(2006年 日本 PM11:00 埼玉 朝霞市 自衛隊駐屯地) 自衛隊駐屯地の中、寄宿舎の片隅にスネークは潜んでいた。周囲に誰も居ないことを確認し、しゃがみこんで体内通信を行う。 (CALL 周波数 141・12) スネーク「こちらスネーク。トーキョーの日本軍の基地に潜入した。」 メイ・リン「ちがうわよスネーク。そこはサイタマだし、日本にあるのは自衛隊、軍隊とは言わないわ。」 スネーク「メイ・リン、これだけの施設があってメタルギアまで抱え込んでいるなら立派な軍隊だ。どう違うって言うんだ?」 メイ・リン「うーん・・よく分からないけど解釈の仕方の違いかしら?」 スネーク「戦争には法律や解釈の仕方の違いなんて無意味だ。銃を持って戦っている限り軍隊と変わりはない。」 オタコン「まあまあ、二人とも、どっちでもいいじゃないか。それにしてもスネーク、どうやって侵入したんだい?」 スネーク「下水道を使って侵入した。おかげで臭くてたまらん。潜入に差し支えないか心配だ。」 オタコン「匂いが落ちるまで今回のターゲットの説明でもして時間を潰そうか。ミッションは前回と同じ、デジタルカメラにメタルギアの写真を収めてネットに公開することだ。」 スネーク「オタコン、今回のメタルギアについて分かったことは?」 オタコン「まだ構造もつかめてないよ。分かってるのはそのメタルギアが『CODE:ZERO(コードゼロ)』と呼ばれてることぐらいだよ。」 スネーク「まあ、デジタルカメラに写真を収めたらいいだけの話だ。」 メイ・リン「それにしても何で自衛隊がメタルギアを?」 オタコン「でもメイ・リン、情報は確かなものだよ。メタルギアの技術情報が流れてから数ヵ月後、そこの駐屯地の研究本部が増設されると同時に、そこに機械専門の技術者をたくさん雇ったらしいんだ。その情報をもとに僕が直接研究本部のコンピューターに侵入したんだから間違いないよ。」 スネーク「向こうの事情なんて知らないさ。俺たちはメタルギアを止めるだけだ。」 メイ・リン「それもそうね・・」 スネークは双眼鏡を手にとって寄宿舎の周囲を確認する。 スネーク「見張りは二人・・・、奴等見たこともない銃を持っているぞ。」 オタコン「それは多分六十四式小銃だね。一時期はM60軽機関銃よりも優れていると言われていたけどそれは大嘘だよ。部品欠落も多いらしいし。」 スネーク「・・そんな銃で戦争が出来るのか?」 オタコン「さあ?でも油断だけはしないようにね。一応彼等は訓練された人間だ。」 スネーク「分かってる、奴等ジュウドーやカラテという武術を使うらしいからな。」 メイ・リン「そうなの?」 スネーク「ああ、それに日本ではみんな魚を生のまま食べるらしい。日本人は屈強な連中だ。(この時スネークは刺身を知らなかった)」 メイ・リン「それは違う様な気が・・」 スネーク「日本のゲイシャガールはダイエットにカロリーメイトを食べるんだとか。」 メイ・リン「・・誰から聞いたの?それ・・」 スネーク「誰からだったかな?まあいいじゃないか。」 オタコン「スネーク、君は日本を勘違いしてないか?」 スネーク「そうなのか?」 オタコン「・・そんなことはどうでもいいか。スネーク、君は今から・・」 スネーク「待て、ヘリだ!」 スネークは上空を見上げて三機のヘリの姿を捉えた。 スネーク「あれはUH−1『イロクォイ』だ」 メイ・リン「自衛隊のUH−1Jじゃない?演習か何かから帰ってきたとか。」 オタコン「いや、自衛隊のスケジュールを調べて見たけどその時間に演習なんか・・」 スネーク「ん?何だあいつら!?」 突然暗闇の中から黒いコンバットスーツを着た人間が数人現れたのだ。そいつのうち二人は見張りの自衛隊隊員達の背後に音も無く忍び寄り、サプレッサーを装着した拳銃を隊員の背中に押し当て2、3回引き金を引く。その隊員達は悲鳴も上げられず死んでしまった。それと同時にヘリが高度を下げ出した。三機のヘリが着陸を果たした後、ハッチが開いて中からぞろぞろと同じ兵装の兵士が降りてくる。 スネーク「オタコン、正体不明の部隊が出現した。」 オタコン「何だって!?」 メイ・リン「そいつらの目的は何なの?」 スネーク「待ってくれ、奴等が何か話している。」 スネークは携帯していた指向性マイクをその部隊の方に向ける。 『ターゲットはどこにある?』 『研究本部というところにあるらしい。』 『それがあれば、我々の目的が達成できるというわけか。』 『CODE:ZEROをいただくまで油断はするな。計画した手はずで行くぞ。』 その言葉を最後に部隊は散開した。実にわかりやすい。奴等の目的はあっという間に判明した。スネークは身を潜めて体内通信に切り替える。 スネーク「どうやら奴等もメタルギアが狙いらしい。さっきのヘリも奴等のものだった。」 メイ・リン「本当?奇妙な偶然ね。」 オタコン「その部隊の人数と装備は?」 スネーク「見た限りでは人数は30人弱だ。装備はサプレッサー付きのソーコムピストルと同じくサプレッサーを付けたH&K MP5サブマシンガンだ。」 オタコン「騒音は潜入に似つかわしくないからね・・」 スネーク「俺達はどうする?」 オタコン「・・僕等が必要なのは証拠写真だけだからね。自衛隊とあいつら両方に気付かれないように行動して写真をとるだけでいいよ。」 スネーク「分かった。当初の作戦通りだな。」 メイ・リン「用心してねスネーク。戦う武器はあるの?」 スネーク「M9を改造した麻酔銃だけだ。他は現地調達するしかないな。」 オタコン「こっちでは駐屯地内の見取り図をまとめておく。出来上がったら君のレーダーに映るように送信するよ。」 スネーク「助かる。何かあったら連絡するからな。」 (OUT)