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庭の水撒きを終えて、蚊に刺されてぼこぼこに膨れ上がった腕や脹脛(ふくらはぎ)をさすりな がら玄関に入ると、長男が何か呟いているのが聞こえた。テレビが映らないらしい。 そんなはずはない、理系にまかせろと自ら電源スイッチを入れてみたがやはり駄目。
音は数秒間出るが、画が出る前に電源が勝手に落ちてしまう。ブラウン管式なので絵が 出るまでには時間が必要なのだがそこまで持たない。何度試しても同じ症状。 二日酔いで寝ている人を揺り起こした時、ちょっと上半身を起こしただけでまたすぐ 横になってしまう、そんな状態。 先日酔ってふらついてジョッキのビールを掛けてしまった後遺症なのか。 もしテレビに酔う能力があったとしても、我が家の器械は十分に鍛えてあるので二 日酔いなどになるはずがないのだが。 暑い日ゆえ熱を持って異常動作したのだろうと思い、扇風機の風を鱈腹ご馳走したが改 善の兆しすらみられない。 電源プラグを抜いてしばらくお休みいただいた後に再度トライしたが何の変化も ない。
やっと週末を迎え、昨日から始まったオリンピックでも見ようかと思っていた矢 先の出来事である。
-3〜4日はかかるだろうか、修理に来てもらうまでに。 -6年程使っているので、修理代払って直したとしても余命はどうか。 -3年先のアナログ放送終了時までにはどうせ買換えなければならない -2階にある小型テレビでは複数人では楽しめない -5月からこっち、寂しい思いをしているであろう子供達に何か新しい楽しいこと を与えたい。 -6月のボーナスの残りは少々ある。 などなど、新しいテレビ買換えのための理由付けが泉の如く滾滾と頭から溢れ出 てくる。 ロジックは完璧である、買いである。もう誰も私を止められない(止める人など いるはずないが)
頭から流れ出た買換え理由の水では体は綺麗にはならないのでシャワーを浴び てから颯爽と出かけるショッピングゥ。 近くの街の家電量販店まで、乗った電車が遅く感じられる、運転手さん加油、加 油(Go! Go!)。
テレビ売り場は大型の液晶テレビ全盛である。畳一畳ほどもあろうかと思われる 大画面テレビから我が家に相応しいサイズまで、多くの製品が展示され、画の美しさを誇示している。 まさに百花繚乱、が、店員はおらず、お客さんも少ない。 とりあえず、最近はあまりパットしないが贔屓のメーカーのカタログを手に商品を取り絞りこむ。機 能、画面サイズ、懐具合を勘案してあっという間に決定。近くの売り場の店員さんを 連れてきて在庫の有無・配送の確認をしてもらう。 不思議なもので商談をしているとお客さんや店員も売り場に増えてくる。
希望の機種は明日2時までに配送可能との回答、即決 40 inches。動かなく なったテレビの引き取りも依頼した。(皆さーん、地球環境保護のため不要品は道 端に投棄したりせず家電リサイクルに出しましょう、ご協力をお願いしまーす。)
入店からレシート受け取りまで所用20分、早買い係数(金額÷所要時間)は自己最高 記録を更新したものと思われる。そんな私に金メダルのご褒美をあげたい。 他の用事を済ませて帰宅、「明日の午後まで待って」と長女に言うと笑顔を返してくれた。 親はすべてこの一瞬のために自分の生涯を捧げているのかもしれない。
翌日、休日にしては早起きしてテレビの周りを掃除をする。 念のためにテレビの電源スイッチを入れてみた。 なんと画が出るではないか、早まったか小次郎!と思いきや、昨日と同じ症状を呈し始めた。 やはり故障なのかという落胆と、発注して間違いなかったという安堵感が 珈琲に落としたクリームのように心の中で渦を描き混じりあってゆく。
指定時間を少々過ぎた頃、テレビが到着。自走してきたのではなく業者の方が配達 設置の上、予想外だったが配線の接続までテキパキとこなしてくれた。 最後に使用方法を説明してもらって作業完了。
全てのチャンネルを見てみる。一度地デジ(地上波デジタル放送)を見てしまったら、もうアナログ放送には戻れないだろう。 さらにBS(衛星)ハイビジョン放送は本当に美しい。画面が精細なので画に奥行きすら感じてしまう。 自室から降りてきた娘、テレビを見るなり「お父さんスゴイ」。翻訳すると”お父さんの買ったテレビがスゴイ”。
床に直に座って見ていると、画面が50%大きくなった分首を上げて見なければいけない。 「ソファーが必要みたい」との声がしたが、拒絶理由のレンガを少しずつ積み上げようか。
夜、オグシオの試合を観戦。本当に簡単にレシーブしているように見えてしまう。 カメラのアングルが今ひとつでシャトルを追いにくかったが、試合は勝利。 ビールで乾杯ーィ。
返信 2008年08月13日 (水) 00時41分
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