No.1133 METAL GEAR SOLID 無名の大陸 [ゼロ |
投稿者:Y
|
?「作戦はどうだ?英雄ビッグボスを相手にしているからな。なかなか手筈がつかないだろう。」
オセロット「いえいえ、そんなことはありませんよ。今回の件には私がかかわっているのです。わたしはビッグボスと一番仲が良かったGRUの、リボルバー・オセロットですよ。侮られては困ります。そちらの方は?」
?「もう12歳の誕生日を迎えたよ。そろそろ劣性と優性に分けるころだな。」
オセロット「そうですか。しかし、私の真の目的はロシアの再建、あくまで言っておきますがあなたのコマになるつもりはありませんよ。」
慣れた手つきで6連発リボルバーを指先でくるくると回す。
?「ビッグボス、お前の野望も終わった。残念ながらビッグボスを一番よく知るのはこの私だ、オセロット。勘違いしないでほしい。」
オセロット「なら、あなたが彼を痛めつける理由はないはずです。あなたがよく知る人物はザ・ボスではなくて?」
?「黙れ!ボスは死んだ!お前なんざに何がわかる!?」
オセロット「では、また後程。」
マザーベースでは火の海と化していた。
スネーク「ゼロ、お前のことだ。・・・俺を攻略しているのだろう。だが、お前にはこの俺は殺せない!」
そう叫ぶとスネークは、マザーの司令塔3階からFAMASを持って勢いよく飛び降りた。常人なら足の裏の骨くらいは折れているだろう。脱出用ゴムボートを持ち、海に放り投げた。
スネーク「この戦いにお前たちは巻き込めない!いますぐここから逃げろ!!命令だ!俺の最期の命令だ!頼む!逃げてくれ!!」
そういうとスネークはヘリに乗り、わずか数分でマザーを発った。
スネーク「システムを乗っ取り、いい気になってるんだな!ナノマシンが止まればお前はただの廃人だ!!」
そしてスネークはヘリを一気に加速させ、北北西へ向かった。
オセロット「おやおや、お友達がお出ましですよ、ゼロ。」
ゼロ「フフフ。楽しいことが始まりそうだ!」
オセロット「彼のことです。あなたをきっと倒して見せますよ!」
ゼロ「それはどうかな?オセロット。ヤツには致命的な弱点があるのだよ。もっとも、我々も同じだが。しかしうまく使えば彼は何もできなくなる。私はその方法を知っている。」
オセロット「そうですか。ですがそれを使えばあなたの周りから兵士が消えていくことを意味しますよ。勿論私を含めて。」
ゼロ「フン、構うものか!」
オセロット「ならば私はここで手を引いておきましょう。ではまた、親愛なるゼロ」
ゼロは葉巻を取り出すと喫い始めた。制御室に孤独な煙が立ち上る。
モニターには一台のヘリが到着しているのをはっきりと映し出していた。形からしてMi-24 ハインドだろう。ゼロはそれをゆっくり眺め、口元で笑った。
スネーク「蛇は一人でジャッカルへ立ち向かう。」
スネークはそんな独り言を言いながら施設の内部へ潜入する。長い階段をさっさと降り、正面のエレベーターに駆け込む。階数は3Fまでしかつながっていないがためらわずに乗った。その間、右手にハンドガン、左手にサバイバルナイフのCQCスタイルを崩さなかった。扉が開くとすかさず敵の位置を探った。
目の前には数台のM1戦車が並び天井はせいぜい10m位といったところだろう。視界は限られていて、左は狭く見通しが悪いとにかくスネークはそこへ隠れ作戦を立てようとした。しかし、突然後方からかすかな足音が聞こえ反射的に振り返る。
??「さすがはビッグボスの異名を持つ男。敵の位置を探るのが早い。」
男はそういうとホルスターから6連発リボルバーを取出し、手の中でくるくると回し始めた。この口調、しぐさ、プラチナブロンドのショートヘア、間違いない。
スネーク「まさか、オセロット!?」
オセロット「久しぶりだな。20年ぶりといったところか。ずいぶん老けたな」
スネーク「お前もな。」
スネークは警戒を緩めなかった。オセロットは撃てといわんばかりに両手を広げる。
