柿の賦 (5104) |
- 日時:2011年10月27日 (木) 04時54分
名前:伝統
文人・武者小路実篤は「柿の賦」と題した詩を残しています。
柿の花は目立たざりけり 人々は顧みざりけり されど柿の実は目立ちにけり 人々は賞美せり
柿の実は甘きが故に 人々は柿は甘しと云いたり されど枝ぶり見よや 甘しとは我は思わず
我人々と同じく 風雨にさらされ 人々と同じく 雪霜になやまさるれども 我は天与の食物をとりて その内より甘露を集めて わが実をつくりたるなり
我は甘露の雨にうたれしことなく 甘露の泉に根をはりしことなし されど我、その内より甘露をとりぬ
我 又 かくの如きか
「柿の賦」 武者小路実篤
その実の甘さを皆がほめるけれど、柿の木は甘露の雨を浴び、甘露の泉に浴したわけではない。
あなたと同じように風雨にさらされ、冷たい雪や霜に悩まされ、与えられたままの環境で、 枝を伸ばし根を張り、我が身より甘露を成し、皆が喜ぶ我が実をつくったのである。
われも又、柿のごとく、かくありたし。
<合掌 平成23年10月27日 頓首再拝>
|
|