ヘリはマザーベースの片隅で大炎上していた。MSFの衛生兵たちが駆け寄る。真っ赤な炎に包まれたヘリは消化できそうにない。
衛生兵1「どうする、中には人がいるぞ。このまま見殺しにはできない!」
そうは言いつつもやはり行動には移せない。しかし、命令に背くこともできない。
衛生兵2「早くしないと死ぬぞ!お、俺は行くからな…。」
衛生兵2は今にもこの煉獄へ飛び込もうとしているが、こちらも踏み出せない。すると衛生兵たちの目に何やら動くものが見えた。
衛生兵1「こちらはMSFの衛生兵だ。聞こえるか!?」
返事はない。だが確実に中で人がもがいているのが見えた。この悲惨な状況に目を背ける兵士もいた。
衛生兵1「生きる、そして戦うことが俺たちの意味だ!」
こういって衛生兵1は炎の中へ飛び込んだ。
衛生兵2「あ、おい、…俺も行く!Bチームは消化を頼む!」
Bチーム衛生兵隊「了解!」
この号令で、一斉に消火救出作業が始まった。
Bチーム隊長「お前たちはヘリの消火、残りの5名は救助の準備!開始!」
炎の中ではヘリの操縦席に到達していた。するとここで、目を疑うような事実が発覚した。
衛生兵1「こいつは…!」
衛生兵2「ああ、間違いない。我が実戦部隊の最高責任者、ジョン・ハウディだ。」
2人は彼を丁重に抱え救助した。彼は衝撃で気絶しているらしく、どんなに呼んでも目を開けることはなかった。
外に運び出した後は救命用担架に寝かせられ、医療班の応急手当室に運ばれる。そして、2人はせっせと次の救助へ向かうのである。
20分程たつと火もだいぶおさまってきた。
衛生兵1「もう人はいないか?」
衛生兵2「ああ、もういないようだ。よし、ボスに報告だ!」
2人が出ようとすると、ガスが漏れたような空気の音が聞こえた。
衛生兵1「何の音だ」
消火器具を構えて近寄ると、TNT火薬が爆発したかのように2人が吹っ飛ばされる。
衛生兵2「グハ…、な、何が起きた…」
実は2人が救助している間に持っていたスモークグレネードを落としてしまいそれが熱風
で空気が膨張し爆発を起こしたのである。しかしスモークグレネードの煙は引火性はな
い。つまりこの炎が燃料タンクの爆発とは別の原因で発生した有毒ガスが混じっているの
だ。当然MSFの衛生兵たちがこれに気付くはずもなく、ただ事件は悪化していくのみだっ
た。
〜続く〜