からも、この星空は見えているのだろうか。

 ――お兄様、どうぞ、お気をつけて……。

 耳に蘇ったのは、真実セレスが口にした言葉だったのか、或いは己が見た夢か。
 ……まあ、やるだけやってみるさ。
 微かな笑みを口の端に浮かべ、ゼロスはクラトスを振り返った。


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 ゼロスが死を選んだとしたら、セレスの愛情を奪い去って絶望へと突き落としてしまうのではないか、と思います。
 だからこそゼロス自身がそれを自覚して、生きる道を選んで欲しいなと…SSにまとめてみました。
 セレスの笑顔を取り戻すことが出来るのは、やはりゼロスだけではないかなと。

 ところで、ラタトスクではゼロセレが堪能できるとか…!
 セレスが素直にゼロスを兄と慕っていて、ゼロスが本心を隠すことなくセレスを大切にしている、そんなシーンが描かれる日が来ようとは!
 …いつか実際に遊んでみたい所です。

2009年02月01日 (日) 20時57分 (74)

幻想・07 オブラートの羽 (逆転裁判・ミツマヨ&ナルメイ)
長山ゆう | MAIL | URL
(3の最終話ネタバレです)


 事件が解決した後、糸鋸刑事の計らいで、その場にいた面々は揃って食事に向かう事となった。
 ……心遣いは良かったのだろう。しかし、レストランで出されたメニューについては誰しも一つ二つ、心に思うところがあったに違いない。
 ともあれ、立食形式の祝いの席は堅苦しさもなく、その和やかな雰囲気から自然と誰もが事件の解決に安堵している様子が伝わってきた。
 安否を危惧されていた真宵も、今は朗らかに笑っている。
 彼女の傍を離れない少女と賑やかに喋りながら。
 その笑顔に影が降りた。
「真宵くん」
「何ですか? 御剣検事」
 従妹の春美と一緒に食後のジュースを飲んでいた真宵は、傍に立った御剣へ変わらぬ笑顔を返す。
「すまないが、少し付き合ってもらえないだろうか」
「え……?」
 小首を傾げる彼女の隣で、同じくどこか戸惑った表情を浮かべる幼い少女へ、御剣は向き直る。
「春美くん。すまないが、少しの間、真宵くんをお借りしたい」
 大きく瞬きをした少女は、真宵と御剣の顔を見比べた。
「真宵さま……?」
「ええと、うーん」
 御剣の申し出の意図が読めない真宵は、もの問いたげな春美にどう応えれば良いのかわからないのだろう。
 御剣がより具体的な言葉を探すより先に、横から助け船が出された。
「春美ちゃん、僕からも頼むよ」
 いつの間にか三人の元へ歩み寄っていた成歩堂は、春美に笑顔を見せた。
「こいつも真宵ちゃんの事を心配していたけど、帰国早々事件解決のために走り回ってくれてたからね。ろくに話もしてないんだ」
「まあ!そういえば、御剣さんは外国にお住まいなのでしたね。真宵さまのためにご協力いただいて、感謝の言葉もありません。このたびは本当にありがとうございました」
 深々と頭を下げられ、御剣は少しばかり慌てた。
「いや、礼には及ばない。私が望んで行った事だ。真宵君が無事で何よりだった」
 最後は本心である。社交辞令ではない。
 声音でそれが伝わったのだろう、春美は御剣へ嬉しそうな笑顔を返すと、改めて真宵を見上げた。
「真宵さま、私はこちらでお待ちしています」
「うん。じゃ、ちょっと行って来るね、はみちゃん」
「ありがとう」
 御剣の礼は春美に向けられたものだったが、一瞬だけ向けた目線に成歩堂は小さな笑顔を返してきた。
 お見通しという事なのだろう。
 視線を少しばかり和らげた御剣は真宵と共に店を出た。
 流石に建物を出ると喧噪も耳に届かない。つい先程までの賑わいが嘘のように、外は静まり返っている。
 店の裏手にある駐車場の片隅で、御剣は足を止めた。
「すまないな、君が戻った祝いの席だというのに」
「いえ、あたしも御剣検事とゆっくり話ししたいなって思ってたから、良かったです」
 真宵は正面から御剣に向き直り、頭を下げた。
「はみちゃんに先を越されちゃったけど……本当にありがとうございました」
「先程の繰り返しになるが、気にしないで欲しい。私が好きでやった事だ。何より、君が無事で本当に良かった」
「御剣検事……」
 真宵の瞳が微かに揺れた。
 気弱な表情が垣間見えた、直後。
 真宵はにっこりと全開の笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます!そういえば、なんだか久しぶりですよね。ええと、前に戻ってきた時は……」
「誘拐事件だったな」
「あ」
 目を丸くする真宵に、御剣はつい、笑みを誘われた。
 それが却って彼女を慌てさせたらしい。
「きゃわわわわ!そうだ、あの時も……その、ありがとうございました!」
 ぴょこんと頭を下げる真宵の大袈裟な動作に、御剣が返した声は自然と笑いを含んでしまう。
「いや、気にすることはない。しかし……変わっていないな、君は」
「あはは。御剣検事も変わってなくて、安心しました」
 御剣は海外での生活が基本となっている。滅多に日本に帰ることはなく、その機会が出来るのはもっぱら成歩堂や真宵に関する事件が発生した場合に限られていた。
 そのせいだろうか。こうして、日本で馴染みの顔を見るたび、戻ってきたと実感できるのだ。
 ……無論、事件が片付いてからの話である。
 矢張の電話を受け、病院で成歩堂の話を聞き、一日だけの弁護士を引き受け、行方のわからなかった彼女を捜し……。
「正直、君が見つかるまでは生きた心地がしなかった。成歩堂も気が気ではなかっただろう」
 瞬く間ともいえるこの数日を思い返し、御剣は改めて本心を言葉にする。
 真宵が無事だったからこそ言えるのだ。
 今回命を狙われていたのは、まさにこの少女だったのだから。
「その……心配かけてごめんなさい。でも、もう大丈夫ですから!」
 真宵が殊更に明るい声を出す。
 御剣の言葉に一瞬浮かべた申し訳なさそうな表情を払拭するかのように。
 真宵の様子は普段通り、いや、むしろより一層元気に見える。
 ……確かに、事件は片付いた。
 だが。
「真宵くん」
「はい?」
 名を呼ばれた真宵は屈託のない様子で御剣を見返した。
 しかし、御剣は何も言わず、真宵をただ見つめている。
「みつるぎ検事……?」
 言葉を切ったままの相手へ、真宵は不思議そうに呼びかける。
 やがて、御剣はおもむろに口を開いた。
「私はあまり口が上手くはない。自分の考えを伝えられるか、正直な所、自信がないのだが」
 自身を見上げる少女の曇りのない瞳。
 それが翳る様など見たくはない。
「君は強い人だと思う。それは非常に尊いものだ。だが、今でなくては表に出せない感情もあるのではないだろうか」
「……?」
「守るべきものがある人間の強さは計り知れないものだ。だが、今だけは……母君の事を想っても、誰も君を責めたりはしないだろう」
 瞠目した真宵が息を呑む。
 同時に、その両手は、強く握りしめられていた。
 真宵はじっと御剣を見上げている。
 御剣もまた、真宵から視線を逸らさない。
 二人の間に沈黙が降りた。

