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[ No.270 ] 第71回日本アレルギー学会学術大会参加報告 投稿者: 菅田 由紀 2022年10月11日 (火) 09時49分
会期:2022年10月7日(金)、8日(土)、9日(日)
会場:東京国際フォーラム

第71回日本アレルギー学会学術大会に参加したので、講演について報告する。

【経口免疫療法】
「アレルゲン免疫療法における制御性細胞や抑制性サイトカインの役割」
 滋賀医科大学医学部耳鼻咽喉科 神前英明先生
アレルゲン免疫療法(AIT)は、現在、アレルギー疾患に対する唯一の根本的な治療法と考えられている。
その主な効果は、症状の改善、薬物療法の必要性の減少、新たな感作の防止、AIT終了後の効果の持続などである。このAITの分子メカニズムとしては、アレルゲン特異的T細胞など機能を抑制するような細胞が誘導され、それらからIL-10やIL-35などの抑制性サイトカインが産生されることにより症状改善が得られ、免疫寛容を形成するものである。
鼻炎患者は健常者よりもダニ抗原やスギ花粉抗原に反応して産生されるIL-10やIL-35が少ないが、免疫舌下療法を実施した後にIL-10やIL-35の産生が亢進されたことが確認された。

「標的外アレルゲンへの効果の可能性」
 埼玉医科大学呼吸器内科 中込一之先生
アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因アレルゲンを投与することにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法である。したがってアレルゲン免疫療法の効果はアレルゲン特異的である点が特徴とされるが、実際には標的としていないアレルゲンに対するアレルギー症状を緩和されることがある。今回は、ダニとスギ両方に感作がある患者にダニ単独の舌下療法を実施したところ、ダニだけでなく、スギに対するIL−5産生能が低下したことが確認された。また、同様にスギ単独舌下療法を行ったところ、スギだけではなくダニに対するlL−5産生能が低下したことが確認された。これにより、アレルゲン免疫療法は治療ターゲットとしていないアレルゲン免疫も抑制する可能性が示された。花粉症患者に免疫療法を行うと喘息発症予防効果があるという報告もあるが、これらは、免疫療法による抑制性サイトカインの誘導によると考えられる。

考察
現状では、舌下治療で用いられるアレルゲンの種類は限られているが、この結果により様々な標的外アレルゲンへの効果も期待できるものと考えられる。また、花粉による小児のアレルギー性患者はその後に喘息を発症するおそれがあり、アレルゲン免疫療法を行わない場合は半数が発症する可能性があるともいわれている。このことより、小児がアレルゲン免疫療法を行うことは意義があると考えられる。小児の免疫舌下療法においては、他の発表で3年間の継続率が約65%というデータもあり、患者および保護者の継続服用に対する服用支援が必要であると考えられる。

【生物学的製剤(アトピー性皮膚炎・気管支喘息)】

「皮膚科領域における生物学的製剤〜現状と展望」 九州大学大学院医学研究院 中原剛史先生
アトピー性皮膚炎の治療としては、とにかく炎症を抑えることが第一であり外用剤が中心であることは以前とかわらないが、現在はその後の寛解導入の全身療法に生物学的製剤が用いられることもある。生物学的製剤は現在、2種類が使用されているが、主にIL-4/13受容体抗体であるデュピルマブが用いられている(アトピー性皮膚炎に対する適応は成人のみ)。皮疹、自覚症状の痒みなどアトピー性皮膚炎の症状をバランスよく抑え効果と安全性が高いものとされているが、重症の結膜炎を発症する副作用もある。現在、治験中の生物学的製剤もあるが、デュピルマブ以上の効果を示せるかということに苦労しているのが現状である。

「小児アレルギー疾患と生物学的製剤〜現状と展望」福岡市立こども病院 手塚純一郎先生
現在小児で使用可能な生物学的製剤は、抗IgE抗体のオマリズマブ、抗IL-5抗体のメポリズマブ、抗IL-4/13受容体抗体のデュビルマブの3種類である。
・オマリズマブ(気管支喘息:6歳以上、季節性アレルギー性鼻炎:12歳以上、特発性慢性蕁麻疹:12歳以上)
・メポリズマブ(気管支喘息:6歳以上)
・デュピルマブ(気管支喘息:12歳以上)
これらは、対象年齢・対象疾患が全て異なるために使用にあたって注意が必要である。
小児の気管支喘息に対する使用は重症な人が適応となっているが、生物学的製剤の使用を検討する前に、
・服用の問題(アドヒアランス、不適切な吸入)
・合併症(肥満、アレルギー性鼻炎)
・劣悪な環境(ペット、家庭内喫煙)
・発達・心理的・精神的問題 
これらの問題を除く必要がある。これらの問題に対しては、多職種連携が必要である。
生物学的製剤は長く使用するものであるが、小児から大人になる際に経済的負担が増えるため、保護者には最初にそのことを伝えておき、できれば小児から大人になる時にやめられるよう環境要因の改善などを指導している。

考察
生物学的製剤については新たな製剤が増えて、選択肢が多くなっている。ただし、アトピー性皮膚炎に関しては、あくまでも追加で補うものであり、外用剤が重要であることは変わらない。気管支喘息については、重症喘息が対象であるが、使用前に検討する問題のひとつとしてアドヒアランスや適切な吸入があり、この点については薬剤師が関わるべきことである。また、生物学的製剤を検討するような重症患者だけでなく、気管支喘息患者全てに対して適切なフォローをしていくことが必要であると考えられる。

【食物アレルギー】
「食物アレルギー診療ガイドライン2021」 あいち小児保健医療総合センター 伊藤浩明先生
食物アレルギーガイドラインが昨年2021年に改訂された。
食物アレルギーを根本的に治すような薬はないため、新薬などの点での進歩はないが、ほかの面で進歩がみられ大幅にアップデートされた。特徴としては、成人領域の食物アレルギーを含む内容にしたこと、食物経口負荷試験及び経口免疫療法について掲載したこと、食物抗原以外から感作を受けて発症する食物アレルギーについての記載が追加され、小児における食物アレルギーの主なリスク因子に関する記載も大幅にアップデートされるなどした。
「リスク因子と予防」
・小児期に食物アレルギー発症に関しては、アトピー性皮膚炎があること、離乳食における抗原食物の摂取開始が遅れることがリスクとなることがわかってきた。
・妊娠中、授乳中に母親が特定の食べ物を除去しても予防効果はない。
・離乳食開始時期は5〜6カ月が適当であり、遅らせても効果はない。
・5〜6カ月から加熱卵黄を摂取してよい。
・乳児期早期の湿疹が食物アレルギーのリスク因子となることは多くの疫学研究から明らかであり、離乳食開始前に湿疹を発症している場合には、早期から治療を開始し湿疹を十分コントロールすることが推奨される。
・湿疹を発症しておらず健康な乳児に早期から保湿剤などのスキンケアをすることが食物アレルギーの発症を予防するという効果の十分なエビデンスはない。
・母乳が混合に比べて食物アレルギー予防という点において優れているという十分なエビデンスはない。
・ビタミンと魚油の摂取が食物アレルギーを予防する十分なエビデンスはない。

「食物アレルギー予防戦略としてのアトピー性皮膚炎治療」杏林大学医学部 成田雅美先生
アトピー性皮膚炎はアレルギーマーチの始まりである。アトピー性皮膚炎の病態は皮膚のバリア機能障害に起因する多病因性の慢性炎症であり、その後のアレルギー性疾患のリスクになる。
乳児のアトピー性皮膚炎に対する早期からのステロイド外用剤による積極的な治療は、2歳児の食物アレルギーを抑制する。
アトピー性皮膚炎と診断された後に、卵を除去するかどうかであるが、卵を除去する方が、卵を少量ずつ食べさせるよりも卵アレルギーになる割合が高い。なぜ、鶏卵を食べさせていないのに感作されたのか?これは、家庭のホコリの中に鶏卵タンパクが存在するからである。このホコリの中の鶏卵タンパクはダニよりも存在するため、感作されてしまうのである。
そのため、鶏卵の摂取を遅らせることは、食物アレルギー発症予防のためには推奨しないこととし、5〜6カ月から加熱した卵をとり、あわせて、しっかりした肌のお手入れをすることとする。

