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[467]雪夏 [ Mail ] [ HOME ] 2007年01月06日 (土) 01時48分
創作FT・童話風の小説メイン、児童文学・YA小説・童話好きな方に。
現在『ナナシノハナシ』という連続短編童話を定期更新中です。
(毎月第2・4土曜日)

【N-f】「かの日」
【Novel―ソラトビサカナ番外編】短編1作アップ
他更新いたしました。

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 話を勝手に進める彼を静止する。
 老人はきょとんとした様子で僕を見た。
「いきなりそんな事言われましても、そもそも相手だっていないし僕の今の状態わかってますよね? 今までの事で貯蓄も底尽きてるし、一人で暮らしていくのがやっとなんですよ。それを家族を持てだなんて……」
 僕のもっともな正論に対して、彼はにまりと笑みをこぼす。この人懐っこい笑顔こそが、彼の魅力であることは確かなのだが……こういう時の笑顔ほど怖いものはないと、僕は少し怖じ気づく。
「なーに言ってるんじゃ。いざ嫁さんができたとすりゃその食い扶持稼ぐのは男の仕事。大丈夫、お前さんはその辺り妙に律儀じゃから逆にさっさと結婚した方が生活にも張りが出るでな」
 そう言ってロドル氏は一息つくように紅茶を飲んだ。
「そもそも」
 彼はすごみの聞かせた声で僕をにらむ。
 あぁ嫌な予感がする。老人が気難しい顔をする時はたいてい僕に対する不満があるときだ。反撃するにも年の甲に敵うはずもなく、僕は縮こまり目を泳がせる。

【N-f 「かの日」より 】

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