「君の演奏は真面目過ぎる」
っていう言い方良くすると思うんだけど、それって性格を変えろとかっていう意味じゃなくて、「もっと気楽に楽しくやろうよ」とか「もっと遊び心を持って、思い切って！」っていうことが一つ。
もう一つは「君はまだ自分を表現しようとしていない」あるいは
「表現の仕方を身に着けていない」ということでもあると思うんですね。

まあ、気楽に大胆にやってるうちに表現できるようになったら一番いいかな(笑)。

僕がお世話になった佐藤允彦先生は、すっごくまじめな人で、演奏からもそれが分かるけれども、特に、演奏が真面目過ぎるなんていう批判はされていないと思います。「黒人っぽいノリのいい演奏をまねしてみても、どうしても同じようにかっこよくはならない」、ということで、そういう演奏は目指さずに、ものすごく複雑なコードやリズムを精巧に組み上げて独自の音楽を作っています。それが佐藤先生の表現方法なのですね。もっとも、みんなと一緒にジャズをやるためには
いったん、ノリのいい演奏を目指して練習したこともすごく大切だったと思いますけどね。

そんなこんなで、あれこれ試行錯誤しながら、自分なりの表現を身に着けていけばいいのだと思います。

佐藤允彦HP

「君の演奏は真面目過ぎる」を読んで前師匠とのやりとりを思い出しました。

師匠：「クラシックの人が急にジャズやろうとしたとき、アドリブになると手が止まる。
君はクラシックやってないせいか、まだめちゃくちゃでもやろうとしてるからまだいい」

私：「（けなされたのかと思って半分ムッとしながら）
めちゃくちゃなのって自慢にならないですよぉ〜」

師匠：「でも、めちゃくちゃ弾くのはもう卒業して、今度はめちゃくちゃに弾かない。
自分が頭でなっているメロディを弾くように」

私：「・・・。（ど、どうしよー。）」

師匠：「だから、真剣に考えないで難しいことやろうとしないんだってば！！！
枯葉だったら、ソラシミ〜♪というテーマの部分を応用して、アドリブを作ってみたら？
やたらめちゃくちゃＧマイナースケール弾くととド素人まるだしだから、少ない音でかつ、
思い入れやこだわりをもつってこと。それが、次のステージに上がるってこと
じゃあ、ソとラとラのフラットの３音だけでアドリブを今やって」

私：「・・・。（うー）」

そして、カラオケのマイナスワンが流れ始める。。。


あ、以前、ヴォイトレの先生にこんなこといわれたことも。

「特別なことをやろうとするより、シンプルなことをきちんとやる方が結果的に上手くいく」


私、真面目すぎの典型かも？

しろたんさん、書き込みありがとう。
しろたんさんのこと、そんなによく知っているわけじゃないから確かなことはいえないけれど、
制限なければ、めちゃくちゃ(?)弾けるんだったら、まず大丈夫だと思うよ。

どこか素敵なところに行きたい。では行く先は決まらない。
適当に出かけて素敵なところにたどり着く可能性は低い
だろう。
あなたにとって素敵なところとはどんなところ？
具体的なイメージ、できるだけはっきりしたものを持とう。

「晴れた空と、よく澄んだエメラルドグリーンの海と、
白い砂浜があるところ、できればほどよい波と・・」
みたいに。

小田和正が初めて映画監督をしたあと、こんなことを言って
いた。
「俳優の腕時計とかまで全て僕が決めなくちゃいけない。」
全て自由にできるということは、全て自分で決めなくちゃ
いけないということ。
音楽も雰囲気、テンポなどおおざっぱなことから、一音一音
の鳴らし方まで、どこまでも具体的なイメージが欲しい。


ここ数年「変わらなきゃ」なんて言葉を耳にするけれども
「変わらなきゃ」では変われない。
「何か作らなきゃ」では､何も作れない。

無理やり変えてみても、「前の方が良かった」となるのが
関の山。

ああなりたいと思ってはじめて変われる。
ああいうのを作りたいと思ってはじめて作れる。

メロディを変えなきゃ、アドリブしなきゃっていう意識では、
原曲どおり弾くよりも魅力ある演奏にならないんじゃない
かな？

「こう弾きたいんだ」という気持ちになるまでは、原曲を
そのまま存分に味わうのも大切だと思う。
変えたり､アドリブしたりは、それからで十分。

こういったのはビル・エバンスだったかな。
「まずは原曲どおり100回弾いてみればいい。101回目には
どこか変えたくなっているだろう。」
「僕はあるときモーツアルトのピアノ協奏曲のエンディング
に、あと一音付け加えたいと思ったんだ。それがすべての
はじまりだった」

ある曲を弾く。何度も弾く。
もっとはずんだ感じにしたい。
もっとしっとり弾きたい。
もっと厚みを出したい。
もっと勢いよく弾きたい。

キースジャレットの言葉を借りれば、フェイクやアドリブを
やるにはこう弾きたいという「獰猛な欲望」が必要なんだ。

そんな気持ちが湧いてきたら、どうすれば、そうできるのか
考えたり、あるいは、参考になりそうな演奏をまねして
みよう。

え、欲求がわかない？

「エメラルドグリーンの澄んだ海」を写真ですら見たことが
なければ（記憶になければ）イメージのしようがないから、
行きたいと思うこともないなあ。

原曲以外の演奏例の記憶がなければ、ああ弾きたいと思う
こともできない。原曲と、フェイクした例をよ〜く比較し
ながらどこがどう変わっているのか、よ〜く比べてみよう。
音使い、リズム、コードも変えてるかもしれないし、表情
のつけ方も様々だね。
例えば、「枯葉」1曲を色々な人の演奏で聴き、採譜したり
弾いたりして比べてみれば、「この人はガンガンノリを出し
たいから、ここをこうしているんだな」
とか、演奏者の意図も分かってくるはず。

それから、自分で改めて、原曲を弾いてみれば、もっと
こうしたいという欲求がでてくるはず。
それから、どう弾きたいという意図をもってフェイクや
アドリブをしてみれば、きっと原曲をそのまま弾く以上に
魅力的な演奏ができるよ。

ついでに。
政治の世界でも「日本の政治を変えよう」とか「政治改革」
とか、「新しい日本を作ろう」とか言うけど、こんな中身の
ない言葉が並んでいるようでは日本が良い方向に行けるとは
とても思えない。政治家の皆さんは、
「皆さんは、これからの日本はどんな社会であって欲しいと
思いますか？　私はこうあるのが良いと考えています。
そのためには・・・・」というところからスタートして
欲しいものだ。