考察
食物アレルギーについては、アトピー性皮膚炎など肌が荒れているお子さんには肌のお手入れの適切な指導が必要であるが、その外にも妊娠中からリスク因子と予防について保護者に適切な情報を啓蒙することも必要であると考えられる。

[ No.269 ] 第70回日本アレルギー学会学術大会参加報告 投稿者: 松下 光代 2021年10月18日 (月) 09時51分
日程:2021年10月8日(金)・9日(土)・10日(日)
会場:パシフィコ横浜 ノース

【食物アレルギー】
 食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」である。
20世紀後半から増え始め、最近30年で最も変化しているアレルギー疾患である。
 小児期の食物アレルギーの多くは発症にIgEが関与する即時型である。即時型食物アレルギーは乳児期から幼児期で5-10%、学童期で3-5%と非常に多い。新規発症の多くは乳児期と幼児期前半に集中しており、原因食物は鶏卵・牛乳・小麦アレルギーが多勢を占める。幼児前半は魚卵(イクラ)、幼児後半は木の実(クルミ6割、カシューナッツ2割)落花生、果物類が新規に発症してくる。学童期には果物類が多くなるが、これはPFAS(花粉―食物アレルギー症候群)の発症の増加に関連している。
 
 特殊型食物アレルギー
・花粉―食物アレルギー症候群:花粉アレルゲン感作後に交差反応する果物や野菜などの植物性食物を経口摂取してアレルギー症状を呈する。主にIgE抗体を介した口腔粘膜を主体とするOASを呈する。(カバノキ科のシラカバ等→バラ科のリンゴ、モモ等)
・ラテックス―フルーツ症候群:ラテックスアレルゲンと果物や野菜アレルゲンが交差反応し、アナフィラキシーを含む即時型症状やOASを呈する。(ラテックス→バナナ、アボカド、キウイ等)
・調理業従事者における職業性食物アレルギー:調理師や食物を扱う業務に従事している人が、扱っている食物に感作され、食物アレルギーを発症(手湿疹等経皮感染より発症)
・化粧品使用に関連した食物アレルギー:化粧品やヘアケア製品等に含まれる食物由来成分や食物と交差抗原性を有するタンパク成分に経皮感作されることにより、食物アレルギーを発症。
・納豆アレルギー:納豆の粘稠物質PGAが原因抗原とされ、納豆摂取後に症状が誘発される。
・獣肉アレルギー:マダニ咬症によって、牛肉や豚肉を摂取した数時間後に症状が誘発される。
・アルブミンアレルギー:ペット等の血清アルブミンに感作され、獣肉アレルギーを発症する。
【舌下免疫療法】
 疾患の原因となるアレルゲンを患者に投与するアレルゲン免疫療法は、免疫寛容を誘導することにより、寛解も含めた自然経過を改善することができる可能性がある。近年、皮下投与(SCAT)の代替経路として、舌下免疫療法(SLIT)が、安全性が高く、自宅での投与が可能であることから注目を集めている。
 SLITは舌下錠を用いたアレルゲン免疫療法で、病因アレルゲンを投与することで、アレルゲンに暴露された場合に引き起こされる関連症状を緩和する治療法である。スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎に有効であり、副反応の多くは口腔粘膜に限局した症状である。副反応の発現率は高いが、2か月で約7割が消失、抗ヒスタミン薬の併用で軽減が可能である。舌下錠は年齢や体重の区別なく同一の用法・用量で使用されているが、小児では体重がSLITに与える影響は少なく、成人と同一の用法・用量で治療可能な結果が出ている。
 我国はスギとダニの重複感作が多い特徴があり、この2つの主要抗原に対し免疫療法を低年齢層から積極的に導入し、早期導入・早期寛解を目指すことがアレルギー疾患増加に歯止めをかけるのに有効である。

【アトピー性皮膚炎】
 アトピー性皮膚炎とは、「皮膚のバリア機能低下やアレルゲンに対してアレルギー炎症を起こしやすいアトピー素因という遺伝的な素因を背景に、種々の悪化因子が加わって慢性的に皮膚炎が生じる疾患」である。バリア機能強化のための保湿剤、免疫機能を改善させるためのステロイド外用剤、かゆみに対して抗ヒスタミン剤などが処方される。
 近年、難治性の症例に対しては、デュピルマブ、デルゴシチニブ外用薬、バリシチニブ内服薬が登場し、アトピー性皮膚炎の治療が大きく変わりつつある。
 寛解導入後は、抗炎症外用薬の間欠療法と毎日の保湿剤外用によるプロアクティブ療法が寛解維持に有用である。

・デュピルマブ(デュピクセント皮下注):IL-4/IL-13共通受容体サブユニット抗体。適応はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎
・デルゴシチニブ外用薬(コレクチム軟膏):JAK阻害剤。JAKファミリー(JAK1,JAK2,JAK3,TYK2)を阻害することにより、アトピー性皮膚炎のアレルギー炎症、皮膚バリア機能障害、痒みを改善する。成人0.5%製剤、小児0.25%製剤を1日2回塗布
・バリシチニブ内服薬(オルミエント):JAK阻害剤。JAK1/JAK2を阻害する。ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬等の抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られない成人アトピー性皮膚炎に対して用いることができる。本剤投与中も保湿外用剤等を併用し、1日1錠経口投与する。

[ No.268 ] 第70回日本アレルギー学会学術大会参加報告 投稿者: 菅田 由紀 2021年10月18日 (月) 09時49分

会期:2021年10月8日(金)、9日(土)、10日(日)
会場:パシフィコ横浜 ノース

第70回日本アレルギー学会学術大会に参加したので、講演について報告する。
免疫舌下療法については演題が多く、現時点での実情がわかるように複数講演の報告をすることとした。

【乳幼児の免疫機構とアレルギー疾患発症予防戦略】
森田英明ほか(国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー・感染研究部)
・アレルギー発症の3要素は「バリア機能の低下」「自然免疫応答」「獲得免疫応答」。
・乳児期にアトピー性皮膚炎/湿疹を発症することにより、バリア機能が低下し、そこから抗原が侵入
してIgE抗体の獲得が引き金となり、食物アレルギー、気管支喘息などを発症することが知られている。このアレルギーマーチは小児の特徴である。よって、乳児期に積極的に皮膚湿疹を治療することで食物アレルギーを予防できるのでは?と考えている。
・妊娠中のマウスにIgE抗体を打つと、生まれた子供は生後4カ月くらいまでIgE抗体を産生しない。まだ動物実験の段階だが、アレルギーの発症予防に効果的かもしれない。
・アメリカでの実験。妊娠中のヒトにオマリズマプ(ゾレア)(抗IgE抗体)を投与すると、生まれてきた子供の抗IgE抗体の血中濃度は母親よりも高いものとなった。子供に直接打つよりも母体に打つ方が抗体値が高くなるという結果になった。
→乳児には湿疹の段階でまずは積極的な治療を行うことが大切である。保湿剤塗布+ステロイドで肌を整えることによりアレルギーマーチの進展を予防することができる。将来的には生まれる前からのアレルギー対策ができる可能性もある。

◎免疫舌下療法
【小児における舌下免疫療法の実際と新たな取り組み】
佐藤さくらほか(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
・スギ花粉アレルギー患者は低年齢(就学前)も増加している。
・体重の違いは有効性に影響なし。
・服薬中止後も2年間は治療効果が継続。少なくとも3年間は継続が望ましい。
・気管支喘息への効果は気道改善性試験を実施し改善はみられたが、まだエビデンスレベルではない。
・現在、1〜4才のダニ舌下療法の研究を行っている(4施設)。低年齢で介入することにより今後どうなるかを見ている。来年の学会で結果が発表ができるかもしれない。

