[ No.249 ]
うつ病の肖像
投稿者:
2014年09月26日 (金) 13時55分 |
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江戸川区薬剤師会研修会に参加しました。 平成26年9月24日(水)19:30〜21:00 タワーホール船堀
江北メンタルクリニック 斎藤広生先生
ポイントを箇条書きにします。
うつ病の原因やメカニズム、臨床についてお話が伺えました。
* うつの起源@気分の変化は合目的?本来餌の多い夏場に活動量が増え、餌の少ない冬場に活動量が少なくなるのが当たり前に生活してきた。動物には発情期もあれば、繁殖期もある。その昔(?)農家には繁忙期と農閑期があった。現代の生活は一年中コンスタントな活動性が求められている、それ自体がむしろ不自然なことなのでは?という考え方。
* うつの起源A元々うつは失恋・失意のシステム?生物の究極目的は「生殖」「生存」。小さな集落社会での失恋や失意での争いは生存、生殖確率を下げるため、生存と生殖を助けるためのシステムとしてはうつという状態が合目的になるのでは?(異性にふられたら少し落ち込んでじっとしている状態。)この合目的システムの誤作動や暴走が「気分障害」の正体ではないかという考え方。
* うつ病を診断していくうえで大事なこと・・・精神医学の二つの診断軸を考える。うつ状態=うつ病ではない!時間軸、縦軸診断で疾患診断、横軸診断で状態像診断、うつ状態の以前に躁状態が隠れていれば双極性障害という診断となることもあり、治療方針も変わってくる。
* 内因性のうつ病と環境因性のうつ病を比較、前者では薬物治療が効果を上げることが多いが、後者では抗うつ剤が無効ということが多い。
* 脳のブレーキ=セロトニン、セロトニン神経系はノルアドレナリン神経系の過活動を抑制する。睡眠、食欲など生物学的生存機能の調整。
* 脳のアクセル=ノルアドレナリン、意欲を創出、注意・集中力の創出、危険への対処(闘争、逃走)、痛みの抑制。
* 未知への遭遇=ドパミン、新しいことに対応するためのもの。
* うつ状態とは、モノアミン(情動)一家の総崩れ。 @セロトニン系:抑うつ気分、不安・焦燥、攻撃性、不眠(ブレーキが壊れた状態) Aノルアドレナリン系:意欲低下、注意・集中困難(アクセルを踏めない) Bドパミン系:興味・関心の低下、快感喪失(アンヘドニア) 抗うつ剤の効果は@→A→Bの順に見えてくる。それぞれ2週間くらいの期間をかけて改善してくることがある。この回復していく順番を知っておくことが患者さんの予後や回復期を予想でき、服薬指導時に参考となる。
* 激越うつ(不安・焦燥・活動性の高いうつ状態)に対する対応
* その場しのぎの不安剤 ベンゾジアゼピン系抗不安薬=安定剤、頓服薬に向いている!(ということはいいつつも、常用させてしまう患者さんも多いのが事実)
とても面白く、興味深いご講演でした。 時間が足りないくらい、もうちょっと聞いていたかったご講演でした。 また斎藤先生のご講演を拝聴する機会があれば、ぜひ聞きたいと思いました。 お世辞抜きです。 |
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