一一九回グランパ句会
二〇〇九年十二月七日(月)旧十月二十一日
兼題「日」」
1 冬の日や洗濯物が乾かない
2 冬の日の静かな怒りカラスの目
3 老いが恋意味無くカニフを買いにけり
4 冴ゆる心に赤い飴玉
5 日も月も巡りてセロリぽきん
6 失いし日時計捜す落葉かな
7 さらばえてもう帰れじの伯労の贄
8 鮭を焼く音しかしない冬日和
9 雪しぐれマラソン観戦日和かな
10 薄日さす霜月昼の雨あがり
11 師走風日々追いつめられる気持ちかな
12 待ち人を遅く感じる冬の雨
13 ヘルパーを断り爪の手入れする
14 封印を解いてまた閉ず旅の果て
15 光も風も干からびる年の暮
16 嬉しさはうらら陽だまり落ち葉焚き
17 きれいな空から冬がはじまる
18 耳が先ず痺れサルトリイバラかな
19 神の留守晦日に惑うしもつ闇
20 雪化粧明日は玄武の骸かな
21 セーターを着て玉ねぎを買いに行く
22 封印を解いてまた閉ず旅の果て
23 追いかける小春日和や姪は亜子
24 冬快晴小春日和によどむ目
25 ふくふくと大根(でいご)煮詰まる日暮れかな
26 時雨にはポインセチアを買いたくて
27 晩秋や蟾蜍と浴びる露天かな
28 十二月八日父と腕を組む
29 眼に沁みる玉葱切ってバッハ流れる
30 こぼれ花朝(あした)に霜の薄化粧
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注カニフ フランスの折りたたみナイフ
玄武 中国古代の想像上の動物。東西南が青竜・白虎・朱雀
蟾蜍 センジョ ひきがえる