【舌下免疫療法の新展開】
大久保公裕(日本医科大学大学院医学研究科頭頚部・感覚器科学分野)
・1年間しかやらなくてもしっかりやれば、そこでやめても効果は残る。3年目までは効果あり。4年目は有意差は消えるが効いてはいる。
しかし、期間依存性があるので、1年間よりも2年間、3年間続けた方が、より効果は出る。
・小学生まではサポートが必要と考えている。開始するにあたり、まずは1分間つばをのみこまずにためられるかをみている。それができる子であれば、舌下療法は可能であると考えられる。
・新型コロナの予防接種の日は投与をお休みさせる。感染したときも一旦中断させている。
・歯の生え変わりで出血ある時も休薬を提案している。
・胃部不快感や下痢などの消化器症状には吐き出し法への変更も検討している。
・一緒に処方する抗ヒ剤は、前もって服用しておいてもOKと言っている。
・患者の20年後を考えると、5年間継続してもよいかもしれないとは考えている。
・免疫舌下療法の継続をやめるときに患者に伝えていること。 
1.時間の経過とともに再び症状が出ることがあること。 2.また症状が出たら再開できること。
3.症状再発で治療が必要になったら来院すること。
・続けてないと不安という人もいる。続けるのもアリだが、最終目標をどこにするか。1回休薬をすすめて、症状出て再開すればまた効果は出ると伝えるのもアリだと考えている。
【アレルゲン免疫療法の治療予後―治療終了後の有効性−】
後藤 穣(日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頚部外科)
・免疫舌下療法において、今のところ、どのような人が有用かどうかのマーカーの検証はされていない。
・今後の課題としては、「ダニとスギの併用」「治療後の効果の継続」「ヒノキへの応用」
・服用終了について。基本的には継続しなくてはいけないものではない。3〜5年と言われているが、また再開すれば効果は出るので、その時点で一旦やめてもよいと思っている。自分は3年間で一旦中止している。
【2018年にスギ舌下免疫療法を開始した小児患者の経年的検討】
川島佳代子ほか(大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター)
・15歳以下、N=26、開始時平均10.4歳 アレルギー合併80%(喘息、食べ物、AD)
・継続率 1年目 97%、2年目 87%、3年目 72%
・中止理由 毎日できない、通院できない、転居 ※副反応での中止例はなし。
・副反応 口腔掻痒8%など。全身例はなし。
・薬物スコアは成人と同じで1年目からスコア低下傾向あり。
・重症度の変化 何らかの改善(1段階以上の改善)88.4% 。ただし、改善にばらつきがあるため、今後も詳細な検討が必要。
・3年続けた後には、ほぼ全員がもっと続けたいという回答だった。ただし、これは最初の年齢が平均10.4歳であり、3年後でも平均13.4歳だったというのも関係があるかもしれない。15歳くらいになると学校や部活動などで忙しくなることもあり、継続が難しくなるかもしれない。
【スギ花粉舌下免疫療法薬によるヒノキ花粉飛散期間のアレルギー性鼻炎症状に対する評価】
 黒川友哉ほか(千葉大学)
・スギ花粉の飛散時期は2〜4月。ヒノキは4〜5月。スギとヒノキは同じヒノキ科であり、高い相関性がある。
・ヒノキ花粉飛散ピーク期間にシダキュアを投与し検討したところ、鼻症状が有意な低下を示した。
・特異的IgE抗体の変化量の推移は、スギもヒノキもかなり類似している。
・シダキュアがヒノキのIgE抗体に影響を与えていると考えられる。
<結論>シダキュア5000は、ヒノキ花粉に対する症状を有意に抑制する有用性を示した。
 ただし、詳細なメカニズムについては、今後の検討課題となっている。
【スギ・ダニ舌下免疫療法の治療成績と併用療法の検討】
 永倉仁史(ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック)
・発売からしばらくたち、今は治療終了の判断が求められる時期に来ている。
・今後は新規感染の抑制、ほかのアレルギーの発症の抑制 などの検討が必要。
・服用終了後の持続効果については、引き続きエビデンスの集積が必要である。
・服用後2時間(風呂や運動禁止)のしばりについて。
 運動など心拍を上げるものは避けるべきだが、お風呂は症状が安定している患者なら2時間たたずに入ってもよいのではないかと考えている。
・脱落を下げるために心がけていること。
@初期の副反応に注意 A抗ヒ剤を一緒に処方 B何かあったら写真を撮るように伝える。C何かあったらすぐにCLに連絡するよう伝える。
【アレルギー性鼻炎治療の現在】
 阪本浩一(大阪市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉病態学)
・アレルギー性鼻炎の罹患率はほぼ50%で、最近の傾向は9歳までのスギ花粉の有病率がアップ。
・今までは子供は通年性アレルギーがメインで、成人して花粉の方が多くなっていたが、今は逆転して、
子供も花粉症がメインになっている。
・ステロイド点鼻は有効性が高く、副作用の割合が低い。小さい子から使える(抗ヒ剤だとのめないものもある)ので、小児にステロイド点鼻は効果的である。
・免疫舌下療法は、自分は5年間継続を目指して実施している。
・小児への免疫舌下療法は早期介入が大事。今は5才から使える。
・フランスでは喘息発症予防効果も発表されている。
・新規アレルゲン感作予防効果も報告されている。
・舌下療法を2カ月間やると抗ヒスタミン剤がいらなくなる人がほとんどである。
・ダニの場合は抗ヒスタミン剤を必ず一緒に出すようにしているが、継続している間に自然に抗ヒスタミン剤は服用しなくてもよくなり使わなくなる。
・舌下免疫療法は、現状では唯一の花粉症を治しえる治療法。しかし全員には効かない。
 20%治癒。30%かなりラクになる、20〜30%症状あるが以前よりラク。10%効果なし。
・舌下療法で注意が必要な人→重症AD、重症食物アレルギー、総IgEが高い人、重複抗原が多い人、
→これらの人は副反応の重症度が高くなるため注意が必要。
・シダキュアとミティキュアの併用について 
 ダニある人はダニからが基本。季節によってスギから治療開始。5分あけずに連続して服用していいと言っている。
→「3年間の継続で、そこで中止しても2年間は効果が持続」というのはデータでも出ているが、そこから先の継続期間の検討、効果の持続については、さらに検討が続いている。
 治療方針についても具体的な例も多くあげられていたが、施設による違いもあり、さらなるエビデンスの集積が待たれることとなる。
 また、効果がある人、ない人の差も課題となっているが、治療反応性の予測の試験(血清ペリオクチン値で判定)も行われており、将来的には効果がある人を同定してから治療導入ということになるかも
 しれない。

 【食物アレルギー研究の最新の進歩】
千貫裕子(島根大学医学部皮膚科)
・0歳の時点では、卵、ミルク、小麦が3大アレルゲンだが、加齢とともに治ることが多い。
・18歳になると、アレルゲンは甲殻類、小麦、魚類、果物の順となるが、治る可能性は低い。
正しい診断と適切な対処が大切となる
・診断については、アレルゲンコンポーネントを用いた血液検査が正確だが、今は10項目のみしかないため、さらなる検査項目の拡大を期待している。
・遺伝子レベルで診断することも可能になっている。
・「感作には4種類ある」(1)経皮感作 (2)粘膜感作 (3)気道感作 (4)経口感作 それぞれの対応が
ある。
・加水分解コムギ含有石鹸の事件で、経皮感作の重要性が広く知られることとなった。
その後、石鹸を中止後4、5年で治るデータも出てきている。このように、経皮感作は、感作経路を
断つことができればアレルギーは治りうる。
・治療は、原因食物を避けることから、可能な範囲で食べる時代へと移行している。
・魚アレルギーを治すためにしていること。
(1)まず、乾燥肌、湿疹のコントロール(プロアクティブ療法を用いて悪化させないようにする) 
(2)食べられる魚は食べてもらう。カツオやマグロからはじめることが多い。抗ヒ剤を一緒に服用。
今まで大きなトラブルはない。
・粘膜感作から始まる食物アレルギー 
代表的なのは、花粉−食物アレルギー症候群、(シラカバ、ハンノキ→交差反応→リンゴ、モモ(バラ科))
花粉感作が減弱すれば、交差する食べ物アレルギーも治りうる。今は花粉の免疫療法はスギのみだが、今後、ほかの花粉への拡大も期待している。
・低年齢は経皮感作の卵、牛乳アレルギーが多いが自然に治ることが多い。学童期までに治らなかったら
経口負荷試験で対応している。治らない子は腸管感作の可能性もある。そういう子にはオマリズマブが効くが根本的に治すのは難しい。
→最初に記載した講演の先生も、アレルギーマーチ進展の予防のために乾燥肌、湿疹のコントロールが大事と話されていたが、本講演の先生も食物アレルギー治療にはまず乾燥肌、湿疹のコントロールを行い、肌のバリア機能を高める重要性を話されていた。
3日目の講演でも、調理従事者による職業性食物アレルギーが増加しており、手荒れ、手の湿疹も原因であると経皮感作に触れられており、子供のみならず、大人における乾燥肌、湿疹の治療の重要性を再確認することとなった。

