■コーラン検証
すっかりお馴染みになったイスラム教徒のジハード(聖戦)=自爆テロです。
なぜ、あのように武力・暴力を肯定しているのか、を眺めてみます。
イスラム教徒のすべての行動は、「アッラー」が人間マホメットを通して与えたコーランから出てくるのは、間違いないことです。
というのも、「アッラー」の言葉、啓示を受けたマホメットの言動を踏襲することは、イスラム教徒の模範とすべき姿だからです。
そこで、コーランを調べてみました。
「日本ムスリム協会 日亜対訳注解聖クルアーン」ホームページにあるコーラン日本語訳を使用させていただきました。
http://www.isuramu.net/kuruan/index.html
このホームページに付いていた検索機能を使い、コーランの中に出てくる「聖」と「戦」と「努」を検索すると、
「聖」は65箇所
「戦」は89箇所
「聖戦」は5箇所
「努」は44箇所 ヒットしました。
「聖戦=ジハード」⇒自爆テロ。元々は、「神の道に奮闘努力する」という意味を表わす動詞だそうです。
コーラン自体は、全7,800語、114章に分かれ、折々にマホメットに下された啓示を並べたもので、体系的に語られたものではなく、ストーリー性もありません。文字量もそんなに多くはありません。
その中で、この「戦う」言葉が本当に頻発しています。不信心者との戦い、多神教徒との戦い、アッラーの道のために戦い、アッラーを認めない者は敵であり、その敵と戦え、自分の弱さと戦い奮闘努力せよ、とまあ、よく「戦う」経典です。
これを日々学んで、戦わなかったら、むしろいい加減なイスラム教徒だろうと思われます。それが、筆者の素直な感想です。
彼らは、この教えに忠実に、現在でも方々で「戦って」いるわけです。それは、間違いありませんね。
しかも、ジハードで武運つたなくあの世へ行けば、天国に行くことも書いてありました。だから、ジハードが止まないんですね。「行動することは、信仰を正しく実践する」ことでしょうから。
イスラム教徒たちの書いた資料も読みましたが、
彼らは、自分たちが誤解されていると嘆き憤っています。イスラム教徒は平和を求めていると。イスラムの意味は「平和」「帰依」を表わしている宗教だと。
ですが、その「平和」は黙って天から与えられるものではなく、自ら入手するものだと理解してますから、武力、暴力、戦争が絶えません。
彼らの言う「平和」は、俗世の形としての平和ではなく、人々の心の中の平和を指しているものだそうです。
部外者から見ると、そんなに「平和」を求めているなら、なぜ戦争しているのか? というところですね。ここが、水掛け論になり、決定的に見解の分かれるポイントです。
コーランを読んでみて、マホメットという人は、商業に明るく、軍事的才能に秀でた、政治家というような、多面的な人物なんだろうというのがわかります。
日本でいえば、織田信長が「アッラー」から啓示を受けたような、という評価があるのももっともな気がします。
共に、軍事能力が高く、商業センスがあり、次の時代を拓いた政治家です。織田信長の方は比叡山の僧兵を焼き討ちにして物議を醸しましたが..、まあ、その織田信長が「アッラー」から啓示を受けたような感じが、けっこう近いのかもしれませんね。
少なくとも、弱者を救う、といった宗教指導者のイメージではありません。
マホメットがメッカで布教を開始したときに、同族の多神教徒たち=つまりメッカの有力な商人一族たちから攻撃され、一旦、メディナという街に退避して、その後にメッカに攻め上って勝っていることから見ても、(これが最初のジハード=聖戦ですね)
砂漠のアラブ人たちの勝ち負けの感覚は、元々他の文明圏よりも激しく、それが通常の姿なのでしょう。
生き物を「殺すな」と仏陀が教えている仏教の文明圏では、仏教徒は殺生をしないようになりますから、これはもう、「戦え」というイスラム圏とは対極にある世界になるはずですね。
こうして眺めてみると、僭越ですが、
? これしかない! という唯一絶対のアッラーの教えと、
? マホメットに代表される戦闘性の高いアラブの布教方法で、
イスラムの人々が自分たちの首を絞めているのは、確実なようですね。
ここから、21世紀のイスラム過激派が育っているわけです。世間が狭く純粋な青少年が、イスラム原理主義、イスラム過激派、自爆テロへと進むのは、簡単だろうと思えます。純粋な「アッラー」への信仰を行動で表わすには、「ジハード」は甘美な口実です。
ジハード決行を最後に後押しするもの、それは、お金です。
この地域は最貧国地域で年収は1人100ドルに満たないほどです。ジハード者には、1人25,000ドルが家族・遺族に支払われていたそうですが、フセインも、ヨルダンのアンマンに支払い用の特別口座を開いて、イラクの国庫からジハード用資金を供給していたのだそうです。
だから、貧しいほど、ジハードが魅力的に映ります。信仰も大義も立ち、お金も、天国も保証されていますから。
これを乗り越えていくには何が必要になるのでしょうか? この問いは続きます。
来週は、混沌きわまるイスラム政治の基礎を眺めてみます、お楽しみに