オセロット「大丈夫だ。阻止しに来たわけじゃない。そもそも俺はこの計画に反対していたからな。」
スネーク「計画だと?」
オセロット「そうだ。ゼロはただお前を攻撃しているわけじゃない。どうやらゼロはお前のクローンを作っているようだ。聞いた話の中ではな。」
スネーク「俺の、クローン?」
オセロット「そうだ、詳細は知らないが。だがそんなことはどうでもいい。肝心なのはここからだ。ヤツはお前に対抗するための高度な技を磨いているぞ。戦えば分かるさ。これからの未来はお前の手にかかっているといってもいいかもしれん。もしお前がしくじれば世界はゼロの手に落ちるだろう。お前が勝てれば、ゼロの臨んだ世界はそう遠くない未来に延期される。だがお前はその間世界を陥れた凶悪犯罪者として、ずっと語り継がれることになる。っどちらを選ぶかはお前次第だ!」
スネークは少し黙りこみ、オセロットに尋ねた。
スネーク「お前はこれからどうするんだ?またGRUに戻るのか?」
オセロット「こんな汚名を背負っている以上は俺に居場所はない。ロシアの再建に努めるだろうよ。最後に教えてやる。ここは全てがモニターで丸見えだ。だが兵士は一人もいない。ゼロは少なくともお前がヤツのもとへ着くまでは生かしておくらしい。それじゃ、またどこかで会おう、スネーク!」
そういうとオセロットは屋上へ走って行った。どこから逃げるのだろう、スネークはそんなことを考える前に制御室へ足を運んだ。
ゼロ「チッ!オセロット、余計なことをペラペラと!まあいい。あいつが何を話そうと、ビッグボスにこの私を止めさせることはできまい!せいぜい楽しんで殺すか。」
ゼロはPANカードキーLEVEL5(最高機密位の部屋を開けるカードキー)でモニターの裏側へと入る。ここはオセロットにも知らせていない”ゼロの部屋”だった。中はこの頑丈な作りの施設とは思えないほど狭く、そして木造だった。開けるのは10年前以来だ。まずゼロが目を付けたのは壁に飾られた1枚の写真だった。
ゼロ「ボス、これは間違っていない。あなたの意志を継ぐための唯一の手段。計画は着々と進んでいる。20年前のあなたの言葉を思い出します。蛇は一人でいい。私はビッグボスに代わり蛇になる。どうしてだろうか。今までしてきたことの成果、それがすべてここで出し切れるのに。今ではむなしく思える。ためらいさえもが私の心の中で生まれてきている。・・・ふん、これも今日までのこと。もう終わるのだから。」
ゼロは最後に握ったのがいつだかわからないほど古い旧ソ連製18mmマシンガンを手に持ち、次世代、アメリカが採用しようとしているスカルスーツ(潜入任務用スーツ)の生地を利用した収縮性防弾スーツへと着替えた。腰のベルトにはニホントウと呼ばれた長い刀を提げていた。弾薬はベルトいっぱいに200発入ったカートリッジを9箱取り付けた。 ゼロ「第二次スネークイーターの始まりだ!!」
その頃スネークは中央制御室に向かっていた。丁度渡り廊下を渡っていた時だった。外からの巨大な影で渡り廊下は少し暗くなった。スネークはすかさず銃を構える。それは、まだ設計モデル程度までしか完成していないハリアーだった。それも操縦席が明らかに異彩を放っていた。狭すぎるのだ。人が入れるような大きさではなかった。つぎに起きたことがスネークを驚かせた。ハリアーの上にあるモニターから映し出された人物、ゼロだった。
ゼロ「フハハハハハ!!驚いたか、スネーク!久しぶりだな、英雄かぶれの裏切り者!」
スネーク「裏切り者?俺は任務に忠誠を誓っただけだ。そもそもお前の方こそよくも俺をだましてくれたな!」
ゼロ「だましたわけじゃない。世界秩序の一部になってもらっただけだよ。」
スネークが作戦を練る間もなくハリアーはこちらへ突っ込んできた。耳をつんざくような素様じい轟音と一瞬にして遮断された渡り廊下。スネークは久しぶりに任務の臨場感を感じた。何とか向こう側の棟へ渡り壁に張り付き様子をうかがった。