[ No.267 ] 第70回日本アレルギー学会学術大会参加報告 投稿者: 亀田 まき 2021年10月18日 (月) 09時47分
日時:
2021年10月9日(土)10日(日)
場所:
パシフィコ横浜ノース

内容:
10月9日
【アレルギー性鼻炎と腸内細菌叢の関連:感作と発症に及ぼす影響 
弘前大学 松原 篤先生】
ヒトの腸管の中では、約100兆個もの細菌が存在し、腸内細菌叢(GM)を形成している。近年、この菌種の同定の手法が進化し、GMの研究が飛躍的に進化したことにより、様々な疾患にGMの多様性が低下することによる、GMの乱れが重要であると考えられている。
弘前大学では、岩木健康増進プロジェクトという一般地域住民を対象として大規模で多角的な健康調査・推進活動を行っている。この中の検討で、Lactobacillales目(乳酸菌を主とした菌を含む)とBifidobacteriales目(ビフィズス菌を主とした菌を含む)の共生が吸入性抗原感作率を抑制していることがわかっている。一方で、腸内で優勢菌の一つであるBacteroidales目は、感作率を亢進させているかもしれない。アトピー性皮膚炎では、Bifidobacteriales目が皮膚炎の重症度と負の相関があることがわかっているが、このBifidobacteriales目の減少を埋めるように増加しているのがBacteroidales目であることがある。Ig Aの産生誘導に関わっているとの報告もあるが、いまだ解明されてはいない。
また、抗原感作群と非感作群で、GMの多様性を比較したところ、感作群では腸内細菌叢におけるα多様性(個体内での均等性)が低下していたが、症状の有無については有意差がつかなかった。
まとめ:腸内細菌叢(GM)の多様性(diversity)が落ちると吸入性感作抗原に感作しやすくなる。一方で、発症に関してはまだわからない。今後のさらなる研究が待たれる。
考察:外からとったプロバイオティクスは腸内に定着しないので摂り続けないといけないと考えられているが、腸内に定着しなくてもTLR2にうまく作用し、Th1活性を賦活することができれば、アトピー患者をはじめとするアレルギー疾患患者の偏ったTh1/Th2バランスを是正できるかもしれないという点について、さらなる研究に期待したい。
【ミニシンポジウム アトピー性皮膚炎の治療・予防・合併症】
小児アトピー性皮膚炎を対象としたデルゴシチニブ軟膏の国内第三相試験
軽症から重症の小児A D患者(2〜15歳)を対象。いずれの部位においても皮疹改善効果が見られ、また56週を通して良好な忍容性が確認された。
アトピー性患者における下記の石鹸洗浄についての評価者ブラインド左右ランダム化非劣性試験
四肢への定期ステロイド塗布回数が週2回以下で湿疹の状態が良好な小児A D患者を対象。
夏季のA Dの寛解維持に関しても、湯洗いは石鹸洗浄に対して非劣性であった。また、石鹸をしっかりすすげば、石鹸の種類ではあまり差はない。ただし、急性期の患者に対しては、異なる結果が得られることが予想される。
アトピー緑内障に対して緑内障手術を施行した症例の検討
重症アトピー性皮膚炎を伴う緑内障のうち、明らかなステロイド緑内障を除いた緑内障がアトピー緑内障。著名な高眼圧と視野欠損を伴う重症例が多い。観血的手術を要した重症アトピー緑内障例には青壮年期男性が多い。薬物療法から始めるが、皮膚科治療も並行して行うことが重要。重症例ではステロイド忌避症例が多い。44症例のうち、3例3眼において、観血的手術にも関わらず光覚を喪失した。このように、アトピー緑内障は生活の質に大きな影響を与える病態であると考えられる。

【アトピー性皮膚炎治療最前線 2021】
1.アレルギー疾患としてアトピー性皮膚炎患者さんを中心に据えた医療連携について
〜新規治療薬の考察を添えて
藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科 矢上 晶子先生
アトピー性皮膚炎へのアプローチとしては、外用薬によるプロアクティブ療法、悪化因子を回避する生活指導などが確立され、治療水準は向上してきている。それでも、全身の重篤が皮疹や、強い痒みが長期的に続く症例もあり、10〜20歳代での治療中断、ステロイド忌避に伴う不適切治療に対し、フォローしていくことが必須である。
アトピーの治療において、皮膚科(アレルギー科)、小児科、呼吸器科、眼科、耳鼻科等との多科連携も重要である。アレルギーマーチの根本には子供の頃のアトピー性皮膚炎があると考えられ、まずは小児科との連携が大切であると考え、皮膚科から小児科へアドバイスをしていきたい。
顔面湿疹を有するAD患者においては、顔面周囲を擦ったり叩いたりしてしまうことによって、視力低下や時に失明してしまう症例を経験した。顔に皮疹がなかったとしても、視力低下をきたしているケースもあり、10歳代には眼科にてスクリーニング検査を勧奨することが必要と考える。目の周りの皮疹に対しては、「丁寧に洗う」「外用薬を綿棒で塗る」という対応でも改善が見られることを周知したい。
外用治療でうまくいかない中等症以上の患者に対しては患者のQOLを考慮し、全身療法を検討する。経口ステロイド、シクロスポリン、オルミエント、生物学的製剤などの選択肢があるが、新治療であるオルミエントは1日、2日で痒みが治ると言われており、コントロール不良患者をプロアクティブ療法につなぐために有効と考える。

⒉.アトピー性皮膚炎の病態に根ざしたJAK阻害剤の使い方
近畿大学 大塚 篤司先生
アトピー性皮膚炎の患者は全国に51万人〜100万人くらい存在するとも言われている。アトピーに類似した疾患もあり、除外診断も重要。少しでもおかしいと思ったら生検も考慮する。
新しい治療法は色々出てきているが、基本はステロイドを使った外用療法であり、FTUをもとにしっかりと外用薬を塗布すること、プロアクティブ療法に持っていくことが最重要である。

アトピーには内因性・外因性もアトピーがある。外因性はバリア機能が問題であるが、内因性はバリア機能は正常だが、金属アレルギー(Ni,Co,Cr,Mn,Zn,Cu)がある。なかなか改善してこないケースでは、内因性のケースが考えられ、金属パッチテストで陽性であれば、以下を試してみる。
・コーヒー、ココア、紅茶を控える
・チョコレートを食べない
・香辛料を控える
・豆類、オートミール、玄米食を取りすぎない
1〜2週間やめてみて、皮膚の状態がどうなるのかを観察し、QOLを保ちながら無理の無い範囲での制限を考える。

味覚性の発汗というのもある。カプサイシン性発汗とは区別される。甘みや酸味で顔面正中部に発汗するもの。汗に金属を含んでいることがあり、辛いものを食べると痒くなるというのは、コリン性蕁麻疹の他に金属アレルギーが考えられる。

JAK/STATシグナル伝達経路はアトピー性皮膚炎の病態形成に関わる様々なサイトカインのシグナル伝達において重要な役割を担う。JAK阻害剤を使用すると広くサイトカインを抑制する。
日本人と欧米人ではサイトカインに差がある。アジア人のアトピーは、Th2だけでなく、Th17、Th22も関与している。
Th2→IL4,IL5,IL15…痒み、皮膚バリア、アレルギー症状に関与
Th17→IL17…好中球の誘導、抗菌ペプチドに関与
Th22→IL22…表皮肥厚に関与 アトピー中等症以上で増加
Th1→IFN-γ…マクロファージを活性化

末梢神経は11種類に分けられ、有髄神経と無髄神経がある。NP1~NP3が痒みに関与。
アロネーシス(少しの刺激で痒みを感じる症状)やハイパーネーシス(ヒスタミンなどの痒み刺激がより強い痒みを生じさせる症状)にもTh2サイトカインが関与しているかもしれない。
大気汚染も痒みを誘導しているかもしれない。(TRAPV1が関与?)

