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[ No.274 ]
第41回小児臨床アレルギー学会参加報告書
投稿者:
2025年06月19日 (木) 08時34分 |
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2025.6.17
今回は、@食物経口負荷試験及びそれに基づいた自宅での食事指導、A吸入指導をメインに聴講した。
@食物経口負荷試験及びそれに基づいた自宅での食事指導 食物アレルギーについては、成人まで持ち越す例が一定数あるということを忘れてはいけないが、6歳までに少量摂取できると12歳までに治る可能性が高くなり、できれば低年齢で解除した方がその食物の忌避を避けることができる。アナフィラキシーの既往、Ig E高値、完全除去があると、食物アレルギーの長期遷延のリスクが高くなる。少量摂取が可能であれば、誤食の頻度は低くなるので、まずはここを目指していくことが大切である。 重症の場合、食物経口負荷試験で食べられたはずの量でもアナフィラキシーを起こしてしまう例がある。少量摂取でも陽性が出た場合にはやはり専門医療機関での対応が必要になる。 自宅での摂取が可能な児に対しては、その食事指導が必要となる。対象となる食物を「食べてくれない」という児は当薬局にも存在し、そのサポートが必要である。 「食べてくれない」理由は、やはりその食物を食べて嫌な思いをしているからであり、何のために食べるのか、年齢相応の「食べる理由」を探っていく。低年齢の児では、食べることができた時のご褒美を用意したり、推しに見守られながらだと食べた、という例もあるらしい。 食べることが特別なことになる前に、食べる喜びを伝え、アレルゲンを悪者にするのではなく、憧れのポジションに置けると良いであろう。 「食べる」ということは、「生きる」ことにもつながる。患者や患児と保護者と信頼関係を築き、相手の価値観や生活を知っていくことがサポートにつながると考える。
また今回は、調布市で起きた学校給食での誤食による死亡事故の遺族の講演を聞くことができた。エピペンが適切に使用できていれば、救えたかもしれない命である。エピペンの適切な使用を周知していくことは私たちの使命なのかもしれないと改めて感じた。まずはスタッフ一同、エピペンの使用方法、その使用タイミングについて再度確認をお願いしたい。
A吸入指導 やはり吸入指導は薬剤師が治療に大きく関われるポイントだと感じた。アドヒアランスが良いから、吸入が適切にできているとは限らず逆にアドヒアランスは悪くても、吸入手技は問題ないというケースもある。吸入開始当初は適切に吸入ができていても、数ヶ月で自己流になってしまうケースが少なくない。数ヶ月ごとに、手技の確認、指導を行うことが治療効果をあげることにも繋がっていく。 また、低年齢の児に対しては、吸入の効果を考えるとスペーサーの使用が必須であり、「児がよくなるためであること」「大人でもスペーサーを使った方がいいくらいであること」等を説明し、購入を推奨するスタンスで話をすべきだと考えを改めた。(最終的には保護者の判断となる) ディスカス、エリプタのトレーナーをGSKに、タービュヘイラーのトレーナーをスズケンに依頼中である。今後これらを利用して指導していきたい。 |
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