菊と桜
[152]arshe
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2008年05月29日 (木) 14時04分
はらはらと舞い散る桜の花びらの、壮絶なまでに美しきこと。 「ないているようです」 桜吹雪に目を奪われていた妹が呟いた言葉に、同じく魅了されていた兄が返す。 「だいじなひととのわかれをおしまないものが、いずこにあられましょうや。あなたとおなじ名をもたれるかたも、かなしんでいるのですよ」 真実、兄と同じ気持で妹は頷いた。その大きな瞳から絶え間なく溢れる涙はすべらかな頬を伝う。頬に走る雫こそないが、兄の瞳も涙を湛えて揺れていた。
「ごあんしんめされませ」 兄は沈黙を破り、妹と向き合うとその涙を自らの袖で拭う。 「ちちうえさま、ははうえさま、なきいま、わたくしがあなたさまを、おせわもうしあげます」 顔を上げた妹は震える兄の腕に触れた。今にも決壊しそうな兄の眦に留まる雫を、今度は妹が自らの袖で拭う。 「いのちにかえても、あなたさまをおまもりいたします」 そうして、示しあわせたように掌を合わせて、秘め事を交した。戦いあうためにひとつがふたつに分かれたのだと、わかっているからこそ、叶わぬ誓いだからこそ、想いは頑なほどに強く結ばれた。 この先を、二人は知っている。
台詞を、
[153]arshe
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2008年05月29日 (木) 14時10分
ひらがなにしたのはまだまだちっちゃい子どもな2人を表現したかったからなんですが… 微妙だな。 菊も桜もお互いに敬語で話します。 これはなんか、あれだよ。 高校の古典の授業のときに、清少納言の随筆…あれ?なんだったけ?枕…『枕草子』!あーよかった思い出せて! で誰だかしらないけど左大臣が自分の娘に敬語で喋ってたからです。(たぶん産まれたときから入内させるって決めてたからだろうけど!)
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