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[278] | 読書のバリアフリー | miyamokko 05/15(土) 08:51 |
1.障害者の読書と法律の関係 2010年5月13日掲載 「障害者の権利条約」が国連で採択され、日本でも障害者の生活を改善する法整備が進められています。障害者を取り巻く読書環境の改善については、2008年には「教科書バリアフリー法」が成立し、2009年には著作権法も改正されるなど、国内の読書のバリアフリーを支える法整備も進んできています。では、教科書バリアフリー法の制定や著作権法が、障害者の読書環境にどのような影響を与えたのでしょうか。今回は主に、活字が読めない、読みにくいことによって、読書にバリアのある視覚障害者が利用する点字図書や録音図書、拡大図書と法の関係についてお伝えします。 視覚障害者の図書と法律の関係 (1)点字図書 著作物を点訳した「点字図書」は著作権の制限規定のもと点字出版所や点字図書館、点訳ボランティアによりこれまで数十万タイトルのものが制作されてきました。それらの点字図書は、視覚障害者を対象にインターネットでもダウンロードできるようになっているなど、日本点字図書館をはじめ、全国の視覚障害者情報提供施設が点字図書の普及に大きな役割を果たしています。 (2)録音図書 著作物を音訳した「録音図書」もカセットテープやDAISYに録音され、視覚障害者情報提供施設で貸し出しされています。ただ、点字と異なり、著作権法では複製する場所や目的が制限されていましたので、点字図書館と関係を持たないボランティアが音訳作業を行う際には著作権者に許諾を得なければならないという状態が続いていました。これが、2009年の著作権法の改正により、公共図書館や学校図書館などについては善処されています。 (3)拡大文字 以前は著作権法では拡大教科書についてのみ著作権の制限が定められていましたので、拡大写本ボランティアが参考書、一般図書の拡大版を製作しようとする時は著作権者に許諾を得なければなりませんでした。これも、著作権法改正によって、図書館下のボランティアは著作権者に許諾を得ずに作成できるようになりました。ただ、「図書館と関係を持たない地域のボランティア」などが不特定多数の障害児に音訳図書や拡大写本を提供する時には、著作権者の許諾を得なければならないという状態が続いています。また、2008年に制定された「教科書バリアフリー法」では、教科書出版社に検定教科書の電子データの提供を義務付けるとともに、拡大教科書の発行の努力義務を規定しています。 著作権法改正によって、著者の許諾を得るという問題は緩和されましたが、新刊図書については点訳、音訳作業に時間がかかるため、利用者の「発売日に読みたい」というニーズがあるにも関わらず、どうしても手元に届くまでには時間がかかってしまいます。また、教科書バリアフリー法により、今後、拡大教科書が教科書出版社によって製作されるようになれば、拡大写本ボランティアも教科書以外の図書の拡大文字化に取り組めるようになりますが、現状としては、拡大写本ボランティアのエネルギーはほとんど拡大教科書製作に注がれていますので、一般図書の拡大版は全国的にもかなり数は少なく、福祉ベースとしても点字や音声に比べ、かなり立ち遅れている状況です。 このように、著作権法改正や教科書バリアフリー法が成立する中、弱視児の学習ひとつとっても、教科書以外の教材や一般図書の拡大文字版をどのように供給していくかなどの問題は残されています。また、視覚障害に限らず、上肢障害や発達障害のある障害者にとっても、「ページをめくるのが難しい」「文字を認識することが難しい」など、読書を楽しむためには様々なバリアが残されているのが現状です。 参考資料 国際条約と国内法 プロフィール 宇野 和博/うの かずひろ 1970年6月13日福井県生まれ 筑波大学附属視覚特別支援学校勤務弱視当事者として弱視者問題研究会で教育問題を担当。著作権法改正や「教科書バリアフリー法」成立に尽力。著書に『拡大教科書がわかる本』(読書工房2007年1月)など。2006年、第1回片岡好亀賞授賞。 |
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コメント | ||
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[289] | バリアフリー情報 | miyamokko 06/22(火) 08:02 |
筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野です。 ■書籍2千万冊の検索システム、無料公開 一部は購入OK http://www.asahi.com/culture/update/0619/TKY201006190156.html 国立情報学研究所は、これまで主に研究者向けに検索システム「ウェブキャット プラス」を公開していましたが、新たに約200万冊の情報を追加し、一般の人が 使いやすいように全面的に更新したそうです。 ▼ウェブキャットプラス http://webcatplus.nii.ac.jp/ また、書店や全国古書籍商組合連合会のサイトと連動し、見つけた本が購入でき るほか、国立国会図書館の全文公開サービスや青空文庫とも接続し、それらの本 は全文を読めるとのこと。 |
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[290] | miyamokko 06/22(火) 22:31 | |
筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野です。 以下のような記事がありましたので、ご紹介します。 「紀伊國屋書店が電子書籍も販売へ」 http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY201006210484.html |
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