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[517]雪夏
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2007年06月28日 (木) 23時50分
創作FT・童話風の小説メイン、児童文学・YA小説・童話好きな方 に。 【ナナシノハナシ】 第2クール 「誇り」 他多数更新いたしました
++++++++++++++ 「これは俺の誇りだった」 少年はナナシに目もくれず言いました。 「だけど、本当の誇りなんかじゃないんだ」 少年の声はきりっとした力のあるものでした。ですがナナシには、少年の声がどこか怯えているように聞こえました。 「他人からみりゃただの虚勢だ」 少年は両手を握ります。落ち着かない様子で何度も重ね方を変えていました。 ナナシはそれを静かに見ていました。 「俺は自分はもっと何でもできると思ってた。他のヤツラより俺は大人で、自分の行ってることが間違っているなんて思ってもいなかった。俺を認めてくれない奴らを、見返してやりたかった」 少年とナナシの間には、不思議な空気が漂っていました。それは言葉で説明するにはとても難しいのです。厳かでありながらどこか荒々しく、静かであり、しかし耳を塞ぎたくなりました。でも少年もナナシも、身じろぎ一つしません。 少年は憎憎しげに顔をゆがめ、誰にともなく吐き捨てるように言いました。 「でも、俺は誰よりもガキだったんだ」 少年はそして、何も言わなくなりました。 ナナシは言います。 「ボクはあなたがうらやましいです」
【誇り】より ++++++++++++++
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