JAK阻害剤のオルミエントに関しては、多くの試験が走っている。痒みを抑える効果が強い。
オルミエントで注意すべき副作用として、帯状疱疹とヘルペスにとくに注意が必要。2021年9月に米国FDAからJAK阻害剤に対する警告が発出され、日本でも結核、βグルカン、肝機能、白血球などのモニタリングが必要となっている。
抗体製剤に関しては、薬をいったん中止した後再開すると有効性が下がる可能性があるが、JAK阻害剤は問題がなさそうなので、悪化時に使用し、よくなったら中止、また悪くなったら再開、という使い方が可能である。皮疹や痒みのコントロール不良の患者に、成功体験を積ませ治療意欲を回復させるためのフットインザドアとしての使い方も可能だろう。

まとめと考察:JAK阻害剤等、痒みを短期で顕著に抑える新しい治療法も出てきているが、最終目標はプロアクティブ療法に持っていくことであり、そのための架け橋として、全身療法を考慮する。
プロアクティブ療法の認知度はまだ低く、FTUに基づく外用治療の徹底や、スキンケアの指導などは薬局でも指導できることであり、今後の指導にも生かしていきたい。
また、アトピーが原因で失明してしまう症例を知り、目の周りのケアの方法の指導、そして状況に応じ薬局でも眼科への受診を推奨することが必要と考えた。

10月10日
【食物アレルギーの診療の現状と将来の展望
国立病院機構相模原病院臨床研究センター 海老澤 元宏先生】
「食物アレルギー診療ガイドライン2021」は2021年11月に日本小児アレルギー学会より発刊予定。「食物アレルギー診療の手引き2020」と「食物経口負荷試験の手引き2020」はダウンロードできる。

消化管アレルギー
新生児乳児食物蛋白誘発胃腸症と呼ばれる、卵黄により嘔吐するsolid-FPIESの報告が増えている。必ずしも「アレルギー」として認定されているわけでは無いが、抗原特異性もあり、小児科医からみてアレルギーと考えている。

成人の食物アレルギー
*PFAS(pollen-food allergy syndrome,元々花粉症の人がのちにその花粉のアレルギーと交差反応する生の果物や野菜を摂取したときに口や喉の粘膜で起きるアレルギー症状)。カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ)花粉とバラ科果物(りんご、さくらんぼ、桃)が多い。
*ラテックス-フルーツ症候群
*手湿疹を介して感作する、職業性食物アレルギー
*化粧品に関連した食物アレルギー
*遅発性IgE依存性食物アレルギー
  納豆アレルギー(PGAアレルギー、マリンスポーツ愛好家におおい。納豆の粘り気成分がクラゲの触手成分に交差抗原性あり。クラゲに刺されたこととの関連性が報告されている)
  α-Galアレルギー(マダニで感作。Red Meatにアレルギー反応)
*その他の獣肉アレルギー

木の実のアレルギーの増加(モニタリング調査の解析)
2005年からモニタリング調査を行なっている。2014年までは平坦なのだが、そこから急激に増加をしている。
2020年(n=6080)を解析すると、どの年代においても木の実類が急増している。その中でも、くるみ、カシューナッツが増加しており、ピーナッツを追い抜いている。低年齢での増加が著しい。
これらのナッツの輸入量が増え、国内消費量が増加していることが背景にありそうだ。現在これらを特定原材料表示に入れるための作業を行なっている。

牛乳アレルギーの発症リスク
生後3日以内に人工乳が入った児は、全てのアレルギーリスクが上がる。
粉ミルクを追加すると、2歳時の乳アレルギー以外の小麦アレルギーなどのリスクも上がる。
できれば母乳、そこに追加するとすれば、糖水またはアミノ酸乳かであるが、これはこれから研究が必要。
一方で、生後1ヶ月から3ヶ月に粉ミルクが10ml以上毎日入っていた方が、乳アレルギーのリスクが減る。生まれた直後に人工乳を入れたら、パッとやめずに継続した方がいいかもしれない。これもさらに研究が必要。

日常摂取量を目標とするOIT(経口免疫療法)の5年経過(2017年の報告)
鶏卵、小麦、ピーナッツに比較して、乳は成績が悪い。ピーナッツは比較的有効なのだが、途中中断してしまうケースが多く、再度悪化してしまう方がいる。
SU(Sustained unresponsiveness;持続的な不応答性)達成しても、症状が出ることが結構ある。摂取後の運動をきっかけとすることが多く、5時間目の体育などで症状が出たりすることがあるので、フォローアップがやめられない。

少量を目標量とするOIT
こちらの方がかなり継続できるが、やはり乳は成績が悪い。
最重症の人は、数年やってもそんなに良くならないこともある。簡単に寛解にまで進めるのは難しいと念頭に置くこと。少量でゆっくり行うのがベスト。

アメリカではオマリズマブを併用している
OIT中の重篤度は下げるが、最終的な有効性は変わらないようだ。
デュプリマブをFA単独の低年齢児に使用する?など、今後5〜10年でバイオ製剤がFA治療に使用されることになるかもしれない。

アナフィラキシーの診断基準
アドレナリンの使用を躊躇わないようにするために、診断基準を変えようとしている
イントラネーザルも開発中

まとめと考察:この20年で食物アレルギーの進歩が著しかったことを知った。日本人の食生活の変化も同じく著しい。薬局で直接食物アレルギーの治療に関わることはないが、その進歩については勉強しながら、予防策としてのスキンケア指導やエピペンの指導等に取り組んでいきたい。

【小児気道アレルギー診療のUp to date   獨協医科大学 吉原 重美先生】
モンゴルでの小児に対する報告
重症の下気道炎があると、6歳児の喘息発症リスクが高い。ウィルス感染が重要なのではないか?
実際の臨床にて
パリビズマブ投与群と被投与群で反復性喘鳴・喘息発症リスクを検討。
→投与群にて3歳までの反復性喘鳴の発症を低下させる。

乳幼児喘息の定義
5歳以下の喘息の診断は難しいが、
*3エピソード以上の反復性喘鳴
*β刺激薬吸入で改善する
*努力性呼吸やSpO2の低下など
を参考に診断的治療を行う。
反復性喘鳴に対し、暫定的に乳幼児喘息の診断後、長期管理薬を1ヶ月ほど使用してみる。非IgE関連喘息も考慮する。
肺音解析の重要性
低年齢児に対し、β刺激薬前後での肺音パラメーターを比較し、高音域が改善した群を喘息と診断することが出来るかもしれない。

今後肺音解析で低年齢児の喘息の早期発見、介入が出来るようになってくるかもしれない。
治療に関して
気管収縮を起こすとリモデリングを起こす。ICSだけでなく、拡張剤も入れた方が良い、つまり配合剤が有効であると考えられる。現状、5歳未満にICS/LABAは保険適用ではない。北欧では使用されている。乳幼児に対するICS/LABAも検討して行った方がいいかもしれない。
ICSの長期定期吸入で成人身長が1.2cm低くなったという報告がある。これはICSを使うな、という意味ではなく、必要最小限の治療をするのがいいということ。コントロール不良の場合には、ICSとLABAの併用を考慮する。

学童以降に喘息に移行する可能性について
リスク因子となるのは
*家族歴
*アトピー、アレルギー性鼻炎の合併
*食物・吸入アレルゲンへの早期感作

乳幼児のときの長期的管理が大事。
重症早期から生物学的製剤の投与開始が必要かも?
ダニSLITに関して、喘息には適応がないが、低年齢からのダニSLITで喘息のコントロールも良好になる例も。今後、ダニ感作されている喘息患者には免疫療法を標準治療として提案される。

