明らかな誤りの部分に取消線を入れました。(2020.03.30 サポート)

国沢光宏さんのブログ（2020年3月29日付）

20隻近いクルーズ船がオーストラリア近海で酷いことになっているようだ※1。先週から妙な動きをしているクルーズ船が多数出ていることは解っていた。
例えば『ルビー・プリンセス』というクルーズ船の24時間航跡。東京湾沖でグルグル回っていたダイヤモンド・プリンセスと全く同じような動き。28日時点でも7隻のクルーズ船が同じようにグルグルしている。

すると朝日新聞デジタルに「シドニーに戻ってきた10隻以上が乗客を乗せたまま※2」というニュース。

シドニー在住の小野君によれば「17隻が待機中のようです」。何と！　グルグル回っている7隻、人が乗っているという！　例えばルビー・プリンセスは3月19日から彷徨っているのだった。このフネ、乗客3000人。乗組員1200人。390m／11万3千トンという大型船です。

ヒマに任せて調べてみたら、どうやらオーストラリア近海でお客を乗せて※3彷徨っているフネは大小交え11隻だと思われる。さらに3隻は港に停泊しているが、降りられていない可能性あります※3。

朝日新聞デジタルが伝える通り3万人くらい乗ったまま※2、ということになる。船内はどうなっているか解らないけれど、ダイヤモンド・プリンセスに似たり寄ったりじゃなかろうか※2。

小野君によれば「2700人降ろしたルビー・プリンセスは感染者を130人出しています」（その後死亡者も出た）。ということはルビー・プリンセスの場合、乗組員を乗せたまま彷徨っていると言うこと。130人の感染者を出したフネのため、当然ながら1200人近い乗組員にだって感染者が出ていると思う。今後、状況はさらに悪化していくこと間違いない。※1

かといってオーストラリア近海から離れることも難しい。受け入れる国や港がないためだ。オーストラリアの近所に十分な医療を持っている国は無い。一番近い日本だってダイヤモンド・プリンセスだけで一杯一杯になってしまった。

アメリカまで行こうとしたら一週間程度掛かり、その間、死者が多数出ることだろう※5。なにしろクルーズ船の乗客は高齢者多数。

それにしてもなぜこんな時期までクルーズなんかしていたのだろう？　
ルビー・プリンセスは11日間のニュージーランドクルーズを終え、3月19日に戻ってきた。つまりシドニー出たの、3月8日。この時点でクルーズをキャンセルすることは出来なかったか。
まぁ出来なかったんでしょうね〜。私が15日間のニュージーランドクルーズに乗ってシドニーに戻ったのは2月28日。この時点で私は「日本に帰れる可能性50％」と判断していたけれど、クルーズ会社の皆さん全く気にしている様子無し。
私が乗ったノルウェイジャン・ジュエルも新しいお客乗せ、ニューカレドニアとフィジークルーズに出発したほど（その後、ハワイに逃げ込み乗客降ろし停泊中）。3月8日にシドニーを出たクルーズ船が無事に戻ってこられる可能性は10％くらいしかなかったと思う。

今度どうなる？　信じられないほど悲惨なことになると思う※6。ドイツのメルケル首相が言った通り60％くらい感染するだろう。そして1万8000人の感染者の中の20％が3600人が重症化。大半は高齢者のため、人口呼吸しなければ半分死亡する。このままだと2000人規模の死者を出すことだろう※6。
クルーズ業界は今回の新型コロナ禍で、決定的なダメージを受けるかもしれません。

以下、オーストリア近海にいるクルーズ船名。11隻の「彷徨」は乗客乗せて彷徨い中※3。3隻の「停泊」がおそらくオーストラリ人を除く乗客を乗せたまま※3桟橋に着いている。5隻の「沖止」は乗組員だけ乗った状態でアンカー落として海上に停まっていると思われます
。
・シドニー　ラディアンス・オブザシー（彷徨）／セレブリティ・ソルスティス（彷徨）／ルビー・プリンセス（彷徨）／スペクトラム・オブザシー（彷徨）／オベーション・オブザシー（彷徨）／カーニバル・スプレンドール（彷徨）／カーニバル・スピリッツ（彷徨）／ボイジャー・オブザシー（沖止）

・ブリスベン　シープリンセス（彷徨）

・メルボルン　ゴールデン・プリンセス（停泊）／バイキング・オリオン（沖止）／シーボーン・ソジャーン（沖止）／パシフィック・プリンセス（彷徨）

・アデレード　パシフィック・アリア（彷徨）

・パース　MSCマニフィカ（沖止）／シーボーン・アンコール（沖止）／ザ・ワールド（彷徨）／アルティニア（停泊）／バスコ・ダ・ガマ（停泊）


取り消し線を入れた理由を※の番号に応じて記載します。(2020.03.30 サポート記)

※1：そのような情報はまったくない。すべての船で新型コロナの感染者が発生しているかのごとく書いているが、まったく根拠のない筆者の想像。
船内には乗客より平均年齢が若い乗組員（ダイヤモンド・プリンセスでは年齢の中央値は30-43才）だけなので、例え新型コロナウイルスに感染したとしても重症化の率は低いと思われる。また、感染者は客室を利用して隔離できるので、乗組員間の蔓延は防止できるのではないかと思う。万一重症者が発生したら、陸上からの救援を要請できるのでオーストラリア沿岸に停留しているのでは。
米国のグランドプリンセスが新型コロナの陽性者（軽度の感染者）を１０名以上抱えて、同じようにサンフランシスコ湾で検疫中だが、１名が陸上に移送された（原因が新型コロナかどうか不明）以外は大きな問題もなく停留している様子。

※2：朝日新聞の誤報。すべてのクルーズ船で乗客は下船している。このような記事を出すとは理解できない。現時点においても、明らかに誤っている箇所の訂正もされていないようです。

※3：すべてのクルーズ船で乗客は下船している。乗っているのは乗組員のみ（一部の船では乗客サービス関連の乗組員は母国に帰り、運行・メインテナンスの乗組員だけかも知れない）

※4：乗客が乗っていないし、すべての船で乗組員に新型コロナの感染者が発生しているとの話もないので、ダイヤモンドプリンセスとは全く状況は異なる。

※5：もし、新型コロナ感染者を抱えて一週間も航海すると多数の死者が発生すると私も思う。現実に、この状況がHAL・ザーンダムで発生している。

※6：筆者の勝手な（酷い）イメージ。乗客は一人も乗船していないので、乗客の感染者・死者が発生しようがなく、悲惨なことになりようがない。