[桜]
[48]jessica
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2004年04月28日 (水) 19時35分
「だけどね、ぼくは」 ざぁっと風が木々を揺らす。その微かな、しかし透き通るようなテノールをかき消すかのようだった。 「そーゆーとこも、」 桜が舞っている。連れ去られてしまいそうだ、彼は。 桜は、綺麗なものが好きだときくから。 「すきだよ。」 ニコリと笑って、こちらを振り向いた彼は、本当に消えてしまいそうだった。 桜が、彼を気に入ってしまったのだ。
[桜 ver.James]その1
[49]jessica
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2004年05月01日 (土) 16時18分
無邪気な子供でいたかったのだ。ただ、あの頃はそれだけで愛されていると思うことが出来たから。
[桜 ver.James]
目の前で、色づいたばかりの花びらが舞っていた。さっき、強く風が吹いたからだ。その風は木々を揺らし、その若い花びらを散らしたのである。 ホグワーツで、この花を見たのは、もう5度ほど。つまりは、もうすぐ、ぼくは6年生になると言うことである。 そういえば。 入学する前だ。ゴドリックの谷では、とても珍しい桜の花を見た。ゴドリックの谷では、とても強い種の薔薇しか咲かないからだ。最も、その薔薇は、ゴドリックの谷の、特殊な土でしか咲くことが出来ないらしいが。ともかく、その木の下で、何か秘密の言葉を囁き合った。 そう、ずっと。ずっと子供で居ようと、誰かと誓い合った。いや、誓ったのは僕だけだ。 ずっと、無邪気な子供でいるようにと。誓わされたのは僕だけだ。 何故、そう誓ったのだろうか。 何故、僕もそうあろうとおもったのだろうか。 今となっては、何も思い出せないということだけが事実として存在している。
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