「生」のための「死」 (7086) |
- 日時:2012年02月26日 (日) 07時21分
名前:伝統
(6)すべての生命は、いつかは死ぬ。
①と、思ったら実は違っていて、大腸菌のような単細胞生物は栄養さえあれば いつまでも生き続けられる。
不死、なのである。
②そこからなぜ死ぬような生物が進化したかというと、 そのカギは「性」の誕生にあるのだという。
単純に自分のコピーを作り続ける単細胞生物とは異なり、 「性」を持つ生物は子孫を残すときには相手の遺伝子と混じりあい、 その子供は絶対に同じ遺伝子とはならない。
③それは必ず変化する仕組みなのであって、その膨大な変化の中から 環境の変化に対応できる、種として生き残る「解」を探す。
④その変化のドライブがかかっているなかで、古い遺伝子はブレーキになる。 だから自ら退場する。
それが「死」である。
(7)「性」による「生」
①有性生物は、父親と母親から一組ずつの遺伝子をそれぞれ受け継ぎます。 よって、子の遺伝子は父親のそれとも母親のそれとも異なる新しい遺伝子の 組み合わせとなります。
②このメカニズムは別の見方をすると、「性」によって遺伝子のシャッフルが 行われていると捉えることもできます。
このような有性生殖によって、 子孫が新しい遺伝子組成を持つことのメリットはどのようなものでしょうか。 それは多様性です。
つまり、子孫の多様性により、ある子孫は環境の変化に適応でき、 また、ウイルス等の外敵に対する抵抗力を持つことを意味します。
これが、私たち人間を含む有性生物の「『性』による『生』の連続性を担保する」 という戦略ではないでしょうか。
(8)「性」による「生」のための「死」
①では、「生」のための「死」とはどういうことでしょうか。
ここで言う「死」とは、細胞の死を指していて、 「生」のための「死」が意味するのは、人間が生きるためには時として 細胞は自ら「死」を選んでいるというものです。
②我々の細胞の死は3つのパターンがある 3つとは、アポトーシス、アポビオーシス、ネクローシス。
アポトーシスとアポビオーシスは、遺伝子に支配された細胞の死としています。 そして、「生」のための「死」を考える上では、アポトーシスがポイントとなります。
③アポトーシスとは、細胞の自殺であると著者は言います。 ではなぜ細胞は自ら死の道を選択するのでしょうか。
アポトーシスには「生体制御」と「生体防御」という2つの役割がある。
生体制御とは、個体(例えば人間)の完全性を保つ役割です。 どういうことかと言うと、もし細胞が無限に増殖すれば私たちの身体は無限に 大きくなりますが、そうならないのは個々の細胞が個体全体を認識し 不要な細胞が自ら死ぬことで、人間としての個体を保っているのです。
もう1つの役割である生体防御では、例えばウイルスやガン細胞などの内外の敵が 現れた場合、敵による異常をきたした細胞がアポトーシスによりその細胞を 消去することで、個体全体を守る機能を果たしています。
ちなみに、私たち人間の成人の身体は約60兆個の細胞でできているそうです。 うち、1日で死ぬ細胞数は3000億~4000億個ほどで、重さにして約200gとのことです。
これにより、老化した細胞や発ガン性物質により異常となった細胞が消去されます。 こうして私たちの身体では日々新しい細胞へと入れ替わっており生きているのです。
つまり、人間の「生」のための細胞の「死」なのです。
<感謝合掌 平成24年2月26日 頓首再拝>
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