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日本海軍の商船護衛 について |
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From:菊池金雄 [/]
大内建二先生(仙台市在住)の所見
日本海軍当局の商船護衛に関します姿勢は、自国の商船隊の護衛の意味をどこかで本質的に取り違えて考えている様子が見て取れます。やはり船団護衛や通商破壊作戦という事柄は、日本海軍の発展の中では完全に異質の存在であったようで、海軍の本来の存在意義が、日露戦争以来完全に履き違えた信念の中で育てられてしまったように思われます。 イギリス海軍は、その発展過程が商船隊に基礎があり、国家の通商活動の中で商船隊が他国の勢力によって災いを受けることを未然に防ぐ為に、その保護の為の武装集団として長年にわたって発展して来ただけに、海軍と商船隊は完全に一体となった存在になっていることから比較すると、日本の海軍と商船隊との間にはあまりにも大きな較差があることに気がつきます。 日清戦争も日露戦争も、その後の大陸で起きた数々の紛争も、商船隊としての大だい的な活躍の姿はなく、何時しか海軍力が全ての存在になっています。特に日露戦争における日本海軍の大勝は、その後の日本海軍に対して慢心と亡霊となって存在し、「日本海軍は無敵」とする根拠のない妄想に取り付かれてしまったことに、日本海軍の船団護衛軽視の全ての原点があるようです。 「海軍力で制海権を獲得した後に船団護衛については考えよう」と解釈してもよさそうな海軍当局の思考は、戦争という事態に突入した時には到底受け入れられるものではないはずで、両方を同時に進行することの重要性とその対策を考え出さねばならないことに全く考えが及んでいないことに何とも情けない感情を抱かずにはいられません。 日本海軍はイギリス海軍を大きな手本にして育っていますが、それは組織やハード面だけのことで、様々な事態に対応できる海軍の役割を徹底して学ぶ必要があったように思われます。
2018年04月30日 (月) 15時18分
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