COVID19について
COVID19感染で通常の喘息が悪化することはない。
上気道、下気道感染とも、パンデミック後の方が少ない。
自宅で過ごすことが増えたので
*外でのアレルゲン、ウィルス感染を回避
*大気汚染が改善
*長期管理薬の遵守ができた
*ACEの発現が少ない
その結果喘息のコントロールも良好になった。特に小児の喘息に対してはCOVID19は保護的に働いている

【スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法】
ダニ舌下免疫療法の気道炎症に及ぼす影響 国際医療福祉大学 星野誠先生
ダニ感作のあるアレルギー性鼻炎合併の喘息患者について、SLIT併用による呼吸機能、気道炎症と気道リモデリングに対する影響について検討を行なったところ、炎症のみならず、リモデリングの改善も認めた。一方で、長期間治療を行なっても効果が認められない患者が存在する、治療開始前あるいは治療開始早期にその効果を予測できるバイオマーカーの確立が望まれている。
ダニSLI Tについて検討した結果、気道閉塞を改善させる予測因子として、FeNOとペリオスチンが期待された。

スギ・ダニ舌下免疫療法の治療成績と併用療法の検討 ながくら耳鼻咽喉科 永倉 仁史先生
5歳以下でも副作用は増加しない。
シダキュアについては、全例で抗ヒ剤前投与を行うと、副作用が出たとしても2ヶ月くらいでほぼ7割が消失する。2000で翌シーズンまでいき、その後5000に移行したケースも経験している。(この際、レセプトにコメントを入れないと返戻になった場合がある)ヒノキ(特に目の症状)には効きにくい。(でも効いてる!)実際に、ヒノキのIgEが下がっていることも確認されている。
年数が長くなるほど症状は改善する。

ミティキュアは抗ヒ剤前投与を行なっていない。副作用率は7割以上だが、2ヶ月でそのうちの7割が消失する。9割以上が効果ありと回答、最初の年から効いて、持続している印象。3300を2ヶ月使って、10000へ移行したケースを経験している。

どちらも、あまり効果を感じない場合があるが、鼻過敏症だと効きにくいようだ。

スギ・ダニ併用の症例も増加した。
副作用が落ち着いてからであれば、1分後の併用でどちらが先でも有害事象に差はなかった
海外では、様々な抗原を個々に合わせて混合したSCIT抗原液が存在する。
ミティキュア、シダキュア混合時の安定性を調べた論文で、唾液中で10分間混合放置しても、スギ・ダニ共に抗原性が低下しなかった。今後は同時投与も可能と考えている。

日本では、スギ・ダニの重複感作が多いので、この二つの主要抗原に対してのエビデンスは日本で積んでいくべき。
SLITの効果持続についてはこれから検討していく。新規抗原によるアレルギー発症抑制や、アレルギーマーチの阻止ができるか等、これからエビデンスを積んでいく必要がある。

まとめと考察
シダキュア、ミティキュア共に、副作用への対応は早めに行うことが大切である。治療は長期に渡るため、治療開始を早期に行なうことが大切であると考える。この治療が様々なアレルギー患者の増加を防げると信じたい。
以上

[ No.266 ] 第70回日本アレルギー学会学術大会参加報告 投稿者: 船越 恵 2021年10月18日 (月) 09時40分
会期:令和3年10月8日(金)・9日(土)・10日(日)

会場:パシフィコ横浜 ノース

上記日程、会場にて第70回日本アレルギー学会学術大会に参加したので報告する。

<アトピー性皮膚炎患者さんを中心に据えた医療連携について>

・小児から成人に至るとき小児科から皮膚科への移行がスムーズにいかず、10代が手薄になってしまう傾向がある。皮膚科ではセルフケアやスキンケアの方法を入院して指導することもあり、症状が良くなって患者さん自身に自信をもってもらうことが大切である。

・アトピー性皮膚炎の眼病変により視力低下から失明に至ることもある。洗浄、外用、保湿が大切であり、眼周囲は綿棒を用い丁寧に塗布することにより症状が良くなる。

・アトピー性皮膚炎には外因性と内因性がある。内因性アトピー性皮膚炎は、IgEが正常域であり、アトピー性皮膚炎の約20%を占め、女性に多いという特徴がある。

皮膚バリア機能は正常であり、一部では金属や汗が悪化の原因となっている。チョコレートやコーヒー、香辛料には金属が含まれているため、これらを一定期間控えることにより症状がかなり改善することがある。他にもオートミールや玄米食を摂りすぎてはいけない。また、汗にも金属が含まれているため悪化の原因となりうる。

<スギ、ダニ舌下免疫療法の治療成績と併用療法の検討>

我国で舌下免疫療法(SLIT)を行なっているのは35万人いる。スギ舌下免疫療法の治療薬が発売されて7年が過ぎ、ダニに対しても6年が経ったが、副作用の頻度は発売当初危惧したほど多くはなく、治療効果もよく9割の方が満足度が高いと解答している。

我国はスギとダニの重複感作が多いという特徴を持つため、この2つの主要抗原に対し免疫療法を低年齢層から積極的に導入し、早期寛解を目指していくことが有効である。

また、治療のゴールを明確にすることによりアドヒアランスが上がると報告がある。副作用がなければ、入浴は服用の前後2時間あける必要はなく、スギとダニの同時服用も可能となっていくと思われる。海外では2種混合もあり、オーダーメイドもある。

<小児気道アレルギー診療の up to date>

小児の喘息は5〜10%と言われており、両親が喘息だと子が喘息になる確率は7倍高いとの報告がある。

喘息の病態解明が進み、Th2型炎症を形成する分子を標的とした生物学的製剤であるオマリズマブ、メポリズマブ、デュビルマブ等が小児でも使用可能となり、早期に治療を行うことにより重症化しないことに期待が持てるようになった。

現在使われているステロイド吸入の副作用について、使用している子の平均身長が1.2cm低いとの報告がある。オーバードーズを避け、適切に使用することが大事である。

新型コロナウイルスは小児喘息には影響はない。喘息の急性増悪や重症化しないことが分かっている。

[ No.264 ] 第50回日本薬剤師会学術大会参加報告 投稿者: セイワ薬局 2017年10月28日 (土) 12時43分
日程:平成29年10月8日・9日
会場:東京国際フォーラム、JPタワーホール

分科会17 患者が喜ぶ調剤 ー明日から使える知識とスキルー
根拠に基づいた外用剤の調剤と患者説明
杏雲堂病院 診療技術部長 小林 功
・内服より座薬のほうがすぐ効く?
例)ドンペリドン
Tmax(hr)    Cmax(ng/ml)
坐剤         1〜2         23.4
錠剤         0.5         11
OD錠         0.85        11
上記の結果より錠剤又はOD錠を選択することが望ましい
例)アセトアミノフェン400mg
Tmax(hr) Cmax(μg/ml)
坐剤        2.4±1.1      3.9±0.8
錠剤        0.46±0.19 9.1±2.9
上記の結果より錠剤服用が困難な時は坐剤より粉か注射が望ましい
・塗り薬について
・平成26年3月19日から薬剤師による外用剤の実技指導が可となった
・ヒルドイドソフト軟膏とヒルドイドローションの使用量を比較すると、ローションのほうが
30%少ないことが分かった
⇒ローションの使用量の指導をする
・ゲル剤(ディフェリン、ベピオ等)は副作用発現率が高い
⇒保湿との併用を指導する
・使用量は1FTU=0.5g 大人の両手のひら分で表すことが多いが、これは海外の文献である
日本のチューブは口径が違うので1FTU=0.5gとはいえないことがある
⇒塗布部にティッシュを付けて持ち上がる位の量を塗布するよう指導すると良い
・練太郎使用時、容器の下に柔らかいもの、上に硬いものを入れるほうが良い
・経皮吸収型製剤について
フランドルテープ、ニトロダームTTS、ノルスパンテープ、ニュープロパッチテープなど、
基本的な注意として自動車運転や高所作業に従事させないこと、となっている。注意するではなく、
従事させないと指導しなければならない。

船越 恵

[ No.263 ] 第19回日本在宅医学会大会参加報告 投稿者: セイワ薬局 2017年06月26日 (月) 15時31分
日程:平成29年6月17日(土)、18日(日)
会場:名古屋国際会議場

