[ No.260 ]
ウイルス性肝炎
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2017年02月16日 (木) 12時43分 |
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「C型肝炎の最新治療〜薬剤師に期待したいこと〜」 東京大学医科学研究所 先端ゲノム医学分野 准教授 加藤直也先生
肝臓の役割は主に2つ 1 必要なものを作る アルブミン 血液凝固因子 糖 コレステロール 胆汁 2 不要なものを捨てる アンモニア ビリルビン アルコール 毒素
ALT、ASTは・・・ 機能の指標ではなく、障害の指標。肝臓がどれくらい壊れてしまっているかを示すもの。30以上では何かしらの障害があるということ。
肝硬変が進んでいくと血小板が低下してくる。 血小板基準値 おおむね15〜35万 10万切ったら肝硬変
ASTやALTは悪化していくスピード、血小板は悪化しているステージを知る指標となる。
肝臓は再生ができる臓器である。たとえば指の同じ箇所にナイフで傷を作って、治ったらまたナイフで同じところに傷を作っていく、それを繰り返していくとやがて箇所が硬くなってくる。それが肝硬変の成り立ちである(線維化)。
ウイルス性C型肝炎の治療目的はもはやウイルスの除去ではなく、肝硬変にならないようにすること!
インターフェロン、リバビリン(レベトール®)(IFの働きを強める)、直接的抗ウイルス薬
直接的抗ウイルス薬には現在3種類 @プロテアーゼ阻害剤 〜プレビル もともと耐性はないが変異してくるものがある アスナプレビル(スンベプラ®)(ダクラタスビル(ダルクインザ®)と併用する) アスナプレビル(ジメンシー配合®) グラゾプレビル(グラジナ®)(エルバスビル(エレルサ®)と併用する:肝機能障害に注意) パリタプレビル(ヴィキラックス配®) Aポリメラーゼ阻害剤 〜アスビル 耐性はない ダクラタスビル(ダルクインザ®)(アスナプレビル(スンベプラ®)と併用する) ダクラタスビル(ジメンシー配合®) エルバスビル(エレルサ®)(グラゾプレビル(グラジナ®)と併用する:肝機能障害に注意) オムビタスビル(ヴィキラックス配®) レジパスビル(ハーボニー配®) BNS5A阻害剤 〜ブビル もともと耐性のある人が20%いる。3年経っても95%残ってしまう。一番問題になる。 ソホスブビル(ソバルディ®)リトナビルを併用する。溶血性貧血と腎機能障害に注意。 ソホスブビル(ハーボニー配合®) ベクラブビル(ジメンシー配合®) Cその他 リトナビル パリタプレビルの血漿中濃度を上昇させる。(ヴィキラックス配®)←相互作用が多い。CAB併用時はむくみに注意し減量を考慮。
もはやがんが小さくなるだけでは新しい薬は認可されない。延命できるかどうかが問われている。
肝がんは再発しやすい疾患。切除、エタノール注入、ラジオ波等施しても肝臓自体がんができやすい状態になってしまっていると(線維化)再発してしまう。
C型肝炎ウイルスが発見されて20数年、インターフェロンで始まった当初の治療は副作用でつらい思いをして治癒する方が30%程度、ペグIFやレベトール®などの開発も続きながら現在ではほぼ克服できてきている。
新しい薬が続々と開発されているため、時を待てば治癒率の高い治療に臨めるが、反面、毎年1%の患者さんが肝硬変になってしまう現状があるため、5年で5%、10年で10%の患者が肝硬変に進行してしまうことを考えると、現時点でも高率に治癒が望めるため、治療をするなら今!という結論になる。
ステージによっては進行を食い止めるだけでなく、可逆的にかつ進行した速度よりも早く改善する症例もある。
もはやウルソや強力ミノファーゲンCの連日注射で指を食わているような治療をしている時代ではないということ!
患者さんは潜在的にはまだまだたくさん未治療のままであるということ。 |
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