[ No.266 ]
第70回日本アレルギー学会学術大会参加報告
投稿者:
2021年10月18日 (月) 09時40分 |
|
|
|
会期:令和3年10月8日(金)・9日(土)・10日(日)
会場:パシフィコ横浜 ノース
上記日程、会場にて第70回日本アレルギー学会学術大会に参加したので報告する。
<アトピー性皮膚炎患者さんを中心に据えた医療連携について>
・小児から成人に至るとき小児科から皮膚科への移行がスムーズにいかず、10代が手薄になってしまう傾向がある。皮膚科ではセルフケアやスキンケアの方法を入院して指導することもあり、症状が良くなって患者さん自身に自信をもってもらうことが大切である。
・アトピー性皮膚炎の眼病変により視力低下から失明に至ることもある。洗浄、外用、保湿が大切であり、眼周囲は綿棒を用い丁寧に塗布することにより症状が良くなる。
・アトピー性皮膚炎には外因性と内因性がある。内因性アトピー性皮膚炎は、IgEが正常域であり、アトピー性皮膚炎の約20%を占め、女性に多いという特徴がある。
皮膚バリア機能は正常であり、一部では金属や汗が悪化の原因となっている。チョコレートやコーヒー、香辛料には金属が含まれているため、これらを一定期間控えることにより症状がかなり改善することがある。他にもオートミールや玄米食を摂りすぎてはいけない。また、汗にも金属が含まれているため悪化の原因となりうる。
<スギ、ダニ舌下免疫療法の治療成績と併用療法の検討>
我国で舌下免疫療法(SLIT)を行なっているのは35万人いる。スギ舌下免疫療法の治療薬が発売されて7年が過ぎ、ダニに対しても6年が経ったが、副作用の頻度は発売当初危惧したほど多くはなく、治療効果もよく9割の方が満足度が高いと解答している。
我国はスギとダニの重複感作が多いという特徴を持つため、この2つの主要抗原に対し免疫療法を低年齢層から積極的に導入し、早期寛解を目指していくことが有効である。
また、治療のゴールを明確にすることによりアドヒアランスが上がると報告がある。副作用がなければ、入浴は服用の前後2時間あける必要はなく、スギとダニの同時服用も可能となっていくと思われる。海外では2種混合もあり、オーダーメイドもある。
<小児気道アレルギー診療の up to date>
小児の喘息は5〜10%と言われており、両親が喘息だと子が喘息になる確率は7倍高いとの報告がある。
喘息の病態解明が進み、Th2型炎症を形成する分子を標的とした生物学的製剤であるオマリズマブ、メポリズマブ、デュビルマブ等が小児でも使用可能となり、早期に治療を行うことにより重症化しないことに期待が持てるようになった。
現在使われているステロイド吸入の副作用について、使用している子の平均身長が1.2cm低いとの報告がある。オーバードーズを避け、適切に使用することが大事である。
新型コロナウイルスは小児喘息には影響はない。喘息の急性増悪や重症化しないことが分かっている。 |
|