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[707] | 1月の事例検討会の報告 | 宮本 01/18(土) 00:01 |
2014年1月の事例検討会報告 事例対象者は、19歳の大学生男子ご本人が参加してくれました。 主訴は、専攻の学科の勉強が努力しても身につかないので、進級や将来の不安を感じており、国家試験も含めてどのように勉強したらよいか、ということで今回の事例応募となりました。診断名はADHDと学習障害です。 当会としては、ご本人自らが事例検討会で相談したいというのは初めてで、コーディネートする宮本は嬉しいやら、感動するやら、困惑するやらと内心ドキドキしました。でも、本当に応援したくなる青年で、彼が専攻する業種で現役で仕事されている方や、読み書きにITCを活用されている方などスペシャルゲストにも来ていただき幕をあけました。御両親とともに大学の教授にも来ていただけました。そして最高の検討会ができました。特に安原先生と伊丹先生の彼への褒め言葉や励ましの言葉、本当に感動しました。さすがすぎて!! 参加できなかった方、惜しいことしましたねえ。 では、まずは @彼の認知特性から。 ●知的水準は平均域ですが、認知のアンバランスがあります。言語理解は高く、単語の理解は特にすばらしい回答が多かったです。これまでとてもよく勉強されてきた事が表れていると言えるでしょう。 一方、非言語的推理、作業記憶、処理速度は平均域ながら低めです。特に処理速度との差は稀な大きさで、行動観察からはプラニングの弱さがうかがえます。ただし処理速度や作業記憶はそのときの情緒的要因にも左右されますから、本来はもっと高い可能性もあります。 学習対応は、 ●口頭で聞いて記憶する短期記憶は低いですが、動機付けが高まると記憶力は高まります。覚えやすい方法をとることですが、専門用語などの意味付けはただ分厚い教科書を読むだけでは難しいと思います。ロイロノートやマッピングソフトなど関連つけて覚えていくとか、動作ととともに覚えるなどが効果的かもしれません。また聴覚の短期記憶の低さに応じて、一度に覚える量を少なくすることも特性に配慮した覚え方です。少ない量を継続して学習する方が結果的に定着しやすいと考えます。 また、言語理解が高いので、とにかく本を読むことです。分厚い専門書ではなく、薄い読みやすい専門書は必ずあるはずです。それらを徹底的に読みつくすことが効果的です。 ●作業記憶と処理速度が低いこと、言語理解との差が大きいことから、授業中のノートテイクは負荷が高く書いているうちに聞き逃し、書き遅れなどといったことが起こりやすいです。授業中は講義を聞くことに集中し、ノートは上手に書いている友人のを借りることにしましょう。もっと理想的なのは大学がノートテーカーをつけてくれることです。それは彼には合理的配慮になります。 テスト勉強は、先輩に聞いて山かけして重点的に学びましょう。完璧にする必要はありません。欠点をとらない程度に頑張りましょう。 できれば、筆記用具で書くかわりに、パソコンでの文章入力をブラインドタッチでできるように練習できるとよいです。効果的なタイピングソフトがありますから、短期期間で習得できるはずです。 以上、認知面と基本的な対応については、検討会で出された意見もとりいれてまとめました。 主訴に対する他のアドバイスは以下の通りです。 ○国家資格をとるのは時間はもっとかけてもよいと思う。大学にいられるだけ居てもよいではないか。 ○国家資格をとるという大きな目標の前に短期間で達成できる目標を立てよう。 わからないときは、担当教授と相談しよう。 ●とにかく本を読むこと!簡単な教科書でよいので。しかし、覚えたことはすぐ忘れたり、注意集中がきれやすいのでコンサータを飲むこと。数唱や符号はアップするから少しは覚えやすい。 試験前にネットで調べ物などをしないこと、さわらないこと。ADHDは、気になることが次々出てきてトコトン調べ出して時間がなくなったり、フェイスブックに凝りだし、パソコンは3時間超えるとしんどくなるからやる気がしなくなる。試験前は友人のノートのコピーで勉強する。とにかく覚えることがいっぱいあるのだが、ある程度できたら、「ま、ええか」と思おう。 君は誰にでも優しい。整体師など開業すれば必ず繁盛する。 (・・・・・再現しきれませんが、ドクターの応援の言葉の一端です。) ●「こんなアンバランスがあるのに、単語や配列がこんなに高いのは、これまで君は一所懸命努力してきたということです。このように君は認知のアンバランスを知ることが必要です。君は自分に足りない物を思いすぎているようです。よく考えてみてください。君は沢山の「有る」ことに気付くはずです。今日だって御両親が来ています。通常では来てくださるはずがない教授が来てくれています。先輩ほか、たくさんの人が、ここに君を応援するために来ています。 僕も大学の教授ですが、君のような特性のある子には、ノートテーカーをつけます。しかし、弱いところのサポートはしますが、点数をとらなければ落とします。だから、勉強は一所懸命してください。先ほどからドクターもおっしゃっていますが、メリハリをつけた学習をして人をどんどんたよってプラニング力をつけましょう。 青年は非常に難しい専問学科を選び、難解で大量な学習に追われています。しかし、発達障がいのある子にも、とても重要で必要な支援や療育になる資格を目指しておられます。ドクターが指摘されたように人当たりが優しく謙虚な物言いや考え方をする彼は、きっと多くの人に必要とされる仕事をすると信じています。 参加いただいき、貴重なご意見を出していただいた皆様に心より感謝申し上げます。次回は3月の第三木曜日午後7時から9時です。テーマは決まっていませんが、今度もきっと素敵な出会いがあることでしょう。 |
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コメント | ||
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[709] | mm 01/19(日) 01:34 | |
早々に記事をupしていただきありがとうございます。読ませていただくだけで、胸がいっぱいに、また勇気も希望も、頂きました。 | ||
コメント | ||
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[710] | 宮本 01/20(月) 10:59 | |
mmさん、コメントをありがとうございます。 事例応募、いつでもお引き受けします。 |
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