[ No.243 ]
感染性胃腸炎@医師会学術講演会
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2013年09月30日 (月) 23時01分 |
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平成25年9月20日(金)、江戸川区医師会主催の学術講演会に参加してきました。 埼玉県立小児医療センター総合診療科鍵本聖一先生のご講演。 演題は「感染性胃腸炎の治療 薬物療法および食事療法の最近の考え方」
* 血便を認めるものの全身状態良好例にビフィズス菌大量投与(1.0g/kg)をされていました。通常の整腸剤は0.1g/kg程度ですから1.0g/kgは約10倍量!現状では専門医レベルでないとできない治療かもしれません。 * 細菌性腸炎に対する抗菌薬の功罪、抗菌薬治療は下痢の期間を短縮せず、抗菌薬起因性腸炎のリスクが生じる。O157腸炎ではHUSのリスクも。 * 細菌性腸炎において、中等症から重症には抗菌剤を使用する。 * 全身状態がtoxicでない場合にはProbiotics大量投与または無治療。 * 欧米のガイドラインでは、ほとんどの細菌性腸炎では自然治療が望め、抗菌薬による罹病期間の短縮はない。 * 昔から病気時に利用されている「おかゆ」は通常の塩味を加えるとORSと同等のNa濃度になる非常に優れた治療食。 * ノロウイルス(NV)感染症について。通常は自然軽快するが、高齢者では死亡例があり、原疾患や全身状態の悪化、脱水やショック、窒息や誤嚥などが関連するとされる。小児死亡へのNVの関与は不明であるが・・・。5歳以下の小児の死亡原因の16%を占める(WHO推計)下痢性疾患の中でも、NVは侮れないウイルス感染症である。 * 吐物による誤飲、下痢によるショック、高サイトカイン血症と脳症を伴う臓器不全が小児死亡の主な病態。 * 血液型O型はNVにかかりやすく、B型に少ない!? * O157感染症について。腸重積の合併を念頭に。発病初期から治りかけまで併発する可能性がある。便培養では検出されず、内視鏡検査からの吸引物によって診断が確定することもある。基礎疾患を見逃さないための大腸内視鏡検査も念頭に。
【下痢と脱水のある小児の治療の7つの原則】 1.脱水の補正にはORSを選択 2.経口脱水補正は短時間(3〜4時間)で行なう 3.脱水が補正され次第、年齢相当の制限のない通常食 4.母乳栄養は継続 5.薄めたミルクや特殊なミルクは通常不要である 6.下痢により喪失が続いていればORSを追加で与える 7.不要な検査や投薬を行わない
★ その他、腸管出血性大腸菌感染症(EHEC)、偽膜性大腸炎、エルシニア感染症についてお話を伺いました。 |
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