【Happy Birthday!】
[57]jessica
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2004年05月30日 (日) 01時12分
話しかけたことはない。いつも遠くから見てるだけで。彼はぼくのことを知らないかもしれない。 明るい顔して、寂しい目の笑顔が、妙に心に響いて。見ているこっちが、痛々しくかった。どうして、そんなに隠すのか、わからなかったから。
【Happy Birthday!】
一人で悶々と考えながら、う〜んと唸ってみる。 どうしたものか、まさか今日初めて話しかける奴が今日誕生日だと話題に出すわけにもいかない。いや、ただおめでとうと言って欲しいだけなんだけれど。 はあ、と大きく溜息を吐いて角を曲がると、廊下の向こうが妙に騒がしい。きっと彼らだ。 そう思って、心なしか足運びが早くなってしまう。少し、いやかなり自分は現金かもしれない。 そっと角を曲がって階段をそろりと登る。何か悪い事をしてるみたいな、そんな感じがした。 彼らはいつも、それを感じているのだろうか?
「待ちなさい!ミスター・ポッター!ミスター・ブラック!!!」 礼にもよって例の如く、マクゴナガル教授の張り上げた声が聞こえてきた。そして、示された彼の名前。 ばたばたと、足音がこちらに向かってくる。階段もあと一段、というところで、廊下の角から彼らが現れた。 急な事に対応しきれず、ブラックの後から来た彼と肩がぶつかり、僕はバランスを崩したが、すぐに手すりに縋りついたため、階段から落ちそうにはならなかったが、彼はバランスを崩し、モロに階段から転げ落ちそうになっていた。 あ、と思って手を伸ばそうとすると、すかさず彼の下からブラックが支えている。一瞬ほっとしたような顔をした後、キッと僕を睨んできた。 彼は目つきが少々悪いと思う。しかし、それでさえ彼の魅力であって、彼が格好いいのの一因でもあった。 本当に影と形のように、彼らはお互いを知っていた。常にお互いがお互いを思っているような、心配しているのではなく、頼っているといった感じで。 羨ましいと思う。非常に、羨ましい。しかし、妬ましくはない。もしも、彼が僕だったら、影の形のように、にはならなかっただろう。 「先行って、足捻った」 ぼそりと彼がブラックに言った。ブラックはそんなことできるか、と反論しようとしたが、再び彼が「行って」と言うと、大人しくそれに従った。ブラックの後ろ姿を見送った後、彼はくるりと僕に振り向いた。 怒ってるのかな、と思った僕は、おもわず息を呑んだ。しかし、次の瞬間には違う意味で息を呑む。 青が目の前に広がった。空とも海とも言えない眸が僕の眸を覗き込んでいた。 彼は童顔だと思う。本当に、眸がまるでガラス玉のように大きくて、こぼれ落ちそうだ。元々の顔立ちから幼いのだろうが。 そうして、彼はにこっと笑うと階段を一気に飛び降りた。 「おめでとー!」 にっこりと笑って、階段の下から手を振りながら、彼はブラックが消えていった方向へと本当に足を捻っているのかと思うほど軽やかに駆けていった。
「っていうか、」 うわ、うわ、と僕は真っ赤になっている自分の顔を自覚して、どうしようもなく緩んでしまう唇を押さえるために右手を口元へともっていく。 「知っててくれたんだ…」 思わず眸が潤んでしまうほど、とてつもなく嬉しかった。
自給自足
[58]jessica
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2004年05月30日 (日) 01時13分
じぶんにハピバ。いちにち遅れだけど、おっけーおっけー!俺、そんなの気にしないもん!!
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