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[845] | 2016年7月の事例検討会の報告 | 宮本 07/23(土) 17:12 |
7月の事例検討会のご報告です。 今回の学校は、終日、通常学級で過ごすのが当たり前で、不登校児童が0と、とても人気の小学校に在籍している1年生の重度判定の自閉症の男の子の事例です。 背景情報からは、発達に見合った学習指導や特性への配慮が十分ではないために、 とても辛い状態が窺え、伊丹先生の表現をお借りすると、修行の日々、いえ、苦行と言っても良いでしょう。 しかし、この子は毎日登校しています。さすがに評判の学校です。 支援員の方はたくさんおられ、この子にもお一人ずっと付き添っておられるということでした。 主訴は、 落ち着いてクラスで学べるための合理的配慮の検討です。 どの事例でも同じですが、どうしても問題行動やできないことにフォーカスした 対応が取られがちで、更に悪化させている事がよくあります。 ですから、今回の事例でも、重度判定とはいえ、この子のgoodな面を探し、どのように 合理的配慮につなげていくかを各グループで話し合いました。 この学校では、障がいの有無に限らず、みんなと一緒に学ぶ事を教育の理念としていますから、クラスの中での個別課題の指導を模索しないといけないようです。 インクルーシブとは、その子に応じた支援がなされる事が重要であり、 皆と一緒にいる事が全てではないという事を改めて再確認しました。 また、合理的配慮とは、親と学校の合意形成することで、子どもの意思表示を尊重することだということも伊丹先生からおさえていただきました。 では、事例児童を取り巻く環境を含めてgoodな事から支援を探っていきます。 @クラスの中でも個別指導は可能(発達を考えれば、まず、ちょうどの学習内容に変えるべき) →クラスの席の配置は、先生を囲むように半円のように配置されており、事例児童は 窓際の最後尾に居ます。 この席であれば、個別課題の指導は可能です。しかも支援員の先生がついておられる。 個別の学習を用意する。理解ができていないなぞり学習はやめる。 A1日の見通しを示す 背景情報))給食の時間を待てず、お腹がすくと自分で給食を決めてしまって授業を受けられない。 →授業の終わりを示す。 一例;休み時間や終わりの会なども含め,磁気のもので時間割表を作り、 マグネットなどを置く。授業や活動が終われば一緒に外してゆく、など。 B5数えて、待ってから、それでも自分でできないと判断したら支援する。 →全て大人が付き添ってやってしまうことは、子どもを信用していないことになる。 特に身辺自立力などで、できていること、できそうな事は今後も増えてくる。 排便の後始末や、能力的に着脱もできている。排便の後始末は見えないところなのに よくできていると思う。身辺自立の確立を目指し、自信に繋げることは大きな課題。 C要求言語は出しているので、広げてゆく。 →嫌、が言える。言葉でのコミュニケーションは拙いが、家庭では欲しいものは要求している。この力を広げるには、場に応じた要求言語を教える。 例えば、好きな課題のプリントを一枚して、次も要求してきたら、 「一枚ください」と言わせて渡す。家庭では、お菓子や飲み物を欲しがったら 「お菓子ちょうだい」と言わせて渡す、など。 なお、嫌と言うとすぐに教室を出れるというのは好ましくはない。 何かひとつできたら教室を出れる、一つでも頑張ったら良いことがおきる、というサイクルを体験させていくことで良い行動を増やす。 また、しんどくなったら出て行っても、戻っても良いとする。 幸い、フロアには休息できるようなスペースが用意されている。 なお、問題行動が起きてからの対応では、後手に回ることが多い。 回避行動には、回避しなくても良い様な環境を整えることが大事。 D腹筋や背筋を鍛える →疲れてくるとゴロゴロして自分では起きないのは、腹筋や背筋が弱いから。 遊びの中で、腹筋や背筋を使わざるおえない動きを入れる。 例えば、仰向けに寝させて足元に置いた好きな電車やブロックを頭の 上に置いた籠に入れるとか。数を数えながらでも良い。 E感覚刺激は適切な物に代用する。 →鉛筆や消しゴムを強くかじるのは、課題が難しかったり、 退屈していたり、手持ち無沙汰だったりすることもあるが、 感覚刺激になってやめられないようになっていることが多い。 この場合は、「カミカミチュウブ」という物があるので、 それで代用する。 F役割を与えて、お客さんではなく、クラスの一員であると思わせる。 →例えば、給食で「おかわりしたい人は?」ときく役でも良い。 食べることが好きで、給食を楽しみにしているので、献立を写真にして もらいみんなに紹介するのでも良いだろう。献立の写真から名前を覚え、 語彙を増やすことも出来るはず。 最後に、支援とは、優しいのとは違う。 譲ってはいけないこともある。 ちょっとひいたところで見守ること。 本当に必要な事を手伝う。 ソーシャルスキルは、エラーやトラブルが起きた時こそ、ソーシャルスキルトレーニングをするチャンス。 そして、 この子は幸せか?と自らに問いかけてみる事が大事。 と、伊丹先生の結びのお言葉でした。 |
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