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[551]雪夏
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2007年10月16日 (火) 23時04分
創作FT・童話風の小説メイン、児童文学・YA小説・童話好きな方 に。 【ナナシノハナシ】 第2クール 「血筋」 コミティア82当選いたしました え−05a 「N書房」 +++++++++++ ナナシは家主たる老人に頭を下げました。老人は白くて長いひげを手で梳くように撫でながら、目を細め笑いました。 「いいえ、狭い家で窮屈を強いると思いますが、自分の家と思ってくつろいでください」 家主のありがたい申し出に、ナナシはもう一度礼を述べました。 家主とナナシの今いる部屋は、土壁の四角い小さな部屋でした。机と2人の座っている椅子しかない殺風景な部屋でしたが、四方にある通路からは小さな笑い声が聞こえてきます。家主の家族と、誰か他の人でもいるのでしょうか。ずいぶんとたくさんの声が聞こえてきました。 「そうです、家族の紹介をいたしましょう」 家主が思い出したように言いました。それから「おーい!」と声をかけると、初老の男が2人やってきて家主の後ろに立ちました。
『血筋』より
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