 やがて、御剣が深い溜息をついたのは、どれくらいの時間が経ってからだっただろうか。
「……不躾な物言いをしてすまない」
 その言葉によって呪縛が解けたかのように、真宵は瞳を瞬かせた。
「あ、あの、あたし……」
 しかし、言葉が続かない。
 御剣は自己嫌悪に陥った。
 ──やはり、自分はこういう事が下手なのだと、痛感する。
 他に何がしかの言い回しがあるはずなのだが、そういった機微に疎い自身への苛立たしさが募るばかりだ。
「何で……」
 ぽつりと、真宵が呟いた。
「ん?」
「何で、そう思ったんですか?」
 疑問を投げかける少女に対して、御剣はただ一言を返す。
「当然の事ではないだろうか」
「え……」
 御剣にしてみれば自明の理でしかなかったのだが、真宵は激しく動揺した。
 言葉を失った彼女は咄嗟に目を伏せたが、その瞳が不安に揺れていた事を見逃す御剣ではない。
 ──真宵は常から従妹の幼い少女を気に掛けていた。
 今回の一件は過去に端を発した、彼女の家を巡る事件でもある。
 気丈な振る舞いは守るべき者のために。
 母を亡くした悲しみを胸の奥に抑え、元気な姿を見せるその強さは立派だろう。
 だが、表に出さない悲しみや、痛みは、果たしてそのまま薄れてゆくのだろうか。
「……本来ならば、成歩堂に任せるべきかと思ったのだが……放っておけなかった」
 祝いの席で朗らかな笑顔を見せる真宵は、普段と変わらない様子だった。
 天真爛漫で、明るい笑顔の似合う少女。
 だが、そんな筈はないのだ。
 彼女の無事を喜んだと伝えたときの頼りなげな表情が、御剣の脳裏をよぎる。
 笑顔の蔭に隠された素顔。
 ひとたび覆われてしまったならば、表に出ることはないのだろう。
 それもまた一つの強さだ。
 ──だが。
「私では役不足かもしれないが。今だけは、我慢しないでほしい」
 真宵がゆっくりと伏せていた顔を上げる。潤んだ瞳に、今にも泣き出さんばかりの表情で。
「……みつるぎけんじ……」
 真宵の瞳にみるみる涙が溢れた。
「ご、ごめんなさい!だ、大丈夫です、から、その……」
 慌てる真宵が両手で目をこする。しかし、逆に溢れた涙は頬を伝い、いくつもの雫が地面に落ちた。
 御剣が手を伸ばす。懸命に涙を堪えようとする少女を優しく抱き寄せた。
「……もう、我慢をしないでもらえないだろうか。今だけで構わない。君の……無理をする所を見たくはない」
 ほどなくして、御剣の胸から嗚咽が漏れた。
 母親と姉の名を呼ぶ声と共に。

