先日、臨床心理学家の河合隼雄先生がお亡くなりになられました。図書館で先生の著作「こころと人生」というタイトルの講演記録を見つけ拝読いたしました。中にユングについて語ってらっしゃる箇所があり個人的に非常に興味深く、感じ入った。ユングは幻聴ともいえる声が聴こえてきた状況を経験しているそうです。ある意味「精神病」ともいえる状況の中、ユングはその声に支配される事なく状況を分析したそうです。ユングが自分の体験した事を書いたノートに「自分は精神病と近い状況になってはいるが、そこで体験している事は昔の宗教家が体験した事や、昔の宗教の本に書かれていることと非常に良く似ている」という事が書かれているそうです。それはそれとして。
私がこの辺りを読んで思いついたのは。ゴッホの事。人々の心を打つ作品を残しながら、生存時全く認められなかった事が引っかかっている。いつもその事だけを考えている訳ではないのですが、常に脳の片隅にあるらしく、上記ユングの一節からゴッホについて思い付いた事。ゴッホはその言動で当時、変人扱いされ、精神病棟にもいた時期がありますが。実は、ただ解ってもらえなかっただけじゃないのでしょうか。彼が耳を切ったのは、幻聴ともいえる声がどこからか聴こえていたのかもしれない。若干、自身の欲求を他者に伝える際、当時の環境と相手の事情やらで、彼の思いが成されない状況にあったとしても、実はゴッホの方が真実を見抜いていたのかもしれない。人は環境の中、自分の立場を守る為、彼の思いに答えられなかったり、解らない事を彼が変だと決めつけていたのかもしれない。ただの思いつきですが。
数年前、神戸でゴッホ展覧会を見ました。ゴッホのキラキラした魂が宿った絵から受けた印象が忘れられない。後、好きなのはアマンドの花の絵。
河合隼雄先生の著作は随分と読ませていただいたのですが、そのお陰で人に対する接し方も学べたような気がする。河合隼雄先生の著作で一番好きなのは、先生の自伝。新書版で出版されてます。上・下巻だったはず。部屋の段ボール箱から発掘して最読しなきゃ。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。