[ No.273 ]
第40回日本小児臨床アレルギー学会に参加して
投稿者:
2024年07月18日 (木) 14時01分 |
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2024.7.13-14 @梅田スカイビル
学会を通して、薬局薬剤師PAEができることを考えた。 看護士や病院薬剤師と異なり、門前以外の医師との連携が困難ではあるが、薬局だから患児や保護者が心を許してくれる、という一面もある。しかし患児への指導の時間を日常の業務の中で作り出すことが難しい。少しずつでも患児や保護者との信頼関係を積み上げていけるように行動療法のスキルアップ、カウンセリングのスキルアップが必要だと感じている。 またある医師から、医師は薬局薬剤師、薬剤師PAEは何ができるのかを知らない場合が多いので、薬局側からできることをもっと示してほしい、という意見があった。
食物アレルギー 食物経口負荷試験を受けている若しくは経口免疫療法を自宅でおこなっている子どもたちへの支援、これを通して、子どもの成長発達への支援をしていくことを考える。実際、子どもたちは成長とともに食べられるようになることが多く、食べられることを目指して進めていくわけだが、その際に安全を意識しすぎて、対象の食べ物に対してマイナスな声掛けをしてしまうことがある。(卵が入っているかもしれないから食べちゃだめ!これは卵が入っているから美味しくないよ、など)こうしていると、いざ食べられるようになっても、食べたいと思えなくなってしまう可能性がある。食べられるようになった時のイメージを持ち、声掛けをしていくことが必要になってくる。ある程度大きくなったら、家族はあえてその食物を食べているところを見せ、「今は体が食べられるようになる準備中だから食べられないけど、一緒にふわふわケーキ食べられるのが楽しみだね」など前向きな声掛け、食べたいと思ってもらえるような声掛けを検討することも必要になってくる。残念ながら除去が続いてしまう場合もあるが、食べられないものがあっても、他にたくさん食べられるものがある、という視点で考えていく。 また、将来のことも少しずつ意識していけるような関わりが大切である、F A 児は、保護者が安全な食べ物を選んで与えているので、一人での買い物経験がほとんどない。自分で自分が食べられるものを選べる知識を身につけられるよう、患児の自立へのサポートができると良い。自分でアレルギー表示を確認することができれば、一人で買い物に行くことも可能になってくる。 食物アレルギー児の家庭では、どうしても食べられないものに目が向いてしまい、ともすると食事が楽しいものではなくなってしまうことがある。しかし、食事は、食べる楽しみを育み、心を満たし充実感を味わえるものであるべきである。みんなで一緒に食事を作ることや食事をすることの喜びや楽しさ、食事を作って感謝された時の嬉しさや喜びを知ってもらうこと、「一緒に食べられた」「みんなと同じ」が経験できる環境づくりができると良い。
アトピー性皮膚炎 *乳児のADは生後7、8ヶ月ごろにピークを迎え、1歳が近づく頃には軽快する、という特徴がある。7、8ヶ月の頃の皮疹はかなり活動性が高いので、悩む保護者が多いが、この見通しを伝えることで安心して治療に取り組める。感染症や季節で揺さぶられることが多いことも伝えておくと良い。学童期になると、かゆいこと、湿疹があることが当たり前になってしまっていることがある。この場合にも治療のロードマップを患児と保護者に示すことが必要だ。思春期になったら、本人が治療へ取り組めるよう移行の支援をしていく。 *モイゼルトやコレクチムは色素沈着が問題となることが多いが、これは副作用ではなく、皮疹のパワーが抑えきれてない可能性も考えられる(ステロイドを塗ると良くなる)TARCが高い場合にはやはりステロイドが必要だと考える。 *現在、治療の選択肢は多岐に渡り、全身療法もかなり増えた。治療を選択する際には、患者の価値観やQOLも含めて、医療者と患者(患児)が一緒に考える「S SDM(共同意思決定)」のアプローチが必要である。 *リンヴォックは、皮疹の改善、痒みの改善ともにデュピクセントに比べて有意に良いというデータが出ている。最低でも4週間で効果が期待でき、半年で継続するかどうかの最初の検討となる。内服なので、注射をするより患者負担が少ないように感じるが、前検査が必要、かつCPK上昇、貧血の副作用の確認のために数ヶ月ごとに血液検査があることも併せて伝えることが必要である。全身療法は、一生続けるものではないからこそ、その間も外用療法をしっかりと継続していくことがとても重要なポイントである。
P F A S スギはトマトとだけ抗原交差反応を示すことになっているが、実は「桃、りんご、オレンジ」も交差する!いつ公表するか、と悩んでいたが、今回食物アレルギービジュアルブック2023にはこっそり載せました。
アレルギー性鼻炎 Local allergic rhinitis(LAR)という病態があることを知ってほしい。皮膚や血液のIg Eは陰性、鼻粘膜局所でIg Eを産生し鼻炎症状を発現する。鼻粘膜Ig Eの検査法は現状存在しない。
いつ起こるかわからない災害、災害に備える 各自が災害時のシュミレーションをしてみること、アレルギー28品目除去の非常食を一人ひとつ避難用リュックに入れ、それを食べてみる機会を作ること、これは誰にでもできる。 薬局でできることを考えると、アレルギーのある子どもたちには、常に最低3日分(できれば1週間)の薬を余分に持っておくように話をする、エピペン処方の際に防災の話をする(防災ハンドブックダウンロードのチラシを渡す)などが挙げられる。
以上 |
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