ゼロ「ハッハッハッハッハ!!ほらほら後ろにも気を配れ、スネーク」
事実、スネークの後ろからは数台のM1戦車が迫ってきていた。さっきまではあの格納庫に置いてあったあの戦車だ。スネークは考えた。数分間逃げ回っていると見えない何かにぶつかった。ステルスのかかった壁らしい。どれだけの金を費やせばこんな小細工ができるのか考えることなく後ろからはM1戦車が迫ってきている。
スネーク(そうか、こいつらはみな、AIで電波受信して命令を受けているのか。なら簡単だ)
そしてスネークはチャフグレネードを取出し3発すべて投げた。この間にゼロのいるはずである中央制御室へ向かおうと考えた。 バン! 少しの爆発音で辺りに金属箔が散らばった。
ゼロ「ほほう、さすがだスネーク。こいつは面白い。さて、制御室で待っているぞ!」
スネークはすぐに奥のPAN5と書かれた部屋へ走って行った。グレネードを投げまた物陰へ隠れた。爆発音を確認し、破れた扉の向こうへ駆け込んだ。
ゼロ「待っていたぞスネーク。さすがに警戒を敷かなければ物語が早くなるな。だが、お前の物語もこれで終わりだ!バッドエンドとしてせめて最後の言葉ぐらい用意してくれよな!」
スネーク「そう言ってられるのも今の内だ。さっさと姿を現せ!」
ゼロ「いいだろう。」
そういうと黒いスーツで身をまとったゼロが現れた。
ゼロ「さあ、ラストバトルと行くか!!」
素早い身のこなしでスネークの後ろへ回った。ニホントウをスネークに振りかざした。
ゼロ「死ね!」
スネークは左へローリングし回避した。すかさずCQCの構えをすると腹にカウンターを入れてやった。
ゼロ「ハハハ、そんな攻撃ではこの私と戦うことは不可能だ!」
そして空高く宙に舞うと一瞬で姿を消した。
スネーク「!?」
動揺したもののスネークの第六感が後方からの気配を感じ取った。スネークは地をけり突進した。
ゼロ「う!やるな」
少し不意を突かれたゼロは18mmマシンガンに持ち替え、スネークに向けて撃った。
スネーク「ぐはっ!」
スネークの右肩を掠り後ろのモニターの一部に当たった。しばらくしてサイレンが鳴り始めた。緊急警報だ。
スネーク「これは・・・」
ゼロ「残り時間は5分。ここをC4で爆破する!」
スネーク「汚い手を!」
ゼロ「なぁに、それだけじゃないさ英雄ビッグボスからのメッセージとして核の発射準備も整った。」
スネーク「くっ!」
ゼロ「核発射までの時間は3分。きっちり再現してやった。スネークイーターだ!」
スネーク「ふざけるな!!何の真似だ!お前は人間じゃなくなってしまったようだな!」
スネークはゼロに向けてFAMASを乱射した。しかし、弾は全てスーツで弾き返された。
ゼロ「何とでも好きに言うがいいさ!いずれはお前も狂人として語り継がれるのだからな!!」
言い終わる前にゼロはスネークにナイフを投げた。スネークはそれを逃さなかった。しゃがんで回避するとゼロに向かって走った。
ゼロ「こしゃくなことを!」
ゼロが腕を振る。あっけなくスネークは反対の壁まで投げ飛ばされる。
スネーク「グあぁぁ!!」
スネークは気絶しかけた。しかし、彼の精神はそれを許さなかった。
ゼロ「何度やっても同じだ。初戦蛇は蛇、毒を抜けばお前に勝ち目はないぞ!」
ゼロは全身全霊を込めてスネークに突進を仕掛けた。
スネーク「・・・この腐れ外道が!!」
ゼロ「テエエェェ!!!」
壁にぽつりと穴が開いた。場に静寂な空気が漂う。
穴からはスーツが破け生身の体となったゼロが出てきた。
ゼロ「ハハハ・・・。スネーク、やはり貴様は私とともに死にゆく運命なんだな」
ゼロの勝利の余韻に浸った笑い声が響く。
ゼロ「これですべてが片付いた。私もようやく目的を果たせた!!」
??「ならなぜおれは生きている?」
ゼロ「ま、まさか!その声は!?」
??「俺を殺せたと思ってないだろうな!」
ゼロ「スネエエェェク!」
スネーク「やはりそんなものだったか!」
