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[475]ウィル [ Mail ] [ HOME ] 2007年01月27日 (土) 18時19分
 星を渡る列車に乗って眼鏡をかけた少年、リンは旅に出る。たった一人遠い異界の地へと。
 そこは発達したテクノロジーと、自分たちとは違うヒトビトに囲まれた場所。見たこともない不思議な世界に少年は目を輝かせた。途中、出会ったのはゴクラクチョウの車掌に幽霊の貴婦人、王子さまみたいなネコの少年だ。

Last up *
リンのてがみ番外編 『世界の果てが見えるころ』03話

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 暗闇の中から徐々に日の元にさらされた黒いフォルム。人の波を堂々とわたるその雄雄しい姿に、アニエスの目はうばわれた。あれが、星を渡る列車。古いSLをかたどった列車のデザインは、あれを生み出した人物の好みだったと聞く。ああ、わかる気がする。無骨な船なんかより、この列車だからこそ思いを賭けたくなる。だから星間列車のデザインは初期から何代と続く現在にいたって、変わらない。
 列車はお世辞にもすばらしいものとは言えなかった。車体はぼろぼろで、傷だらけ。一体どれぐらいの空を越えてきたのだろうか。一体いくつの旅を続けてきたのだろうか。その老体に鞭打っていまだ走り続けてるのだろう。あの空を抜けて、真っ黒な空間を泳ぐのだ。
 すばらしい船なんかより、この列車でいい。ビザノールじゃなくて、サウスエリアでもかまわない。この列車に乗って旅を続けられるなら!
(これが星をつなぐ列車!)
 まるで、魔法のようにざわめきが消えていく。みんながこの列車の貫禄に圧倒されているのだろうか。列車の全貌が明らかになったとき、静まり返ったホームに勇ましい汽笛が鳴り響いた。


(本文より一部抜粋)
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