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「日本商船隊戦時遭難史」紹介 |
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From:菊池金雄 [/]
復刻版 「日本商船隊戦時遭難史」 財団法人 海上労働協会<本書序文より> 太平洋戦争は広大な作戦地域を結ぶ海洋作戦の様相を呈した。 そのために、 日本商船隊は直接の戦力としてはもとより、 軍需物資の輸送力としても重要な任務に当った。 それだけに世界の戦争史に例をみないほどの被害をうけ、 その喪失船腹は実に2,300余隻、 800万総トンに達し、乗組船員の犠牲も陸海軍軍人の死亡率をはるかに上回ったのである。 しかしながら、 戦争海難による日本商船隊の受難の実相は戦後いままで国民の理解をうる機会に恵まれなかった。 そこで当海上労働協は、創立十周年の記念事業の一環として、 去る36年8月に商船船員の戦時体験記録 『武器なき海』 を刊行した。 本書は当会発行の旬刊紙 『海上の友』 の紙上を通じて今次大戦の海上輸送任務にたずさわった船員から2年間の時間をかけて戦時体験記録を募り、 その尨大な応募作品の一部を収録したものである。 そして、 この海上輸送戦士の戦いの記録の発表を通じて、 わが商船隊とその乗組船員が今次大戦に果した役割について、 はじめてひろく社会の理解と感銘をうけることができ、 これにより、 幾多の殉難船員の霊をなぐさめえたものとして、 海運関係者としては、 感慨一入のものがあるのである。 このたび刊行をみることになった 『日本商船隊戦時遭難史』 は、 この 『武器なき海』 の別冊として、 その尨大な戦時喪失船舶を一俵にまとめ、 これに太平洋戦争において果した日本商船隊の役割について、 若干の解説を付したものである。 関係者としては遭難船舶の一隻々々について、 詳細な遭難の実相を記録に止めたいと念じたのであるが、 当時の資料が予想外に少なく、 その他の制約もあって、 各船別に遭難日時、 遭難地点や遭難の種類を概記すること以上は困難であった。 しかしながら、 戦争海難船舶の遭難の全貌について、 このたびようやくにしてこれをまとめることができたことについて、 関係者の一人としてひそかにその責の一端を果したものと自負している次第であり、 この企画の実現に尽力された前理事長内山由松氏に敬意を表するものである。 なお、 本書の刊行については関係各方面の絶大なる御協力に負うところが少なくなかった。 ここに附記して謝意を表したい。 A5判上製ケース入り ・ 328頁 ・ 8,820円 (税込)
2012年01月03日 (火) 11時01分
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