 派手に泣いた後は気恥ずかしさが残るものだ。
 それでも真宵は吹っ切るように顔を上げると、少しだけ、笑顔を見せた。
「ありがとうございます。なんだか、すっきりしました」
「そうか、良かった」
 控えめながらも翳りのない笑顔に、御剣は安堵する。
「でも、ごめんなさい。急に泣き出したりして。大丈夫だと思ってたのに……」
「我慢強さも強さだろう。だが、感情を押し殺す必要はない」
「そう、ですね。……ありがとうございました、みつるぎ検事」
「うム」
 そっと微笑む真宵へ、しかし御剣はどこかぎこちない呟きを返す。
 僅かばかりの時間の後、御剣は彼女の名を呼んだ。
「……真宵くん」
「はい」
「ひとつ、提案があるのだが」
 不思議そうな、けれどもどこか期待に満ちた眼差しから御剣は微かに目を逸らした。
「その、私を呼ぶ時にだな、検事とつける必要はないのではないだろうか」
 途端に真宵の瞳が輝いた。
「はい!じゃあ、みつるぎさん、ですね」
 満面の笑みを浮かべる少女につられるように、御剣は小さな笑みを返す。
「ああ。ありがとう」


「……少し、意外だったわね」
 糸鋸刑事と何やら話している春美を見やりつつ、冥は成歩堂へ声を掛ける。
「何が?」
「貴方は真宵の保護者でしょう? レイジに任せるなんて」
「確かに僕は保護者代わりだけど、こういうときにしゃしゃり出るものじゃないよ」
 保護者は子どもを守る立場にある。
 だが、しかし、それは時と場合によるものだ。保護者が認めた人物が子ども――保護すべき存在を守りたいと申し出るならば、任せるのもまたひとつの務めだろう。
 子どもはいつか独り立ちをする。いつまでも保護者でいられるわけではないのだから。
「あいつは人の心の痛みがわかる奴だからさ。って、言うまでもないよな。君の方がよく知ってるか」
「どうかしら。でも……そうね、今はレイジに任せた方がいいのかもしれない、とも思えるわ」
 二人が出て行った戸口に目を向け、冥が応じる。
 気のせいか、普段よりも少し柔らかな口調で。
 冥を見つめる成歩堂の頬に笑みが浮かんだ。
 しかし、口をついて出たのは全く別の事である。
「ま、今は僕が春美ちゃんを見ている方が安心できるんじゃないかな」
「……それは私に対する皮肉かしら」
 途端に冷たい視線が成歩堂へ向けられた。
 当初、敵対関係にあったせいだろう、春美は冥に対してあまり良い感情を持っていない。
 意外に子ども好きであり年配者を敬う冥には、春美の態度は相当にショッキングだったらしい。
「ってっ!」
 冥の鞭が飛んだ。どうやら、つい口元が笑っていたらしい。
「なんでこんな所に鞭を持ち込むんだ、君は」
「これは私の商売道具よ。肌身離さず持ち歩くのは当然だわ」
「意味が違うと思うんだけど……いやだから振り回すなって!」
 照れ隠しであることがわかっているからこそ、つい顔がにやけてしまう。そうして鞭がふるわれる。堂々巡りというヤツだ。
 しかも、内心この状況を楽しんでいるのだから、我ながら始末に悪い。
 とはいえ流石にここでの騒ぎはまずいだろう。
 成歩堂は咄嗟に口を開く。
「春美ちゃんが怯えるぞ!」
 ぴたり、と冥の動きが止まった。
 突然起こった騒動は室内の注目の的になる。
 当然ながら、春美も目を丸くして二人を見つめていた。
 ちらと幼い少女の様子を横目で見た冥は、成歩堂に対して不本意そうな表情を浮かべたままではあったが、しぶしぶ鞭を片付けたのである。
 普段の彼女からすれば、有り得ない出来事だった。
 ……意外に効くな、この一言。
 成歩堂が感心したのもつかの間、彼に向けられた突き刺さるほどに鋭い冥の視線が、パーティ後の波乱を明確に予感させていた。


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 シリアス話なのに、オチがこの二人だとこうなります…(笑)。

 DS版3をクリアしまして、ミツマヨでこの辺りを書いてみたくなりました。
 御剣は真宵の明るさや優しさに心惹かれていると思います。
 だからこそ、こういう時に支えて欲しいなと。
 ナルメイは相変わらず…進展はもう少し先になりそうですね。

2008年03月20日 (木) 20時20分 (73)





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