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[801] | 9月の事例検討会報告 | 宮本 09/13(土) 17:32 |
9月の事例検討会の報告 この日、事例児童のご両親、校長先生、担任の先生、支援級の先生もご参加いただき、また20名ほどの先生方のご参 加もいただき、更にお二人とも連日の夜の講座が続いていたのも関わらず、安原ドクターも伊丹先生も駆けつけてくだ さり、開催できました。 本当に有り難い会をこうして毎月持てることを感謝します。 今回の事例児童の課題は、対人トラブルによると思われる集団不適応で、ご家族は登校支援をするべきか、少人数のフ リースクールなどに学びの場を替えるかを悩まれていました。 事例児童の認知の特徴は、全般的な知的水準は平均域ながらやや低い水準です。 言葉で考える力や記憶力は標準範囲内の能力はちゃんとあるのですが、ぱっぱとなんでも片づけてしまいたい傾向が強 すぎて、じっくり考える姿勢がつきにくく学べる内容も定着しにくい様子が見られます。 このような場合、本来の力が発揮しやすいように課題に取り組む動機付けを工夫して熟考する時間を伸ばして成功体験 を積む支援が家庭でも学校でも必要でしょう。 なお、事例児童は、非言語的推理や空間認知力が低く、社会的理解や状況把握が標準よりも低いことが特徴で、他者と の関わり方がわからないことの要因の一つにもなっているようです。 試し行動や相手が嫌がることを執拗にしてしまい、周囲からの反撃や無視、仲間外れなどが起こりやすく、事例児童に とって友達を求めながら、適切な関わり方を作れないまま、不適切な関わりが続き悪循環が起こり続けているという印 象を持ちました。 今回のテーマのキーワードは「試し行動」です。その対応について考えてみました。 発達段階からみても2歳ごろから第一次反抗期に大人を試す行動がみられます。わざと嫌がることをして大人の顔色を うかがい、どんな反応をするか試すような表情をすることもありますね。子どもが逃げて、まてまて!といって追いか けると、ケタケタと心地よい笑い声をあげて喜んでいることよくありますね。 コップの水をわざとこぼして大人の反応を確かめている事とか。 でもそういう事は、発達にはとても大事な行為で大人との信頼関係や安心感の獲得、さらにコミュニケーションを学ん でいる時期だとも言います。。 だからなんでもダメだしして邪けんに扱ったり、無視をするのは健全な発達にはそぐわない対応と言えます。もちろ ん、行き過ぎた行動には制止や制限をかけることは躾には必要な事ですが。 そのような発達段階で必要な試し行動とは別の次元で、不適切な試し行動をする場合の対応を考えていきたいと思います。 今回に限らず、試し行動の意味には様々な意味があります。伊丹先生が、今回もABAについてお話をしてくださいまし たが、行動を読み解く中で、子どもの思いや願いに気づくことが大事でしょう。 たとえば、皆がボールで遊んでいた。自分も一緒に遊びたい、でも誰も誘ってくれない、そんな中で、一緒に遊びたい とは言いにくい、だからボールをとってみた。皆が怒った。ボール遊びには入れなかったが、皆が自分に気づいてくれ た。 そういう流れというものがどの行動にもきっとあるはず。 だとしたら、正面きって好ましくない行動を批判するだけではなく、そのときは無理でも次の機会に一緒に遊び誘う チャンスを待つ、自分で「いれて」と言えるように援助する、などが支援として考えられます。はじめから自分でいえ ないときや、仮に勇気を出して「いれて」といってもクラスメートが拒絶するときはどうするかなどシュミレーション して、先生が自然に誘って一緒に遊ぶ経験を積み、次につなげるか、など仕組むのはどうでしょう。 似たようなことは他の場面でも沢山あるはずです。 願いを合法的に叶えて成功体験につなげる、それも支援はいかにも先生や大人が助けているというスタンスではなく、 レールは大人が引いていても子どもは自分で通っていると思わせるのがベスト。 また、社会的理解が低い子や、相手の気持ちを察するのが弱い子でも言葉が得意だと言葉で失敗することも多いわけ で、周囲がその表面的な言葉を捉えてやりとりをして振り回されたり、本来のテーマから外れて些細な事で決定権のバ トルにならないことが大事。 基本的に、不適切な試し行動にはこちらは動揺をしない、過剰反応しないことが大事ですが、不快な気分やイライラは ださず、穏やかで柔和に対応すること。 事例児童の場合は、適切な場面で適切にこの子に注目し、おしゃべりに快く付き合う事も大事だと思います。特に彼女 が今一番辛いのは、学校でほとんどの子が彼女に好意的に関心を示してくれないことだろうと思います。 ドクターによれば、思春期になると脳は急に成長し、女子は特におしゃべりに夢中になるらしいです。女子のおしゃべ りというのは議論とは無縁でとりとめのないおしゃべりが一般的。 そうでなくても自分の事に関心をもって話を聴いてくれる人には誰だって好感はもつはず。家族だって同じです。 傾聴に説教や注意は禁物。気楽に吐き出させるつもりで付き合いたいもの。 ただし、注意をせざるおえない行動もありダメなことはダメとしっかり伝えることも大事です。 特に事例のお子さんは、ある行き過ぎた行動があって、SSTの指導者にしっかり叱責されたときに「ちゃんと叱ってく れてありがとう」と言ったという言葉にも表れているようです。それは指導者が彼女をいい加減に扱わず、基本的にい つもは受容的であってもこれは許せないという行動には、感情からではなく、ちゃんと彼女と向き合って叱ったことが 彼女に伝わったのだと思うのです。 その後、SSTでは徐々に指示に従うようになり、色々なことに意欲的に取り組むようになっているそうです。 今回は、このあたりで報告は終わりにさせていただきます。 参加してくださった皆様に深く感謝申し上げます。M(__)m 来月は、先生会員から事例が出ています。またまた多くの学びをさせていただけそうな事例のようです。 |
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