↓じゃかるた新聞1/14より
アチェ州の緊急人道支援に着手したばかりの外国軍と国連や非政府組織(NGO)など援助機関の活動に厳しい規制とデッドラインを決めたインドネシア政府と国軍に対し十三日、国際社会から一斉に驚きと懸念が表明された。米ホワイトハウスは、この決定に再考を求める談話を出したほか、被災地の劣悪な環境など、ただでさえ困難な支援活動に大きな支障になるとの恐れや、国際社会が約束した善意の援助が公正に使用されるのかといった疑問の声が出ている。同日、国軍本部に招かれた二十カ国のジャカルタ駐在武官は、国軍担当官に、さまざまな疑問をぶつけたが、「三月末をもって、インドネシアが自ら支援活動を行う」という強気の姿勢を崩さなかった。「国家主権を守れ」「いや、人道援助を優先せよ」と国論も真っ二つ。国軍強硬派に突き上げられたユドヨノ大統領は国際社会との難しい対応を迫られている。
原子力空母「エイブラハム・リンカーン」とヘリコプター部隊など一万五千人の兵力をアチェ沖に派遣した米国のスコット・マクラーレン大統領報道官は十二日(現地時間)「インドネシア政府と国軍が国際的な支援に対し、強い支持を継続することを求める」と述べ、インドネシア側に事情説明を求める方針を明らかにした。
また国連主導の人道援助の資金確保に奔走した国連の人道問題調整官事務所(OCHA)のケネディ調整対応部長は同日、「過去二十五年にわたってアチェ州で紛争が続いていることは良く分かっている」と述べたものの、「支援活動の障害や遅れにつながることが心配だ」と懸念を表明。
豪州のハワード首相は「前例のない国際支援を効果的に進めるのは極めて重要だ。ただ、(インドネシアの決定に)過剰に反応する必要はない」と語った。
こうした国際社会の批判的な反応に、ソフヤン・ジャリル情報通信担当国務相は十三日、「被災地の治安が通常ではないことに配慮した措置だ。援助関係者を最大限に保護しようとしているだけ」と弁明。
駐在武官への説明会で国軍担当官は「アチェは治安上の文民緊急事態宣言が続いているが、津波発生後、人道上の緊急事態で例外措置をとった。しかし、外国軍や援助団体の安全のために規制は必要だ」と語り、政府、国軍の決定に変更の余地がないことを明らかにした。
説明会に同席した国家警察の担当官も「できるだけ早く津波発生の前の状態(文民緊急事態宣言)に戻す。援助関係者は、活動の目的、場所、期間を届け、事前の許可を得ることが必要となる。各国のNGOに伝えてほしい」と語った。
ある駐在武官は「船舶が現地に到着するにはかなりの時間がかかる。三月末の期限に間に合わない場合、柔軟な対応はあるのか」との質問に「遠い国には配慮する」との答え。
しかし、今後二カ月間、国際社会の支援を仰ぐが、地震発生から三カ月の三月二十六日以降はインドネシア人が自分の手で復興をなしとげるという原則を譲らず、国家主権重視の強い姿勢を変えなかったという。
エンドリアルトノ・スタルト国軍司令官はバンダアチェの災害対策本部で十二日、記者会見し、「現状では分離主義者の攻撃から、外国軍と国際援助団体を守ることは保障できない」と述べ、同本部は「個人、国の代表、国連機関やNGO関係者、ジャーナリストを含むすべての外国人は、バンダアチェ以外の場所で許可なしに活動することは許さない」とする声明を出した。規則に反した場合「アチェ州外へ退去」を命じられるという。