[ No.237 ]
耐性菌感染症時代の抗菌薬使用の常識と非常識
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2013年01月21日 (月) 16時30分 |
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平成25年1月20日(日)、東京保険医協会で行われた講演会に参加してきました。 和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授、山中昇先生のご講演。 耐性菌感染症時代の抗菌薬使用の常識と非常識という演題で、下記の文章にはすべて間違いがある、正解は講演で解説するというもの。
1.中耳炎や鼻副鼻腔炎の米国診療ガイドラインは海外でも広く使用されているので、日本でも大いに利用すべきである。 2.急性中耳炎や急性鼻副鼻腔炎はウイルス感染なので、抗菌薬は使用すべきでない。 3.急性中耳炎は経過観察でそのほとんどが2〜3週間で治るので、鼓膜切開や抗菌薬治療は必要ない。 4.ペニシリン耐性肺炎球菌に対してペニシリン系抗菌薬は効果がない。 5.薬剤耐性菌は病原性が高い。 6.急性中耳炎に抗菌薬点耳薬は有効である。 7.耳漏や鼻汁からMRSAが検出されたので、バンコマイシンの点耳治療や静注治療を行う。 8.少量マクロライド治療中の急性増悪に対して、使用中のマクロライドを増量する。 9.肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の普及により急性中耳炎は激減する。 10.ヒブ(Hib)ワクチンはインフルエンザ菌性中耳炎、副鼻腔炎を予防できる。 11.成人の急性鼻副鼻腔炎は40〜50才代がもっとも多く、耐性菌は少ない。 12.溶連菌性咽頭扁桃炎の治療後は必ず、尿検査をすべきである。 13.溶連菌迅速テストで陽性の急性扁桃炎に対しては、AMPCが第一選択である。 14.急性喉頭蓋炎の診断には、咽頭粘膜の発赤や浮腫がポイントとなる。 15.抗菌薬はほとんどが腎排泄性なので腎機能に注意する。 16.抗菌薬増量に伴う下痢には耐性乳酸菌製剤が有効である。
この講演は本当におもしろく、興味深かったです。 この場に書き留めたい講演のポイントがありすぎるので今回のメモはここまで。 追々何かの機会に書かせていただくことにしたいと思います。 講習会の資料はファイルしてあります。 |
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