*フレイル
フレイルとは、加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態のことをいう。しかし、適切な介入・支援により、再び健康な状態に戻ることが可能な可逆性が特徴である。健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味する。
フレイルの基準:5項目中、3項目以上該当するとフレイル、2項目以内の場合にフレイルの前段階であるプレフレイルと判断する。                   
1.体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
2.疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
3.歩行速度の低下
4.握力の低下
5.身体活動量の低下

薬局においては、患者さんのフレイルの状態にいち早く気づき、適切な介入をすることによって、健康寿命の延長を目指していきたい。

*高齢者の栄養管理
高齢期においては、従来のメタボ概念のカロリー制限ではなくフレイル予防につながる食習慣や栄養管理が必要である。体力のベースはエネルギーとタンパク質であり必要以上に制限している人は注意が必要だ。卵、納豆、豆腐など良質のたんぱく質の積極的な摂取が重要である。最近、ロイシン(ツナ缶、鶏胸肉などに多く含む)が筋タンパクにいいと分かってきた。ただし、タンパク質の過剰摂取は腎機能に注意しなくてはならない。栄養指導というと、糖尿病や脂質異常症など特定の疾患に対する栄養指導に力が入りがちであるが、食事全体のバランスについても考えて指導していかなくてはならないと実感した。


*高齢者の食事量低下
薬局において食事がとれない、食事量が減ったという悩みを聞くことも多い。孤食が原因の一つである場合もある。誰かと一緒に食べる共食が大事ということが分かってきている。月の数回でも誰かと食べる機会をつくることも大事である。
また、オーラルフレイル(口腔機能低下)が原因の場合もある。高齢になると病院の受診率は上がるが、歯科の受診率は下がる。歯科への定期的な受診勧奨をするのも重要な役割であると考える。そしてそれぞれ個々の口腔機能にあった食事の形態を提案することもできる。嚥下機能が落ちた人は、誤嚥性肺炎に注意するためにとろみをつけることで誤嚥のリスクを減らすことができる。食事量がとれない人には栄養調整食品を活用することも提案ができると思う。
また、食事中の姿勢が原因であることもある。車いすの人であれば食事中は車いすから降りて、普通のイスに座ってきちんと床に足をつけて食べるたけでも変わった例があった。
また、白いお茶碗に白米という組み合わせは高齢者には見えにくい。食器の色を変えるだけでも、食欲は変わる。

*低栄養
低栄養を背景とする筋肉減弱症(サルコぺニア)が問題となっている。サルコペニアの簡易指標として「指輪っかテスト」がある。前かがみの状態で、自分の両親指と人差し指で作った輪っかをふくらはぎに当て、隙間ができる状態は注意が必要である。また、血清アルブミン値3.8g/dl以下、血中総コレステロール値150mg/dl未満なども低栄養のリスクの目安となる。
2週間の寝たきりは7年分の筋肉を失うといわれている。BMIよりも筋肉量に注目したほうがいい。体重は絶対値よりも経時的変化を見ることが重要である。

*水分量
30〜40mL/kg/日が水分量の基準である。経腸栄養剤は濃度が高くなるにしたがって水分含有量は減少する。
例えば、ラコールの水分含有量は約85%である。
1200mL投与の場合1020mLの水分量となり、40kgの患者さんの場合だと25.5mL/kg/dayとなり、不足の状態となる。

*在宅ケア業務支援システム
はるたか会あおぞら診療所でも採用している「bmicZR」という他職種連携用のツール。
LINEのような感じで細かい日々の変化を書き込める形式。電話でのやり取りはお互いの都合が合わないことが多く、メールではセキュリティの心配等があったが、それらをカバーできるシステムである。また、緊急時の対応も、bmicZRで最近の状況をみれば臨時の人でも対応しやすい。特に小児在宅ではケアマネさんがいないため、全体を把握している医療者はおらず、苦労している。このシステムの活用によって他職種で情報共有できるため、よりよい医療を提供できると思う。

(高梨 ゆりか)

[ No.260 ] ウイルス性肝炎 投稿者: セイワ薬局 2017年02月16日 (木) 12時43分
「C型肝炎の最新治療〜薬剤師に期待したいこと〜」
東京大学医科学研究所 先端ゲノム医学分野 准教授 加藤直也先生

肝臓の役割は主に2つ
1 必要なものを作る
  アルブミン
  血液凝固因子
  糖
  コレステロール
  胆汁
2 不要なものを捨てる
  アンモニア
  ビリルビン
  アルコール
  毒素

ALT、ASTは・・・
機能の指標ではなく、障害の指標。肝臓がどれくらい壊れてしまっているかを示すもの。30以上では何かしらの障害があるということ。

肝硬変が進んでいくと血小板が低下してくる。
血小板基準値 おおむね15〜35万
10万切ったら肝硬変

ASTやALTは悪化していくスピード、血小板は悪化しているステージを知る指標となる。

肝臓は再生ができる臓器である。たとえば指の同じ箇所にナイフで傷を作って、治ったらまたナイフで同じところに傷を作っていく、それを繰り返していくとやがて箇所が硬くなってくる。それが肝硬変の成り立ちである(線維化)。

ウイルス性C型肝炎の治療目的はもはやウイルスの除去ではなく、肝硬変にならないようにすること!

インターフェロン、リバビリン(レベトール®)(IFの働きを強める)、直接的抗ウイルス薬


直接的抗ウイルス薬には現在3種類
@プロテアーゼ阻害剤 〜プレビル
もともと耐性はないが変異してくるものがある
アスナプレビル(スンベプラ®)(ダクラタスビル(ダルクインザ®)と併用する)
アスナプレビル(ジメンシー配合®)
グラゾプレビル(グラジナ®)(エルバスビル(エレルサ®)と併用する:肝機能障害に注意)
パリタプレビル(ヴィキラックス配®)
Aポリメラーゼ阻害剤 〜アスビル
耐性はない
ダクラタスビル(ダルクインザ®)(アスナプレビル(スンベプラ®)と併用する)
ダクラタスビル(ジメンシー配合®)
エルバスビル(エレルサ®)(グラゾプレビル(グラジナ®)と併用する:肝機能障害に注意)
オムビタスビル(ヴィキラックス配®)
レジパスビル(ハーボニー配®)
BNS5A阻害剤 〜ブビル
 もともと耐性のある人が20%いる。3年経っても95%残ってしまう。一番問題になる。
  ソホスブビル(ソバルディ®)リトナビルを併用する。溶血性貧血と腎機能障害に注意。
  ソホスブビル(ハーボニー配合®)
  ベクラブビル(ジメンシー配合®)
Cその他
  リトナビル パリタプレビルの血漿中濃度を上昇させる。(ヴィキラックス配®)←相互作用が多い。CAB併用時はむくみに注意し減量を考慮。


もはやがんが小さくなるだけでは新しい薬は認可されない。延命できるかどうかが問われている。

肝がんは再発しやすい疾患。切除、エタノール注入、ラジオ波等施しても肝臓自体がんができやすい状態になってしまっていると(線維化)再発してしまう。

C型肝炎ウイルスが発見されて20数年、インターフェロンで始まった当初の治療は副作用でつらい思いをして治癒する方が30%程度、ペグIFやレベトール®などの開発も続きながら現在ではほぼ克服できてきている。

新しい薬が続々と開発されているため、時を待てば治癒率の高い治療に臨めるが、反面、毎年1%の患者さんが肝硬変になってしまう現状があるため、5年で5%、10年で10%の患者が肝硬変に進行してしまうことを考えると、現時点でも高率に治癒が望めるため、治療をするなら今!という結論になる。

ステージによっては進行を食い止めるだけでなく、可逆的にかつ進行した速度よりも早く改善する症例もある。

もはやウルソや強力ミノファーゲンCの連日注射で指を食わているような治療をしている時代ではないということ!