ゼロ「何故だ!なぜおまえが生きている!そこの死体は確かに・・・」
ゼロは目をやった瞬間驚愕した。
ゼロ「回避したのか!?」
スネーク「ついでに置き土産もしてやった」
穴の開いた場所にはスネークの死体も血もなかった。唯一あったのは・・・
ゼロ「クレイモア・・・だと?」
スネーク「そのスーツは弾丸をはじくためゴムを自動的に収縮させるようできている。だが収縮させればその分ほかの部分は弱くなる。クレイモアで一気に弾丸を飛ばせばどこかしら穴が開く。そこから収縮された分だけスーツは避けていくって寸法だ。」
ゼロ「卑怯者!」
スネーク「卑怯者はどちらかな?俺はただ戦いの条件を対等にしただけだ。」
ゼロ「ハハ・・。立派に育ったなスネーク。だが私には最終手段があるのだ!」
ゼロはそういうと制御室のモニターのボタンを押した。
ゼロ「さらばだ!スネーク!」
ゼロがそういうと防弾ガラスがゼロの前に現れ、次々にゼロを囲むように防弾ガラスが現れた。
スネーク「何をする気だ!」
ゼロは答えず、口元でにやりと笑った。そして次の瞬間、大きな揺れとともにゼロの乗っている床が切り離され、爆発的炎上を起こした。
スネークは思わずしゃがみこんだ。
スネーク「・・・!」
目の前から床が消えていた!ゼロの乗っていたあの床が! しかしスネークは重要事項を思い出した。スネークはここから脱出しなければならないのだ。
スネーク「残り時間2分、ヘリを、ハリアーを使えば!」
スネークは先ほど通った渡り廊下まで走った。ハリアーはまだ起動しそうだ。スネークは一階まで出飛び降りた。 その時、近くで兵士たちの悲鳴を聞き取った。こちらへ向かってきている。
急いでハリアーの操縦席を開けた。幸いにもハリアーは、無傷でしかも操縦席のロックが外されていた。
残り時間1分
急いでヘリに乗るとヘリの操縦をマニュアルへ切り替えた。エンジンをかけ、上へ上昇させた。しかしヘリは一向に上がらない。どこかに閊えているのだ。
スネーク「くそ!時間もない!」
そしてようやくヘリが上がるころには残り時間20秒を切っていた。 総力を挙げて前進させた。通常なら一気にスピードを上げると空気抵抗で予期せぬ方向へ飛んでしまうのだが、今回それをためらっている時間はない。 時速は200kmを超えた。建物からはすでに500mほど離れていた。
3,・・2,・・1・・・
スネークが数え終わると建物は一気に爆発した。爆風はスネークの乗っているハリアーにも届いた。機体が大きく揺れる。
―――1時間後のマザーベース―――
オセロット「ええ例の計画は予定通りです」
??「ゼロはどうなった?」
オセロット「どうやら命からがら逃げたようです」
??「そうか。あの男は1つ俺のことを勘違いしているようだな」
オセロット「勘違いというと?」
??「もうすでに次なる計画が始まっていることに気付いていないようだ。それにこの俺を劣性としたことを罪とも思っていないようだな」
オセロット「はい、どうやらそのようです」
??「オセロット、お前はその島のふさわしい名前がわかるか?」
オセロット「ふさわしい?名前なんて必要ありませんよ」
??「俺たちは今日からその島の名を、”シャドーモセス島”と呼ぶことにしよう」
――あとがき――
これまで読んできてくださった方々本当に感謝します。最初は意味不明な展開で最後も意味不明な展開でホントすみません。最後は無理やりまとめた感がにじみ出ていると思います。できるだけ本ストーリーに沿って話を進めたつもりです。お礼と言っては何ですが最後の??はストーリーを知っている方はバレバレでしょうが、リ○ッドです。
次回は「MGS×とある魔術の禁書目録」という形で行きたいと思います。勝手ですがどうぞよろしくお願いします!
感想・意見等がある方はRESにお願いします。それでは。
METAL GEAR SOLID 無名の大陸 〜完〜
|
|
2011年05月07日 (土) 17時33分 |
|