【Need to say Good-bye.】
[44]jessica
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2004年03月20日 (土) 03時52分
――だって知らなかった。 心の中で必死になってみても、そんなこと言い訳にもならないことくらい、知ってるけれど。 叫ばずにはいられないほどに。 痛かったのは、何?
【Need to say Good-bye】
初めてでもないくせに。自分でも信じられないくらい緊張してることは認める。 けれど、けれどもだ。ガラじゃない、だろう。これは、いくらなんでも。らしくない、に違いない。だって、だってそうだ。こんな、こんなのは有り得ない。今、自分の細胞に必死になって酸素を送っている物体が、まるで自分のモノじゃないかのように思えるのだ。 かつてない、それ。尋常ではない。明らかに、この心音は異常である。 ――ああ、ああ。 恥ずかしさの余り、今にも叫んでしまいそうだった。 ――ちきしょう… 心の中で毒づいて、その気持ちの正体を。知っていたけれど、まさかこれほどまでとは思っていなかったものの正体を。これまた心の中で呟く。 ――そうか、‘好き’ってこういうことか……っ!! 今まで、知らなかったものの名前。知らないフリをしていたものの名前だ。
徒然〜
[45]jessica
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2004年03月23日 (火) 19時20分
「…ぁっ……」 微かに漏れた声に、心の中で自分に毒づいて。夢中になって、相手の背中に縋り付いていたことに初めて気が付いた。 「ごめ……っ」 しまった。傷つけるつもりはなかったのに。なんてことだ。爪をちゃんと切っておけばよかったと、そう思って手を引くと、相手がふと優しい瞳で(元々優しかったけど、それは穏やかなものだった)、けれどそれは燃えるように熱かった。そう、その瞳で。おれの手を引き留めた。 そのまま、おれの指先に優しく口づけるその様に、この男は正気なのかと凝視してしまった。 すると、そんなおれの様子を見て、ふ、と呆れたように優しく、笑った。 「…おまえはいつもそうやって、」 ――そうやって………何? その言葉は途中で紡がれることを止めてしまって。続きを待っていたおれに降ってきたのはこの上なく甘く優しい言葉だった。まるで、親が子供を甘やかすときにでも使うような。 「しっかり、掴まっていろ。離すとどうなるか、私にもわからないからな」 そう言って、にやりと笑った綺麗な顔を見て、やっぱり惚れた弱みもあるけれど、格好良ぇ(かっけぇ)な……とか思うわけで。端から見ても、そうなんだろうなとか。 だから、なんでおれなんかの相手してんだろとか、考えたりする。
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