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駅前にある銀行のATM支店から出てきた俺は冬だと言うのに額に汗がびっしょりだった。 別に悪いことをして来た訳でも無いのにである。
お店の会計事はカーチャンに任せっきりで俺は銀行なんてほとんど行ったことはない。 そんな訳で銀行のATMなど触ったことが無かった。 最近とある会の会計を受け持つ事になり、どうしても自分で銀行口座の出し入れをする必要が出てきた。 いつまでもカーチャン、カーチャンと言う訳にもイカンので実際にATMを体験することにした。 先生役にカーチャンを横に置いてである。
ATMの前に行くと「いらっしゃいませ」とATMがしゃべりよる。 うん、うん、そうか、最近のATMは挨拶しよるんかい、と感心する。 ATMの画面を見るとご用件を選択して下さいとある。 メニューが8ヶほど並んでいる、お振込みとかご出金とかいろいろ書いてあるが取り合えず通帳の残高を確認したいのでカーチャンに聞くと「記帳じゃ!」と一言。
チェッ、もうちと優しく言えんかいの・・と思いつつ、恐る恐る通帳記入と書いてある所をタッチする。サッと触るとピッと反応して画面が切り替る。おおう、このタッチパネルなかなか反応が良いじゃん。 画面は通帳を開いて挿入して下さいとある。なるほど順に指示がでるんだな、と安心する。
通帳を開いて挿入する。でも通帳のページが一杯になったら次のページは誰が開いてくれるんかな?と心配性の俺は考える。機械がなにやらカチカチと音を立てている、ああ、今通帳に印刷しとるんじゃなと想像する。 音が収まると通帳が出てきた。これで一件落着。
次は入金をしてみる。 機械はまた「いらっしゃいませ」と挨拶している。一件仕事が終わったから別の人が来たと思ってるんじゃな、この機械。律儀なのでまあいいか。入金の文字をタッチする。通帳を入れ金額を入れる、5420円だから5と4と2と・・タッチの反応が良すぎる、ぐっと押したら2回押したようになって5422となった。しまった!あわててもう一度2を押すと54222となってしもた。俺、54,222円も持ってない!。
この辺から俺の額に汗が滲み出てきた。カーチャンの顔を窺うと「なにしとんねん!取り消しじゃ!取り消し!」。画面を良く見るとなるほど下の方に取り消しとの文字がある。取り消しをタッチして再度今度はゆっくりと慎重に5420とタッチしていく、しめしめ今度はうまくいったぞ、と、しばらく待つが機会の反応が無い、 横にいるカーチャン「円、円!」と叫ぶ、大分イライラしている様子。
そうか、金額を入れた後は円を押さないと入力完了とならないのか、なるほど、と妙な所で感心する。 円をタッチすると入力金額の確認があって確認をタッチすると紙幣だけですかと聞いてくる、紙幣だけをタッチすると紙幣投入口が開いてお金を入れろと要求してくる。千円札6枚をいれて投入完了をタッチすると投入口が閉まってガサガサ音がしている。ふむふむ、いまお札を勘定しとるんじゃな。 しばらくするとガチャガチャと音がして硬貨の投入口が開いてつり銭が出てきた。計算するとつり銭はピッタリ合ってました。賢いもんじゃ。
やっと終わりじゃとATMのドアを開けようとすると他のお客さんが5,6人並んでいる、冷たい視線を浴びながら汗を拭き拭き「スンマセン」と外に出た。 カーチャンのたまう「ほんまにトロトロして!!」と・・
じいちゃんばあちゃんがATMを毛嫌いするのも無理ないな。電気屋の俺でさえこうなんだから・・
本年もお世話になりました |
ど〜しん [548] 12/25/(日) 22:07:05
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「チェッ、もうちと優しく言えんかいの・・」 すべてはこの中に凝縮されておる!
うちではこんなとき「ポンポン言わんといて!」と反撃してるんだが 「これが普通の言い方じゃ」と言いくるめられてるですよ・・・ どうも、同じ境遇に住んでるような、、、
でも、このごろ夫婦が円満にいけるコツは夫婦が一番良く知ってる と、だんだんわかるようになってきました。 カアチャンの手のひらに乗ってるのが一番気楽なんですね。
コケが生えてきたんでしょうかネエ。
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