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[591]奏欺水鵺
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2008年08月10日 (日) 17時28分
長編ダークファンタジー小説『Revelation of the deities』 第九話『優しさの定義』
「君の場合は、優しさと言うよりは欺瞞だよね」 そう頭では分かっているのに気持ちはなかなか理解してはくれないものだ。 その言葉に思わず苛立ち、振り返ってしまった。 相手は、当たり前の様に笑顔のままだが、こちらを真っ直ぐ見据えるその目は微塵も笑ってはいない。 世界の理を知っているとは言え、一個人の胸の内までは解らないはず。 なのに、全てを見透かされているかのような気味の悪さに、心臓が早鐘を打つ。 ストイケイオンで初めて会った時もそうだった。 常に笑みを湛えながらも、その瞳に感情は篭ってはおらず、口調も、態度もふざけてはいるが、所々見え隠れする本質的な鋭さに寒気すら感じた。 全てを理解している神なのだから当たり前といえば当たり前だが、正直苦手だった。 「本当に彼女の為を思うなら、全てを教えてあげる事が一番の優しさじゃないのかな?」 「知らない方が幸せな事だってあるだろう」 それでも、セレストは言葉を返す。
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