患者さんは潜在的にはまだまだたくさん未治療のままであるということ。

[ No.259 ] 第48回日本小児感染症学会 投稿者: セイワ薬局 2016年11月21日 (月) 09時32分
第48回日本小児感染症学会学術集会
平成28年11月19日〜20日 岡山コンベンションセンター
学会テーマは小児感染症の研究と診療の連携−みんなで考えよう 人材育成と多職種連携

シンポジウム3 腸内細菌叢と小児期疾患との関係
腸内細菌嚢の形成とその異常 久田 研先生(順天堂大学 小児科)
母乳と人口乳といった栄養方法の違いによって腸内細菌嚢は異なってくる。経腟分娩と帝王切開の分娩方法の違いによっても2歳に至るまでの腸内細菌嚢やその後の免疫にも影響する。
腸内細菌嚢とアレルギー疾患 下条 直樹先生(千葉大学 小児病態学)
妊娠中か出生後にかけてのプロバイオティクス投与は児のアトピー性皮膚炎の発症を減少させる。すでに発症しているアトピー性皮膚炎、食物アレルギーの患者へのプロバイオティクス投与は有用性は確認されていない。
腸内細菌嚢と炎症性腸疾患 永田 智先生(東京女子医科大学 小児科)
潰瘍性大腸炎の寛解、維持に対するプロバイオティクスの効果はほぼ実証されているが、クローン病に対してはエビデンスに乏しい。

シンポジウム4 小児呼吸器感染症ガイドライン使う立場から 作った立場から
田島 剛先生(博慈会記念総合病院 小児科)
岡田 賢司(福岡歯科大学 小児科)
小児呼吸器感染症ガイドライン2016はクリニカル・クエスチョンを全員で作成、文献検索後、批判的吟味を行いアブストラクト・フォームが作成されている。エビデンスレベル分類を行い、推奨レベルを投票で決定した後外部評価を受け公開予定としている。

イブニングセミナー5 小児マイコプラズマ感染症における現況について
大石 智洋先生(川崎医科大学 小児科学講座)
マイコプラズマは2011−2012年にかけて大流行があり、マクロライド耐性が問題となった。直近のデータではマクロライド耐性は減少している。従来の血清診断法に加え、様々な抗原診断法が開発(富士フィルム)されてきた。

モーニングセミナー2 小児呼吸器感染症の新たなエビデンス
宮入 烈(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部感染症科)
入院に至る市中肺炎の多くがRS、ライノ、ヒトメタなど既知の流行性ウイルス感染症に起因するものであることがマルチプレックスPCRや次世代シーケンサーを用いた検討で改めて確認されている。

シンポジウム5 小児科領域の抗感染症治療薬の開発の必要性
舘田 一博氏(日本化学療法学会 創薬促進検討委員会)
世界的に進行する耐性菌問題を人間の問題としてだけでなく、共存する動物や生物が生息・定住する環境を含めて地球規模の視点で考える“One Health”の概念が提唱されている。
佐藤 淳子氏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
小児医薬品の開発は開発困難、低収益の観点から企業が敬遠しがち。また、感染症領域は成人においても積極的に開発されておらず、新規性の高いシーズの創出に向け方策が考えられている。既存の医薬品についても小児用法用量が定まっていないものは安心して使用できるための環境作りが重要。
野村 伸彦氏(富山化学工業株式会社)
米国FDAはGAIN法(2011)を制定し産官学の協力下で新規抗菌薬の開発を積極的に支援している。本邦においては8学会から産学官の連携や国際共同研究の推進が提唱されている。

ランチョンセミナー13 日常診療で診なくなった感染症
森内 浩幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染病態制御分野)
感染症の歴史を変えたのはワクチン。天然痘、麻疹、ムンプス、帯状疱疹などで歴史上の人物も命をおとしてきており、また、歴史も変えられてきているともいえる!?
麻疹は1人が15人に感染するとあっという間に拡散されてしまう。

一般演題
*AMPC1日1回服用法(40〜50mg/kg/day)は溶連菌感染咽頭扁桃炎の治療で考慮される選択しである。
*溶連菌感染症後に起こる自己免疫疾患であるリウマチ熱に合併する舞踏病の病態を動画でいることができた。近年ではまれな症例。
*急性細気管支炎のおける吸入療法は生理食塩水(PSS)で十分(β2は不要)。
*RSVは解熱後も2〜3日はウイルス排泄が続く。
*母乳栄養はRSV感染症の臨床症状軽減に関与する可能性がある。
*入院でのRSV、hMPV感染例では中耳炎合併が見られ、RSVでは50%、hMPVでは15%。
*hMPVでは、WBCは6000〜8000、CRPは1〜3、最高体温38.9℃、有熱期間4日。
*XPでは右下肺野陰影が高頻度、血中LDHが有意に高値。肺炎のリスク因子は喘鳴既往と両親の小児喘息歴。BISも有効。

[ No.258 ] 第53回日本小児アレルギー学会 投稿者: セイワ薬局 2016年10月12日 (水) 15時31分
第53回日本小児アレルギー学会
テーマ:未来への治療の展望
会 期:2016年10月8日(土)・9日(日)
会 場:ベイシア文化ホール(群馬県民会館)
    前橋商工会議所会館




食物アレルギーガイドライン2016改訂に関する最新情報
*FAにおけるGL作成はEMBに基づいて実施していくことが難しい。
*食事療法については食べられることを目指した内容になっている。
*具体的な食品例を掲げることによってよりわかりやすい内容になっている。
*アレルゲン除去ミルクにはこれまで添加されていなかったカルニチンとビオチンが加わった。
*経口免疫療法(OIT)がGLに記された。リスクを伴うため倫理委員会の承認を得たりなど、一般診療化するものではない。エピペンを使用しなければならなくなった症例も数多くある。
*OITは自然経過によって軽快する(自然抗体獲得)採用機序とは異なる。
*リスペリドンを服用中の児についてはエピペンの使用が禁忌となっているため、リスペリドン処方医と連絡を取りながらエピペンの処方を検討していく。場合によっては医師間で禁忌事項を解いておく。


「喘息に対する分子標的治療の現状と展望」
長瀬洋之先生(帝京大学内科呼吸器・アレルギー学)
*抗IL5抗体mepolizumabは好酸球の多い(末梢好酸球数150を超えている症例)症例に限定して使用する。経口CSを減量できる。
*抗IL5受容体α benralizumab 2カ月に1回投与。
*Reslizumab好酸球性喘息に。
*抗IL13抗体lebrikizumab ペリオスチン高値で効果が高い。ペリオスチンとはBA患者で高値を示す。FEV1経年低下に相関。NOよりも関連性が高い。
*注目!! DPP4がBAに影響を与えている可能性が検討され始めている。IL13を計測する代わりとして使える。
*Omalizumab ゾレア® 抗IgE抗体 NOが高い、好酸球が高い、ペリオスチンが高い症例に効果。Free IgEが多いとゾレアは効かない。5年間投与するとIgE産生がもとに戻るのに15年位かかるといわれている。副作用、有害事象について、悪性腫瘍などは問題がなさそう。アナフィラキシーは2件の報告があるようだが、いずれの症例も既往歴に何らかのアナフィラキシー歴があったようだ。季節性アレルギー性鼻炎には効果テキメン。
*抗IL5抗体 ポリープのある副鼻腔炎に効果。
*抗IL13抗体 ADに効果。


「アトピー性皮膚炎と皮膚バリア障害
天谷雅行先生(慶應義塾大学医学部皮膚科、理化学研究所 統合生命医科学研究センター)
*皮膚が「免疫系が外来抗原と最初に出会う場所」として注目をされているという講演。
*皮膚バリアには、気相・液相間のバリアとして存在する角層(SC)バリア、液相・液相間のバリアとして存在するタイトジャンクション(TJ)、免疫バリアの最前線にあり外来抗原を補足する表皮内樹状細胞であるランゲルハンス細胞(LC)の3つのバリアが存在する。


PAEだからこそできること!ケアの視点と技の実際
重田大輔(佐久総合病院佐久医療センター)
田阪 祐子(神奈川県立こども医療センター看護部)
加賀田真寿美(佐久総合病院佐久医療センター小児科外来)
益子育代(東京都立小児総合医療センター)
及川郁子(東京家政大学)


学校におけるエピペンの適正使用
赤澤晃(東京都立小児総合医療センターアレルギー科)





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