「なあ・・・いつまでここにいるつもりだ?」
「もうちょっと待って」
天体観測に丁度いい、涼やかな初夏の夜。
スネークはオタコンに引っ張られて自然公園に来ていた。
「もう少ししたら流星群が見られるんだ。それもすごい規模の!」
嬉々とした表情で望遠鏡を覗いているオタコン。
こんな趣味もあったのかと、スネークは呆れてしまった。
「お・・・・来た!」
「やれやれ。付き合ってられ・・・!?」
夢中で望遠鏡を覗くオタコンを放って帰ろうとしたスネークだったが、
周囲の異変に気付き足を止めた。
「・・・・これは!?」
「どうしたんだい、スネーク?」
「・・・・・」
スネークは無言でオタコンを望遠鏡から引き剥がした。
「もう!なんなんだよ・・・!?」
感動の最中に邪魔されて怒ったオタコンだったが、
その怒りも一瞬で吹き飛んだ。それほど凄い光景だった。
「すごい・・・!」
「望遠鏡は必要ないだろ」
満天の星空に、無数の流れ星。
それは尋常な量ではなく、まるで空全体が高速で動いているようだった。
「今までに無い規模の流星群らしいから見に来たけど・・・・これは」
「これだけ見れば、もう充分だな?」
「・・・う、うん、そだね。帰ろー」
半分放心状態のオタコンを助手席に乗せ、
スネークが車のエンジンをかけようとした、その時―――――
「危ないっ!!」
流星の1つが、燃え尽きずに車に突っ込んできた。
鍛え抜かれた反射神経でスネークが運転席から飛び出す。
オタコンも、奇跡的な運動神経で車から飛び出した。
「くっ、まさか当たるとは」
「あわわわ・・・・」
隕石の直撃を食らい、炎上する車を見てつぶやくスネーク。
オタコンは完全に腰が抜けていた。ちょっと漏らしている。
「オタコン、また漏らしたのか」
「だ、だって、ここ、こんな、こんな・・・」
あまりの恐怖に、まともに喋れないオタコン。
無理もない。隕石が車に衝突するという、
何千万分の1という確率に当たってしまったのだから。
「やれやれ・・・・!!」
車に近づこうとしたスネークが、突然銃を構えた。
「ど、どうしたの?」
「何かいる・・・!」
「え、えぇ!?」
スネークもありえないと思った。
隕石が落ちた車の中に、一体何がいるというのか?
出来れば見間違いであって欲しかったが―――
次の瞬間、見間違いでない事が証明された。
「あぢぢぢぢぢ!!」
炎の中から何かが飛び出してきた!
「熱い!熱い!熱いぃ!!」
火だるま状態の謎の物体は、
英語らしき言葉を叫びながら芝生の上を転げ回る。
「誰か助けで〜!!」
「ひぃぃぃ!!」
「このっ!」
スネークが謎の物体を蹴っ飛ばした。
綺麗な放物線を描き、池に落ちる。
一瞬の静寂。
「さっきのは一体・・・・?」
「や、止めてくれよスネーク。そんなの放っといて早く帰ろう」
オタコンの必死の説得もむなしく、
丸い物体が飛び込んだ池に近づいていくスネーク。
そしてスネークは“あるもの”を見つけた。
オタコンにも見えるよう、ゆっくりと持ち上げる。
「・・・・何だこれは?」
「あ、カワイイ・・・」
オタコンのオタクハートにヒットしたそれは、
全身ピンク色をした、球状の不思議な生物だった。